【AI DevEx Conference 2026】AIが当たり前の組織でエンジニアはどう育つか〜越境人材を育てる挑戦とジレンマ〜
2026年7月22日、ファインディ株式会社が主催するイベント「AI DevEx Conference 2026」が、JPタワーホール&カンファレンスにて開催されました。
本記事では、株式会社TOKIUM 取締役CTOの西平 基志さんによるセッション「AIが当たり前の組織でエンジニアはどう育つか〜越境人材を育てる挑戦とジレンマ〜」の内容をお届けします。
■プロフィール
西平 基志
株式会社TOKIUM
取締役CTO
2012年、筑波大学在学中に株式会社TOKIUMを共同創業。 以来10年以上にわたり、経費精算や請求書処理など法人支出管理領域におけるクラウド型ソフトウェア(SaaS)の設計・開発をリードしてきました。 近年は、LLMとOCRの融合による業務自動化を推進し、現在は経理AIエージェントの開発基盤とチームづくりを担当。 再び手を動かしながら、AI時代のプロダクト開発と組織づくりの両立に取り組んでいます。
自己紹介とTOKIUMの紹介
AIが開発を担う時代において若手エンジニアの成長機会をどう設計し直すか、そして未経験の新卒を数ヶ月で戦力化した実践から、明日チームで試せる具体策まで持って帰っていただける内容かなと思っております。
株式会社TOKIUMでCTOをやっております西平と申します。2012年の創業メンバーの一人として参加しておりまして、それ以来ずっとこの会社でやっております。開発業務としてはTOKIUM経費精算という経費精算SaaSの立ち上げなどをやり、その後もいくつかのサービスを出して支出管理プラットフォームの立ち上げ、開発、運用等をやっておりました。CTOとしては珍しいですが、BPO部門も兼務をしている時期がありました。今はソフトウェアの開発部門を見ておりまして、丸投げUXを目指してAIネイティブな開発と育成を推進しております。今日はこのAIネイティブな育成を2年間やった実践と、見えてきたジレンマについてお話しできればなと思っております。

TOKIUMは会社のミッションを、「TOKIUMの志」と名前をつけて文章にしております。未来へつながる時を生むということで、時を生む会社なのでTOKIUMと覚えていただけると嬉しいです。特に好きな一文があるんですけれども、最適なテクノロジーと常識にとらわれない自由な発想と、泥臭さも厭わない行動力で、お客様の課題解決のためだったらどういう手段であっても考えようという、そういう文化が非常に強い組織になっています。
会社の簡単な沿革ですが、2012年に創業してから、最初はBtoCで家計簿サービスを提供していたんですけれども、2016年にBtoB SaaSのほうにピボットいたしました。経費精算サービスを提供開始して以来、10年ほどB2Bの分野でやっている会社になっています。そして2025年、去年社内で「経理AIエージェント元年」ですよということを宣言しまして、SaaSの会社からAIプロダクトの会社に大きく舵を切って、開発もそちらに集中しています。AIプロダクトも大量に短時間で出しまして、全てのプロダクトを合計すると10以上のプロダクトを展開しているラインナップになっております。
特に注力して開発している経理AIエージェント「TOKIUM」の紹介もしますが、TOKIUMとしてはAIとプロスタッフが連携しているようなプロダクトにしております。AIだけでは任せられないことは人間のBPOでやることで、お客様からすると業務の全てをTOKIUMにお任せでき、作業自体を手放して本来のコア業務に取り組む時を生むことができるというAIプロダクトになっています。
具体的なプロダクトも2つご紹介します。1つはAI経費承認というもので、経費の承認は毎月何百回とか何千回とか繰り返し作業をされるんですけれども、それを自動化するようなサービスになっています。もう1つが出張手配というプロダクトです。出張の手配に1時間ぐらい時間をかけるそうで、ホテルや新幹線を探し、社内規定に合っているかを気にしながらやられるわけですけれども、それをAIで自動化をして、出張合計何円ですという事前申請まで自動でやってくれるプロダクトです。そこから先のチケットの手配は購買をAIだけで完結されるのは難しいというところもありまして、そこはBPO的に我々が請け負っているので、お客様は一気通貫で出張をお願いできるというものになっております。

