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データ分析は「数分から数秒」へ。全国420店舗の「速く、確かな意思決定」を支えるClickHouse
公開日 更新日

データ分析は「数分から数秒」へ。全国420店舗の「速く、確かな意思決定」を支えるClickHouse

写真左:株式会社FiT CTO 渡邊翔永さん
写真右:株式会社FiT SRE 佐藤周弥さん

全国420店舗を展開するフィットネスジム「LifeFit」。同社では店舗数の拡大に伴い、社内の各部門やフランチャイズオーナーからのデータ分析ニーズが増加し、その対応がエンジニアの工数を圧迫していました。

さらに、新規出店に必要なデータが分散していたため、データの収集から出店可否の判断に必要な分析を行うまでに時間がかかり、競合との物件獲得競争においてスピードが課題となっていました。

そこでFiTが新たなデータ基盤として導入したのがClickHouseです。

導入後、出店戦略に必要なデータ抽出は「数分から数秒」へ短縮。フランチャイズオーナー向けの報告資料も、これまで数時間かかっていた作成時間を大幅に短縮しました。

さらに、ClickHouseとClaudeを組み合わせ、社員が自然言語でデータを分析できる環境も構築。プロダクト開発ではA/Bテストが当たり前になり、データをもとに素早く施策を検証し、次のアクションを決めるサイクルが生まれています。

今回はFiT CTOの渡邊さんと、データ基盤の構築を担当した佐藤さんに、ClickHouse導入の背景から選定理由、構築時の工夫、そしてデータ活用によって意思決定がどう変わったのかを伺いました。

全国420店舗への拡大で顕在化した、データ活用の課題




──まずは、FiTの事業について教えてください。

渡邊:弊社は「暮らしにフィットネスを」をビジョンに掲げ、低価格・高品質、24時間利用可能なジム「LifeFit」を全国展開しています。

LifeFitでは、入会から実際のジム利用まで、すべてアプリで完結できるようになっています。アプリで会員登録をしてチケットを購入すれば、すぐにジムを利用できます。

これまでは「簡単に利用できる」ことを重視してきましたが、現在は「簡単に続けられる」ことへとテーマをシフトしています。特に初心者の方に継続して利用いただけるよう、ソフトウェアの機能開発でも、お客様の継続を支えるためのサポートを重視しています。

2026年7月末時点で全国420店舗を展開しており、サブスクリプション会員数は約25万人です。

──そうした事業を運営する中で、日々どのようなデータが発生し、事業に活用されているのでしょうか。

渡邊:まずアプリでは、会員属性やサブスクリプション契約、ジムの利用履歴などのデータを蓄積しています。最近ではトレーニングプログラムを提案する機能も実装しており、提案したプログラムを実施したかどうかといったデータも取得しています。

また、LifeFitは無人店舗なので、店舗の入退館データやゲートなどのハードウェアに関するデータもあります。さらに、新規出店の際には、物件データや地域の商圏データなども活用しています。

──ClickHouse導入以前は、どのような構成でデータを管理・分析していたのでしょうか。

渡邊:基幹システムのデータはAWS Auroraで管理しており、BIツールのMetabaseをAuroraのRead Replicaに接続して分析していました。BigQueryも活用しており、広告関連やGoogle Analytics、アプリの利用状況などのデータを蓄積していました。

──そうした中で、どのような課題を感じ、データ基盤を見直すことになったのでしょうか。

渡邊:一番大きかったのは、店舗数が急速に増えたことで、社内外からエンジニアへのデータ分析依頼がかなり増えていたことです。特に当社では、店舗ごとのキャンペーン結果や会員の属性など、個別店舗に関するデータを求められるケースが非常に多いんですね。

フランチャイズオーナーもいるので、「この店舗で実施したキャンペーンの結果が欲しい」「最近解約した会員の属性が知りたい」「再入会した方の傾向を知りたい」といった依頼が店舗ごとに来ます。そのたびにエンジニアが対応していました。

もう一つは、データが広く分散していたことです。

例えば、新しい店舗を出す際には、その物件に出店した場合にどれくらいの会員を獲得できそうか、商圏データなどを使ってシミュレーションします。ただ、必要なデータがいろいろなところに散らばっていたので、それを集めて分析し、オーナーさんに説明するまでに時間がかかっていました。

