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「一人で抱えない」を選んだCTOたち - CTO Night & Day 座談会
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「一人で抱えない」を選んだCTOたち - CTO Night & Day 座談会

「CTO Night & Day」は、CTOやテクノロジーリーダーが集まり、技術・開発組織・採用・経営といった抱えている課題を、会社の垣根を越えて相談し合う泊まりがけのイベントです。セッションを聞くだけでなく、CTO同士が時間を共にして、普段はなかなか話せない悩みや失敗まで率直に語り合えることが大きな特徴です。

本記事では、Newbee株式会社の蜂須賀 大貴さんがホストを務め、過去にこのイベントへ参加した3名のCTOが、初参加のきっかけから、この場で得たもの、日常のCTO活動への影響までをアマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社麻布台オフィスにて語り合った座談会の様子をお届けします。

※本座談会はアマゾン ウェブ サービス ジャパン合同会社とファインディ株式会社の提供でお送りします。

ゲスト: 伊藤清香さま | 株式会社unerry CTO(2025年、初参加)
ゲスト: 田野晴彦さま | GMOエンペイ株式会社 取締役CTO(4回参加)
ゲスト: 佐藤龍太さま | 株式会社Initial Engine 取締役CTO兼CAIO(オンライン含め9年連続参加)

MC: 蜂須賀大貴 さま| Newbee 代表(3回参加)

CTOたちが年に一度集う場所 ──「CTO Night & Day」とは




── まずは「CTO Night & Day」がどんな場なのかをご紹介させてください。

CTOやテクノロジーリーダーが集まり、技術や開発組織、採用、経営など、それぞれが抱える課題を、オフラインならではの経験談も交えながら相談し合う、会社の垣根を越えて共有する、2泊3日のイベントです。今日はそこへ過去に参加された3名に、この場がどういう場所なのかを伺っていきます。まずは自己紹介からお願いできますか。

伊藤:株式会社unerryのCTOをしております、伊藤と申します。もともとバックエンドエンジニアで、インフラのアーキテクチャやセキュリティ、品質保証まで担当している立場です。実は私はGoogle Cloudをほぼ100%使っているユーザーで、そのユーザーコミュニティ「Jagu'er」の会長もしています。会員は5,500人以上いるのですが、コミュニティの参考になればという思いと、デジタル庁のCTOである藤本さんから「ぜひ行った方がいいですよ」と教えていただいたのがきっかけで、AWSのご担当の方に招待していただきました。

田野:GMOエンペイで取締役CTOをしております、田野です。いま保育、教育業界に向けたFintechのサービスを開発・提供しています。CTOを始めて7年目になり、このCTO Night & Dayにも何回か参加してきました。CTOになった当初は、技術の責任を取る立場というイメージはあるものの、何をしたらいいのかわからない ── みんながぶつかる壁だと思うのですが、自分自身も例外なく悩んでいました。とにかくサービスを出さないと始まらないので、不安を抱えつつ行動していくなかで、AWSの方からこのイベントを紹介してもらいました。

佐藤:Initial Engineの取締役CTO兼CAIOの佐藤です。うちはCEO含む役員全員が元CTOという珍しい組織でして、技術の力で経営イシューを解決するコンサルティングやAI支援を行っています。 日本CTO協会でも幹事をしています。CTO Night & Dayでの繋がりから、こうしたコミュニティに今も属すことができていますね。CTOの経験は10年目くらいで、CTO Night & Dayには9回(オンライン含む)ほど参加してきました。

「ただで相談していいの?」初参加で受けた衝撃

── そもそも皆さん、最初の参加のきっかけや、この場にどんな印象を持って参加したのか。この不思議な団体は何なんだと思ったかもしれませんが、その頃を思い出していただければと思います。まず伊藤さん、昨年が初参加でしたね。

伊藤:そうです。日本CTO協会のイベントで藤本さん(現デジタル庁CTO/日本CTO協会 理事)とお話ししたときに、悩みがあると相談したんです。CTOの仕事は、なかなか人に理解してもらいづらいんですよね。経営からはコストもスピードも非常に高いレベルを求められる。現場でもしっかり品質を担保しなければいけない。そんな悩みを相談しながら解決できる場がないかとずっと思っていて、藤本さんに背中を押してもらいました。

初めて参加したときは、皆さんもう顔見知りが多くて「よっ」みたいな感じで挨拶していて。私は初参加で知り合いも誰もいなくて緊張していました。ただ何人か名刺交換した方と話しているうちに馴染みができて、相談できるようになって。気づいたら2泊3日の最後のほうには、初めて会った人を捕まえて悩み相談をして、ホクホクで帰ってきました。