いろいろ紹介しましたが、シリーズ累計のプロダクトは、プロダクト全てで累計3,000社以上のお客様にご利用いただいております。皆様のよくご存知の企業もあるんじゃないかなと思います。
そんなTOKIUMのAI活用はどの程度なのかという話を簡単にご紹介します。開発者はもちろん、ビジネス側まで当たり前にAIを使っている会社になっています。2023年4月からこのコーディングのAI活用を進めておりまして、全開発者にその時点ではGitHub copilotを配布しておりました。今は1人当たり10万円の予算を確保しまして、Claude codeやCodex、Devinなどを複数使いながら開発をしております。

全社ではどういう感じかと言いますと、半年間かけて全社ハッカソンというちょっと珍しいイベントを催しまして、毎朝いろんな部門の人たちがAI活用を全社員の前で発表するみたいなことを繰り返しやりました。ここで出てきた活用事例が80件出てまして、例えば営業部門であれば営業ログを自動で送信するとか、そういう自動化はもう自分たちでできるようになっています。Claude Codeもビジネス部門に研修をしてまして、正社員の8割がClaude Codeを利用できるようなそういう環境になっています。
そしてTOKIUMの新卒研修のステータスですが、AIネイティブな世代として開発研修を2025年の新卒から実施をしました。今年も継続してまして2年目に入ったところです。

2025年に育成した新卒は9名です。半数以上が実は開発未経験でした。研修期間は約3ヶ月、終わったら実際のプロダクトの開発チームに配属をして戦力化しております。
新卒だけで成し遂げたものではないんですけれども、彼らと一緒に成し遂げた成果として、半年でリリースしたAIエージェントが9体ということで、彼らの活躍なくしては達成しなかった成果かなと思っています。
今日はお伝えしたいポイント3つでございます。1つ目はTOKIUMの育成のゴールで、AI時代の一人前とは何かを考え、企画から学びまでのループを回せる人だと定義をしております。2つ目はこの開発のループは自動化しましょう、でも学習は自動化しないという結論に至ったということです。3つ目は判断力をどう鍛えるのかというところですが、任せることで鍛えていきましょうということです。
1章:AIによってプログラミング入門はどう変わったか
AIによっていろいろなことが簡単になりました。プログラミング入門において一番変わったのは参入障壁が低くなったことじゃないかなと思っています。
私自身情報系の学部を出ており、大学でプログラミングも入門したんですけれども、そこではかなり参入障壁がめちゃくちゃ高かったなと振り返ってみて思います。最初に真っ黒い画面を渡されて、なんでやってるのかよく分からないけどおまじないを最初に数行書いて、その後シンタックスエラーも一文字でもずれていたら怒られるし、そもそもコンパイル通らない。それでめげずに何回もデバッグして、ようやくハローワールドとかが出てくるみたいな、そういう体験だったと覚えています。実際同級生たちの何人かは、それが耐えられずにプログラマーになるのを諦めて離脱をしていく仲間もいました。当時AIが普及する前においては、この最初の高い参入障壁を超えられた人だけがソフトウェアエンジニア、プログラマーに適性ありとされてた時代だったかなと思います。
一方で今は、AIに対して自然言語でプロンプトを投げれば、それなりに動くものはできるし、こんなアウトプットいきなり出るんだって思います。参入障壁はほぼなくなったかなと思ってまして、今までだと最初の障壁を超えられなくて離脱した人たちの中にもエンジニア適性があって活躍できる人はたくさんいて、そういう方々がエンジニアとしてもっと増えていけるんじゃないかなと思ってます。

この環境変化を前提としてですね、TOKIUMでは開発未経験の新卒もエンジニアとしてどんどん育成しようということを決めました。
2章:フルサイクルを目指して育成する
フルサイクルエンジニアを目指して育成をしていくという話です。TOKIUMはプロダクトとして丸投げのUXを実現したいなと思ってます。丸投げっていうのは何かというと、お客様の業務を最初から最後まで全て引き受けるということです。これをするためにはお客様の業務理解を深める必要があります。業務を引き受けるためには、お客様の判断まで自動化しないといけないんですよね。今までだとSaaSを作って、その上で判断するっていうのはお客様がやってたんですけれども、我々はこのAIプロダクトによって判断まで自動化をしていきたい。お客様が何を見てどういう基準で何を判断するのかまで知らないといけない。
そこまで深い学びを得るためには、この学びのループを高速に回さないといけないんですよ。私としてはこのプロダクト開発の企画から開発、リリース、反応、お客様の反応を得て学んで、また次の企画に活かすっていうこのループを極力自動化したいなということを思ってます。
このループの途中で分業してしまうと、必ず引き継ぎ業務が発生してしまうんですよね。引き継ぎをしてるチームと、しなかったチームがあった場合、圧倒的に引き継ぎなしのチームの方が早いんですよね。AIで自動化してるチームがもう10周ループを回してる間に、もう片方のチームでは引き継ぎをやってるがために1周しかループを回せないということも平気で起こり得ると思ってます。なのでこの工程で分業するんじゃなくて、一人前のエンジニアにはこれらの工程すべて経験してもらって、1周できるようになってほしいと思ってます。