一方で、競合他社もどんどん出店しています。条件の良い物件は取り合いになるので、判断に時間がかかると、その間に他社に取られてしまうこともある。出店スピードは事業成長にも直結するため、その判断に必要なデータをいかに早く分析できるかは、事業上重要な課題でした。


「速さ」と「運用しやすさ」が決め手。新たなデータ基盤にClickHouseを選定




──新しいデータ基盤を選定する際、どのような基準で比較・検討されたのでしょうか。

佐藤:それまで部分的に活用していたBigQueryと比較しながら検討しました。

重視したのは、まず構築・運用のしやすさです。そのほか、コストの見積もりやすさ、データパイプラインやBIツールとの連携性なども比較しました。また、フランチャイズオーナーにもデータを共有するため、店舗ごとに閲覧できるデータを制御できるかという権限管理も重要な要件でした。

こうした要件を実際に検証しながら比較した結果、総合的にClickHouseが最も適していると判断しました。

渡邊:あとは、チャットプラットフォームのLibreChatとClickHouseを連携させて、自然言語でデータを扱える点にも魅力を感じていましたね。

もともとエンジニアへのデータ分析の問い合わせが多かったので、MCPを介してClickHouseと連携し、専門的な知識がなくても自然言語で必要なデータを取得できる仕組みは、当社の課題と非常に相性がいいと思っていました。

──実際に検証して、特に印象に残ったポイントはありますか。

佐藤:集計クエリの圧倒的な速さですね。複雑な集計でも非常に高速に処理できるところには驚きました。

もともと日次でデータを集計するニーズもあったのですが、 Refreshable Materialized Viewのような機能を使えば、日次サマリーの自動集計までデータベース内で完結できます。

最終的には、こうした処理性能の高さに加えて、従量課金によるコストの予測しやすさなど、実際の運用まで含めて使いやすいと感じたことが、ClickHouseを選んだ決め手になりました。

──実際の導入はどのような流れで進めていったのでしょうか。

佐藤:2026年3月頃から導入を始め、まずPoCやデータパイプラインの検証を進めました。4月頃にはアーキテクチャを固め、その後、ダッシュボードの構築やデータの拡充を進め、2〜3カ月ほどで基本的なデータ基盤を構築しました。

CTOの渡邊に相談しながら、実際の構築は基本的に私一人で担当しました。ClickHouseさんにも検証や構築の過程でサポートいただいたこともあり、おおむね計画通りに進めることができました。


分析は「数分から数秒」へ。ClickHouseが変えた意思決定のスピードと質




──それまで課題となっていたエンジニアへのデータ分析依頼について、導入後はどのような変化がありましたか。

渡邊:対応工数は大きく減ったと感じています。

現在はClaudeからMCP経由でClickHouseにアクセスできるようにしているので、一次的なデータの確認や分析であれば、社員が自然言語で問い合わせて自分で確認できます。そのため、社内で傾向を見るような分析であれば、エンジニアに依頼せず、ビジネス側だけで完結できるケースが増えました。

一方で、オーナーさんなど社外に提示するデータについても、依頼内容が「このデータを出してください」から、「自分で出したデータが合っているか確認してください」というレビュー依頼に変わってきていて、エンジニアの対応工数も少なくなっています。

こうした構成にできるのも、ClickHouseの集計処理が高速だからこそだと思っています。今のところ、「明らかにこのデータはおかしい」といったケースもなく、問題なく運用できています。

──それは大きな変化ですね。ほかにも、データ分析のスピードが上がったことで生まれた変化はありますか。

佐藤:店舗周辺にどれくらい見込み顧客がいるのかを見る商圏分析など、出店戦略を検討するためのデータ抽出は、「これまで数分かかっていたものが数秒まで短縮」されています。

また、オーナーさんとの定例ミーティングに向けた報告資料の作成も、以前は「数時間ほどかかっていましたが、現在は数十分で完了」できるようになっています。

渡邊:こうした効率化によって、意思決定のあり方も変わってきたと感じています。

例えば、最初に挙げた課題だった物件の申し込みまでのリードタイムは確実に短くなっています。その結果、物件を押さえられる確率が高まり、出店スピードの向上にもつながっていると思います。