── 最初の不安から比べて、期待値を超えられた感じですか。

伊藤:そうですね。「普通にお金を払ったら結構な金額になるような相手なのに、ただでこんなに相談に乗ってもらっていいの?」という。「ただで」というところにカチッとスイッチが入って、使い倒しましたね。みんな参加費を払って参加している側じゃないですか。それがすごいなと思って、相談してしまいました。

── 田野さんは、最初の期待値も伊藤さんと似ていたんですか。

田野:そうですね。創業からまだ間もない頃がちょうどコロナ禍と重なり、私の初参加はオンラインでした。家にパーカーやビールが届いて、企画がすごく練り込まれていて。みんなで講義を聞くだけでなく、小さいグループに分かれてワークをやったり、やたらとクオリティに気合の入ったイベントだなと思いました。翌年からはリアルで参加するようになりました。当時は、社外のCTOと話す機会そのものがあまりなく、社内ではエンジニアは自分一人で、ようやく何名か採用できた状態でした。

CTOというタイトルを持つ以上、自分の器がエンジニア組織のキャップになり、それがそのまま会社のキャップにもなってくる。日々追われるなかで、キャップを広げることにマインドを使わないといけないと感じていて、タイミングがとても良かったんです。イベントに参加すると、本当にいろんなフェーズの方がいます。自分と同じフェーズの方もいれば、2年先、3年先、10年先を行く方もいる。みんなベースがエンジニアなので、ギブのマインドに溢れていて毎回感動します。しかも、それだけ実績のある方が「ちょっといいですか」と気さくに声をかけてくださって、対等に話に付き合ってくれる。こんな機会をいただいていいのかと思うほどでした。そこからイベントの意味や自分にとってのメリットを感じるようになって、何度も行かせていただいております。

── 佐藤さんは、もう7年前で覚えていないかもしれませんが。

佐藤:いや、覚えています。初参加をすごく覚えていて。本当に伊藤さんみたいな心持ちで、知り合いが誰もいなかったんです。前職でCTOになったタイミングくらいに招待のメールがあったのが最初のきっかけでした。当時はCTOとしてどうしたらいいのか全くわからなくて、書籍もほぼ出ていなかったんじゃないですかね。CTOという役割でどういう責任を果たせばいいのかがすごく曖昧なまま、知り合いもいない状況で参加しました。

初回参加は金沢(2017年開催)で、今でも覚えているのですが、めっちゃ雪が降っていて、めっちゃ寒くて、心もどんどん冷えていって「やばい、どうしよう」となり、話す人もいなくて。そのときは主催のAWSのソリューションアーキテクトの方に組織規模が近しいCTOを繋げてもらうことで、なんとか乗り切りました。

── 今ではもう知り合いも相当な数になったのでは

佐藤:相当いますね。参加したらどうしても軽い同窓会のようになってしまうので、初参加の方には常に自分から話しかけにいくように心がけています。CTOの方たちと一緒に、今日は話しに行こうという時間を作ったりしています。立食のときも話しに行くようにはしているのですが、久しぶりに会った方とはどうしても「久しぶりですね」となってしまうので、そこでいかに新しい方との時間を作るかが自分の課題になっています。



社内では相談できないことを、ここでなら話せる

── 2泊3日にわたって、200人ほどが集まります。座学だけでなくディスカッションなどのアジェンダも組まれていて、朝早くから夜遅くまで、かなり忙しいですよね。そのなかで、普段自分で抱えていた悩みがこの場で晴れたもの、その後の活動に活かせたものがあれば伺いたいです。

佐藤:いろいろあるのですが、その時々によって相談したい内容は全然違うと思っています。組織のサイズ感や事業によって課題は変わりますよね。初参加の頃、所属していた会社のCEOは技術畑ではなかったので、技術について相談する方が社内におらず自分で消化しなければいけなかったところを、アーキテクチャをどう決めるか、セキュリティをどう担保していくかといった点で相談し、お手本にさせていただくことが多かったです。一周、二周先を行っているCTOの方がいるので、今どうしているかを聞いて、取り入れられそうなところを持ち帰る。初めは正解を探す場として参加させていただいていました。

── 伊藤さんは、社内では相談できないけれど、ここだからこそ相談できたことはありましたか。

伊藤:ありますね。今年の5月に、M&Aによりブログウォッチャー社がグループインしました。もしこのイベントに参加していなかったら、会社規模が急拡大するフェーズで何をすべきか、最適解が分からず戸惑っていたかもしれません。でも昨年ちょうどイベントに参加して、そういった経験のある方の話をあらかじめ聞いておくことができて、すごく助かりました。心構えや組織設計、PMIでやることはたくさんあるのですが、そのあたりをいろいろお聞きできました。言えないことも多かったですが、このイベントには経験した方がたくさんいらっしゃるのが、大変心強かったです。