そういう事業上のニーズもあるんですけれども、個人的にすごいこのループを任せたいと思える原体験もありました。私は創業メンバーとしてこの会社に参加してるんですけれども、立ち上げ期めちゃくちゃ早く開発できたんですよね。2、3人が分業せずにそれぞれの領域の中で爆速で開発をしていました。
お客様から何かフィードバックがあったりバグがあったりみたいなことがあったら、その日のうちというかもう1時間以内直してリリースをしますみたいな、そういう強烈な開発の体験があります。それを何とかいろんなチームで再現したいなということを思いました。

振り返って考えてみるとその速さの正体は、1人の頭の中でループが完結していたから実現できていたと思います。引き継ぎなしでミーティングとか全くない、お客様からのフィードバックを即反映できる、そういうスピードを実現したい。あとはその時活躍していた人たちも思い出すと、営業から運用まで一通り行っている人が一番お客様を理解してたなと、いいプロダクト作ってたなってことも思い出しました。今までだとそういうのってできる人は本当にものすごいコミット量を求められ、超人じゃないとできなかったんですけれども、実はAIを使えばいろんなチームで再現できるんじゃないかなと思って、このループを回せるフルサイクルエンジニアを増やしたいと思ってます。
そしてもう一個大きな話をすると、私たちはこの引き受けられる業務の数をめちゃくちゃ増やしたいんですよ。それを考えると一人がAIで回せる業務の数を増やさないといけないし、ループを回せる人の数も増やさないといけない。一人がAIで回せる業務の数に関しては、AIモデルの性能とハーネスをどこまで作り込むかによってくるかなと思うんですけれども、本日の話題からは外れるので割愛します。

このループを回せる人をどう増やすかという話なんですけど、そこをTOKIUMは育成で増やすということを決めました。ここには諸説あると思います。中途で採用したいと思う組織もあると思うんですけれども、TOKIUMは育成で増やすと、それをメインで考えています。
理由としては、このフルサイクルを実現できるエンジニア、めちゃくちゃ少ないですよねという話です。育成が必要な理由も、この希少性にあります。

フルサイクル回せるエンジニアの要件が僕は3つあると思っていて、1つは越境できるソフトスキルですね。開発以外のことも学んでみたいと思える好奇心だったり、新しいことを学ぶ学習力とか、お客様から要件を引き出す対人スキルとかいろいろあると思います。そしてもちろんカルチャーフィットは大前提。そして最後ループを回せる技術力。
この中でいうと、このループを回せる技術力が一番貴重なんですよ。技術力の高い優秀なエンジニアは、労働市場でなかなか採用が難しい、非常に貴重です。でもこの3つの要件の中でいうと、技術力は一番体系化されているし学ぶことができる。しかも先ほど紹介した通り参入障壁が下がっているので、活躍できる人が増えたはずなので、TOKIUMではここを自分たちで育成して増やそうということを決めました。

そういう経緯でフルサイクルエンジニアを目指して育成をしているんですけれども、アウトカムとしても1年でこういうものが出ましたという紹介です。半年で280社に新しいプロダクトを使っていただきましたし、導入事例も出てきております。年間1000時間の工数削減につながっているような例も増えてきております。
3章:育成のジレンマ
育成のジレンマに入っていきたいと思います。この育成をすると決めた2年前の想定のうち、当たったものもあれば外れたものもありました。当初の想定はかなり楽観視をしておりました。AIによってコーディングという作業が人間からなくなっていくところは予想していたんですけれども、AIの性能向上を楽観的に見積もりすぎていました。

AIがコードを生成してコーディングが民主化され、人はコードを書けなくても理解しなくても良くなるのは、1年ぐらいで来るんじゃないかと思っていました。検証結果は半分当たり半分外れで、参入障壁が下がって3ヶ月程度の研修でも新人は戦力化できたけれども、未だコードレビューはまだまだ必要です。
どこまでハーネスを作り込むかでここは変わってくるので、今まさにうちの開発チームでもハーネスを作り込んで自動化率を上げようとしていますが、AIの使い方を卓越しないと実現できていないのが現状です。コードレビューが必要な限りは属人性は変わらないので、簡単に技術力が10人分20人分になるというのは短期間では難しかった、これが予想を外した部分の一つでした。