また、オーナーさんとの定例ミーティングでも、これまでは資料を作って発表するだけで精一杯だったんです。それが今では、数字を見ながら「じゃあ、次に何をするのか」まで考えられるようになりました。

具体的なアクションまで踏み込んで提案したり、実際に施策を実行したりできるようになった。これは、この3カ月くらいで明確に変わったところですね。


データ活用をさらに事業の中心へ。ClickHouseで広げる次の可能性




──自社やフランチャイズオーナーの意思決定だけでなく、実際にジムを利用するユーザーの体験にも変化はありますか。

渡邊:そうですね。ユーザー体験につながるプロダクト開発でも、データをもとに意思決定することが 大きく増えました。

現在は、ClickHouseにある基幹システムのデータに加えて、BigQueryに蓄積しているGoogle AnalyticsのデータもMCP経由でClaudeにつなぎ、横断的に分析しています。その結果、施策を実施する際にA/Bテストを行い、データを見ながら効果を検証することが当たり前になってきました。




例えば、会員登録の最初の導線を大きく変更した際にもA/Bテストを実施しました。結果として新しい導線の方が明確に良かったので、「すべて新しい導線に統一しよう」という意思決定につながりました。

もっと細かいところでは、「価格表示の円マークを小さくするとコンバージョン率が上がる」という仮説も検証しました。ただ、僕らの場合は有意な差が出なかったので、その施策は採用しませんでした。

こうした細かな仮説もすぐに試して、結果を検証し、次の意思決定につなげるサイクルをかなり速く回せるようになっています。

ClickHouseだけで実現しているわけではありませんが、基幹データを高速に分析できる環境が整ったことが、こうしたデータドリブンなプロダクト開発を進める土台になっていると思います。

──今後、ClickHouseをどのように活用していきたいですか。

佐藤:今後は、BigQuery上にあるGoogle Analyticsやユーザーの行動データ、広告関連のデータについても、ClickHouseへの連携を進めていきたいです。これらをClickHouseに集約し、基幹データと横断的に分析できる環境をつくりたいと考えています。

例えば、広告への接触状況と、その後の来館頻度や継続率、解約率などを組み合わせた分析を、ClickHouse上のクエリ一つで完結できるようにしたいですね。

また、オブザーバビリティ関連のデータもClickHouseに集約していきたいです。システム上で発生した障害や遅延が、サービスやユーザー行動にどの程度影響を与えたのかまで定量的に分析できるようにしたいと考えています。

──今後、ClickHouseにどのような進化を期待していますか。

渡邊: 個人的には、ClickHouse CloudとLangfuse Cloudをよりシームレスに統合できるようになると嬉しいです。

Langfuseは今後、社内でも活用していきたいと思っています。例えば、AIパーソナルトレーナーのような機能で、APIのやり取りをLangfuseでトレースし、AIの回答を評価・改善していく、といった使い方を想定しています。

今後、AIを活用した機能が増えていく中で、こうしたAIのログや評価データも含めてClickHouse上のデータとスムーズにつなげられるようになると、活用の幅はさらに広がると思っています。

──最後に、同じようにデータ基盤の刷新を検討している方へメッセージをお願いします。

佐藤: データ基盤を作るとなると、最初から大きなものを作ろうとしてしまいがちですが、まずは目的を小さくてもいいので定めることが大事だと思います。

そのうえで、まずはパイプラインを一つ、ダッシュボードを一つ作ってみる。ClickHouseは小さな構成から始めて、必要に応じてデータや用途を広げていきやすいので、まず実際に触って試してみるのがいいと思います。

渡邊:ClickHouseは、最近もどんどん機能拡張が進んでいますよね。個人的にはDatadogとのパートナーシップにも注目していて、「これは画期的だな」と感じました。

Datadog と ClickHouse が提携、最新のオブザーバビリティにフルフィデリティ(全量)なデータをもたらす

実際にClickHouseを使っていると、「これやりたいな」と思っていたことが、いつの間にかできるようになっている、みたいなことも結構あるので。そうした進化の速さも含めて、ClickHouseの魅力だと感じています。




制作協力:ClickHouse株式会社

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