田野:うちも1年半ほど前にグループインしたのですが、そのグループ先のCTOと会ったのが、まさにこのCTO Night & Dayだったんです。そこでお会いして、年に1度くらい定期的に話す関係になって。PMIは複雑度も難易度も高いのですが、CTO同士が接点を持っていたことがすごく大きかったと、この1年を振り返って思います。おかげで技術・組織面の連携はかなり円滑に進められました。実利として行ってよかったと、ひしひしと感じています。

なぜ「2泊3日・泊まりがけ」でなければならないのか

── 忙しいCTOが3日間も空けるのは、相当なことだと思います。それだけの価値を感じるから行こうとなるのでしょうか。

田野:そうですね、なんとしても。1ヶ月前くらいから予定を詰めて、ここを何とか空けようと。仕事を持っていったこともやむを得ずあるのですが、あるとそこにマインドを取られてしまいますし、コミュニケーションの時間が減ってしまう。行ったからには元を取るというか、最大限そのイベントを味わい尽くすために、なるべく仕事を終わらせていきます。

── 1度、あるいは何度か行ってみて「また行こう」と思える。その空気感や背景はどこにあると思いますか。イベントによっては、1回行ったけれど満足できずに帰ってしまうものもあると思うのですが。

伊藤:やはり宿泊で2泊3日という長さがいいのだと思います。日帰りや1泊くらいだと、日常から離れられないんですよ。だから議論が深まらない。このイベントは”ナイト アンド デー”という名前で、最初はびっくりしたのですが、だんだん”ナイト”のほうが主なんだとわかってきました。夜、若い頃に徹夜で「会社を良くするにはどうしたらいいか」と熱い思いを話した、あの感覚を思い出しました。

田野:物理的に帰れないというのも大事ですよね。隔離されたところがある。東京のカンファレンスだと途中参加の方も多いし、何かあったら戻ることもある。でも、もう帰れないですからね。来たからにはそこでやるしかない、というマインドの方が200人集まってくるので、それゆえに濃い議論ができるのだと思います。

佐藤:これは僕が初参加した2017年の金沢からずっとそうで。セッションももちろん有意義なものがあるのですが、やっぱり夜がすごく長いんですよね。19時くらいからパーティーが始まって、知り合いを作るモードに変わる。その後で飲みに行ったり、ご飯に行ったりして、それが21時からずっと夜中4時とかまで。CTOってこんなに体力のある人たちなのかと。僕は体力がある方だったのですが、全然ついていけなくて。そういう流れでフランクに話せたり、普段聞けないことをそのテンションで話せる。しかもずっと経営や組織や技術の話をしているんですよね。普段孤独なCTOの真面目さや包容力が発揮できる場は非常に魅力的だなと思います。

伊藤:隣でそれを見ていて、お店のなかでそこだけ異様な空間なんですよ。周りで若い人たちが賑やかにしているのに、全然違う、熱い空気が流れていて。本気でメンタリングをされていて、ここまでやるんだとびっくりしました。

── とはいえ、CTOが2泊3日も現場を空けることに、周囲から止められることはないのでしょうか。

伊藤:むしろ、そういう方にこそ来ていただきたいんです。CTOは経営を担う一つの役割です。だから視座を上げ続けなければならない。CEOはそれを理解して、引き上げ、送り出していただきたいと思います。



年に一度のつながりが、日常のCTO活動に効いてくる

── これが年に1回のイベントとして、その間の時間にどうCTO活動の糧になっているのか。日常のなかでこういうことに繋がった、というものがあれば伺いたいです。伊藤さん、昨年参加して1年近く経ちましたが、いかがですか。

伊藤:2日目のアンカンファレンスで、グループワークでセキュリティについて話し合ったとき、深い悩みを共有し合ったのですが、そこで得た知識や「ここは思い切って決断すべきだ」と気づかされたことを、すぐに自社で実践しました。

あと、その場で女性同士のつながりができたのも嬉しくて。知り合った方が主催するイベントで登壇させていただいたり、それを採用活動に活かしたりもしました。運営の方が配慮してくださって、AWSのスタートアップ アジアパシフィック&ジャパン地域統括責任者のティファニーさんとランチセッションを持っていただいたのも、その後の視座を上げることにつながりました。

田野:イベントで、いろんな方といろんな話をするじゃないですか。採用も評価も登用もあり、AI活用や開発生産性の話もある。イベントが終わると「この人とこんな話をしたな」というのをメモに残しているんです。その時点ですぐ役に立つわけではないのですが、1年間の事業運営のなかで、自分のホットトピックが生まれてくる。エンジニアリングマネージャーの登用をどうしよう、採用が調子悪いからテコ入れしないと、というときに、すぐ連絡が取れるんです。