そういう状況で、コードを書かなくなった世代は成長の機会をどこで得るのかが大きな問題になります。今までであればコードを書いてバグが発生したり、コンパイルできなかったり動かないというところで調べて直す、こういう過程の中で技術力が上がっていったかなと思います。今はAIで一発で動くものが出てしまって、失敗という気持ちが消えてしまいました。
私たちもループを高速で回したいという思いが先行してしまって、25年の新卒も最初はこの学習の時間がなかなか取れないまま、とにかくプロジェクトを優先して進めてもうら場面がありました。そうすると立ち止まって学習する時間が削れてしまって、なかなか技術力が上がりません。それを踏まえまして、今年の研修にもこの反省を生かしていろいろと仕組みに取り組みましたという話をこの後していきます。

そのときプロジェクトを早く回す、そういう渦中にいた新卒の言葉も一応紹介しておきますと、バイブコーディング早いし楽だなという話はもちろんあったんですけれども、いやでもコードあんまりちゃんと理解十分できてないな、これってちゃんと動くんだろうか怖いなみたいな、そういう正直な感想も聞かれました。
それを踏まえて、ループは自動化するが学習は自動化しないという方針で、私たちはこの育成に向き合っています。この方針のもとで具体的にどんな仕組みに取り組んだかを、次の章でご紹介します。
4章:ループを自動化する。学習は自動化しない

失われてしまったこの成長機会を偶然任せずちゃんと設計に入れましょうという話です。一つ目は書く機会を意図的に作りましょう。一番最初のAI研修では、AIは使い倒してもらうんですけれども、それを一回封印して自分の手で書く研修を追加しています。二つ目は説明する機会を意図的にするということで、育成の中でマイルストーンを設計して、必ず理解を確認するようにしました。
三つ目、プロダクトマネジメントを育てるためには判断を鍛える必要があると思うんですけれども、これは研修後の話で、初年度から重要な判断を任せることで育成するということをやっております。

まずこの書く機会を封印するというやつなんですけれども、AI活用を禁止するというわけではないです。Claude codeのラーニングモードというのを皆さんご存知でしょうか。コードを全部生成をしない、そういうモードがありまして、例えばここの例でいうと、配列の重複を除いてソートする関数を作ってというものを頼んだ場合こういう結果になります。
主要な処理をする部分がコメントアウトになっていて、こういう実装をしてくださいというヒントが書いてあります。初学者もこのヒントを使いながら実際に書くことができ、これを通して学んでいくことができるということです。

2つ目、説明できないコードはコミットさせないということです。研修の中でマイルストーンを作り、口頭試問をしたりしました。今までだとアウトプットだけ見ていればよかったんですが、今はそんなことはないです。育成の進捗を見るために理解をまず確認しないといけません。
例えば私たちの研修ではRailsを使ったウェブアプリケーションの開発研修があるんですけれども、このURLにアクセスしたときにコードはどういう順番で実行されますかとか、Railsサーバーを起動したときに何が起こりますか、Docker Composeアップしたときにはどうなりますかとか、そういうことをしっかり説明できるかどうかを確認をしています。
あと3つ目、これはあまり意図して設計していなかった部分なんですが、新卒が自らこの理解度チェックスキルを作りました。プルリクエスト(以降プルリク)を出す前にそのプルリクについて自分たちが説明できるかどうかを確かめるスキルですね。必ずプルリク作成前に出すことで、レビュアに対して自分が説明できるレベルでちゃんとコードを理解しているのかをチェックし、それが完了して初めてプルリクを出す仕組みとして試みております。

3つ目、判断力を鍛えるところなんですけれども、研修の中で些細な判断を繰り返してもあんまり鍛えられないかなと思ってまして、これはもう研修後にやることだと整理をしています。この判断力を鍛えるためには、どれだけ重要な判断をたくさんやったかということかなと思っております。
私たちの開発チームでいうと、多くても3、4名のチームの中で1プロダクトを作っているので、そこで1人のエンジニアとして下す判断はそれなりに重いものになっています。スケジュールやプロダクトの評価に直結するような手応えのある判断を1年目から経験してもらいたいなと思っています。この判断もAIが開発のループを早く回しているので、たった1年でも今まで以上に量をこなすことができ、早期配属の重要性も高まっていると思っています。
5章:理解の土台の上で越境する、まとめ
このように研修の中で学習をしてもらうんですけれども、ある程度開発の工程を理解したら、そこからさらに越境をどんどんしてもらいたいなと思っています。これはループを回すためです。最初は開発で頑張って、そこから上流のプロダクト企画に行ってもいいですし、お客様の反応をより深く知るためにお客様と対面するところに広がっていってもいいと思っています。全方位的に越境しないと本当のフルサイクルエンジニアにはなれないかなと思ってまして、どんどん越境できる範囲を増やしていきたいと思っています。

