社内向け生成AIツールのアーキテクチャ
アーキテクチャの工夫ポイント
KINTOテクノロジーズ株式会社は、「KINTO ONE」(クルマのサブスクリプションサービス)や「KINTO FACTORY」(既存車両の機能アップグレードサービス)をはじめとする様々なモビリティサービスの内製開発をおこなっています。
当社では、社内業務の効率化やナレッジ共有を目的として、Azureを活用した社内向け生成AIプラットフォームを現在開発しています。ここでは、そのアーキテクチャを中心に採用理由や設計・運用上の工夫についてご紹介します。
社内向け生成AIプラットフォームの開発背景
当社ではAIファーストグループが中心となり、以前からSlackベースの「生成AI Bot」を提供してきました。全社的にAIリテラシーが高まるにつれ、より柔軟なWebベースのAIプラットフォームへの需要が高まり、本プラットフォームの開発が始まりました。
技術選定の理由と実装の工夫

本プラットフォームでは、基本的なチャット応答やドキュメント検索(RAG)に加え、MCP経由でのWeb検索や外部サービス連携といった機能を提供しています。AIモデルにはAzure OpenAI Serviceのほか、GeminiやClaudeなども用意し、各モデルの特性を実際に比較・体感できる環境を整えています。
アプリケーションの実行基盤にはAzure Container Appsを採用し、補助的な機能群はAzure Functionsとして分離・実装しています。Container AppsからHTTP / MCP経由でFunctionsや外部サービスを呼び出す設計により、先述したWeb検索のような動的な外部連携を、柔軟かつスケーラブルに実現しています。
Azure OpenAI Serviceの採用は、前身であるSlack Botからの技術的な延長線上にあります。Azureの高いプライバシー基準に加え、開発当時、高性能なAIモデルを最も利用しやすかったことも採用理由となりました。また、データストアにはAzure Cosmos DBを採用し、統合されたベクトル検索機能を活用することで、効率的な検索と運用のシンプル化を実現。複雑なワークフロー管理にはAzure Durable Functionsを採用しています。
成果と今後の展望
「社内向け生成AIツール」の導入によって社内のAI活用が促進され、社員の業務効率向上や生成AIリテラシーの向上が進んでいます。今後はエージェント機能に加え、マルチモーダルやコラボレーション機能などを拡充し、より総合的なAIプラットフォームへと進化させていきます。
◆執筆:グループコアシステム部 共通サービス開発G 鳥居 雄仁 @yu_torii
会社情報

KINTOテクノロジーズ株式会社
従業員規模 301名〜500名
エンジニア組織規模 101名〜300名
KINTOテクノロジーズは、トヨタグループ唯一のBtoC・DtoC領域に特化した内製開発組織です。世界30ヵ国で展開する『KINTO』関連プロダクトや『my route』などの、クルマに乗る「人」に焦点を当てた新しいサービスを開発・運用しています。
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KINTOテクノロジーズ株式会社 / 島村純平
EM / インフラエンジニア / 従業員規模: 301名〜500名 / エンジニア組織: 101名〜300名
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EM / インフラエンジニア / 従業員規模: 301名〜500名 / エンジニア組織: 101名〜300名
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メンバー / バックエンドエンジニア / 従業員規模: 301名〜500名 / エンジニア組織: 101名〜300名