相手も意外と覚えていて「あのときこういう話しましたよね」と話していける。規模や問題の質が違うとなかなか話しづらいのですが、200人もいると、自分と規模が近い方や、問題の性質が似ている方がいるんですよね。この問題についてはこの人とディスカッションしたな、というのが大量にインデックスされていく。それがすごく役に立ちます。

佐藤:一番大きいのは、今のInitial EngineのCEOで佃という者がいるのですが、もともとゲーム開発会社をやっていた佃と、CTO Night & Dayで出会ったのが、そもそもの関係の始まりだったんです。そのつながりが後々効いてきて、毎年ご飯に行かせてもらったり話したりするなかで、CTOとして今どんな課題に向き合っているかとか、そういう話を自然と共有し合っていました。それが日常の判断のヒントになっていたんですが、最終的に僕が前職を辞めるタイミングで声をかけてもらって、現在にいたります。

もう一つ、日本CTO協会の前身にCTO会というコミュニティがあったのですが、クローズドで何をしているかわからないなか、CTOのつながりが欲しいと思っていたときに、CTO Night & Dayで出会った人に誘ってもらって入るようになって。そこでも知り合いを作れたり、副次的な効果もいろいろありました。

── もうキャリアにつながっているんですね。

佐藤:全部つながっていますね、僕のなかでは。

迷っているCTOへ ──「迷わず行けよ、行けばわかるさ」

── CTOはまだまだ世の中にたくさんいます。この記事で初めてこの場を知った方や、過去に招待されたけれどやむを得ず行けなかった方もいらっしゃると思います。最後に、そんな方々にこの場を勧めるとしたら、どんな声がけをするか。一言ずついただいて締めたいと思います。

伊藤:AWSのヘビーユーザーではなかったとしても、ぜひ参加していただきたいです。日本CTO協会とこのCTO Night & Dayの両方に参加して、人脈を作り、悩みを話せる仲間を作っていく。それで、日本のテクノロジーを先に進める強い絆ができるんじゃないかと思うんです。私は特に女性で、正直なところ四面楚歌みたいなシーンの経験もあります。そういう人にこそ、男女問わず、ぜひ参加してもらいたいと思います。

田野:本当に、学ぶ・刺激を得る・気づきを得るという点では、これ以上ないイベントだと思います。僕は一度CTOから副社長にタイトルを変えて、またCTOに戻った時期があるのですが、副社長の頃はCTO Night & Dayのビジネス版のようなイベントにも行っていて。そちらも学びが多いのですが、利害関係や、投資を受けているという立場もあって、完全に自分の得たいものが得られるかというと正直少し気を使っていました。

CTOの皆さんはベースがエンジニアなので、オープンソースマインドというか。会社のCTOである以前にエンジニアとしてこの業界を良くしていこう、前に進めていこうという思いをみんな強く持っている。だから刺激も得られますし、すごくいいイベントだと思っています。ぜひ参加してみてください。会場でお会いしましょう。

佐藤:本当に「迷わず行けよ、行けばわかるさ」とお伝えしたいです。参加前は臆してしまったり、すごいCTOたちがいるからどうせ話せないだろうと躊躇したりするかもしれません。でも、その一歩を踏み出してほしいんです。参加されている方はみんな優しくて、優しすぎて逆に「こんなに聞いてもらっていいんですか」という気持ちになると思います。きっかけを作りながら、自分のなかでいろいろ消化したり編集したりする、自社や自身の成長につなげていくにはこれ以上ない最適な場です。2泊3日の参加のためにしっかり時間を空ける、その意味と価値が間違いなくあるものだと思っているので、ぜひ参加していただけたら嬉しいです。

── 一人で抱え込みがちなCTOにとって、ここでのつながりがキャリアにつながるかもしれないし、自分たちの事業につながるかもしれない。そこから何が生まれるかわからないので、今日のお話で興味を持っていただけたら、ぜひ最寄りのAWSの方に話をしてみたり、周りのCTOの方に「こういうイベントがあるらしい」と、ツテをたどってみてください。今日は3名のCTOの方に、貴重なお話を伺いました。ありがとうございました。


CTO Night & Day 2026 開催情報
2026年10月19日(月)〜21日(水) / 神戸

本座談会の完全版は Newbee チャンネルでご覧いただけます。 ▶ https://www.youtube.com/watch?v=MqdH2LctDHU

本イベントは招待制となっております。
ご興味のある方は、お問い合わせフォームよりご連絡ください。https://forms.gle/jqEACVJqmAzTNaQD8

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