ただ越境っていうのが、ただ手を広げればいいという話ではないかなと思っています。理解が十分でないまま越境してしまうと、ただの伝書鳩になってしまう、要望を右から左に運ぶだけになってしまうかなと思っていて、それは望ましくない。私としてはこの要望をちゃんと技術も理解した上で、解決策をちゃんと提案できるようになってほしいなと思っています。
そうでないとお客様の要望をそのままAIに投げればいいじゃないみたいな、介在価値がなくなってしまうので、この翻訳者を皆さんに目指してほしいなと思っています。特定の領域の理解は深めてから他の領域に越境するのが順番としてはいいんじゃないかなと思ってまして、最初は開発者のところをメインの領域にして、そこから広がっていくという順番で今考えています。

実際にこの越境も実績としては増えてきまして、25年の新卒は1年間開発の経験を積んでもらいましたけれども、そこからだんだんとプロダクトマネジメントとか、営業もしながら開発をしている開発者も生まれてきています。26年の新卒はちょうど今月研修が終わって配属が始まっています。まだ開発の専門性はないですが、研修期間中に商談同席をして、お客様からのフィードバックを受ける準備も始めています。いずれはより大きなループに26年の新卒たちもいてほしいなと期待をしております。
TOKIUMの研修を一言でまとめると、一人前とはループを一周回せる人であり、学習は自動化しない、そして判断は任せてから育成をしていくということです。

皆さんに持ち帰っていただけると思うものを3つ持ってきました。ループを渡し、理解を問い、そして判断を任せるということです。ループを渡すという点では、AIで高速化したい粒度を考え、その粒度でループを丸々一つ渡してあげるのがいいかなと思っています。いきなり大きいループを任せるととんでもない失敗が起きてしまう可能性もあるので、例えば社内の小さいツールでもいいので、そういうところから始めるとやりやすいと思います。
もう一つは理解を問うということです。育成の進捗はアウトプットの確認では意味がないので、理解を必ず確認をしてください。3つ目は責任ある判断を任せましょうということで、TOKIUMの場合は少人数のチームで、要件定義と重要な判断を任せてみるのがいいんじゃないかなと思っています。

あとちょっと補足なんですけど、今日はジェネラリスト寄りの話ばかりしました。しかし、スペシャリストはめちゃくちゃ重要だと思っています。越境人材が増えるほど深い専門性を持つ人は相対的に希少になります。スペシャリストが不要になるんじゃなくて、組織内で少数精鋭としてむしろ価値が上がると思います。ジェネラリストはとにかくたくさんいてプロダクトの開発を推し進めるが、技術力の高い人に頼らないといけない場面は出てきます。そういう時にスーパーマンのように現場に入って助けてくれる心強い専門家がいたり、開発のハーネスに詳しい人が作るとか、そういう部分でスペシャリストは活躍すると思います。このスペシャリストは育成では再現性を持って生み出せないと私は思っていて、採用での獲得が基本だと思っているので今日は話しませんでした。
あと最後にメッセージを用意しました。若手に向けては、AIネイティブ世代のあなたへ、今までの世代が想像しなかった活躍でAIネイティブ時代のロールモデルを開拓してください。何でもAIができて自分たちがどこを専門にすればいいのかわからない、そういう苦労はあなた方の世代が初めてぶち当たっているものだと思います。教科書も答えもなく、私たちはこのロールモデルを示すことができないかもしれません。ただ悲観的になる必要はなく、固定観念のない柔軟な考えで、AIネイティブ時代にどうすれば活躍できるのかを考えながら楽しんでAIを活用していただければと思っています。
育成に関わる方へは、AI時代における一人前を再考して、それを育成や業務に反映できることは何か考えてみてほしいと思っています。活躍できる人の定義も必ず変わってきます。TOKIUMの場合はこのループを回すというところでしたが、これは組織や事業、プロダクトによって目指すべきところは違うと思うので、皆さんそれぞれの立場で考えてみてほしいなと思います。

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