Claude Codeの社内展開と活用促進に向けた取り組み
ツクリンク株式会社 / ida.
チームリーダー / テックリード / 従業員規模: 101名〜300名 / エンジニア組織: 11名〜50名
| 利用プラン | ツールの利用規模 | ツールの利用開始時期 | 事業形態 |
|---|---|---|---|
Teamプラン | 11名〜50名 | 2024年3月 | B to B |
| 利用プラン | Teamプラン |
|---|---|
| ツールの利用規模 | 11名〜50名 |
| ツールの利用開始時期 | 2024年3月 |
| 事業形態 | B to B |
導入の背景・解決したかった問題
導入背景
導入背景
弊社ではこれまでもエンジニアの生産性向上を目的に、AIコーディングツールの活用を推進していました。しかし当初はツールの選定や運用を各エンジニアの判断に委ねていた部分が多く、活用は各メンバーの意欲やキャッチアップ次第でばらつきがあり、積極的に活用しているメンバーがいる一方で、なんとなく使っている程度に留まるメンバーもいました。チームとして一体的に活用できていない課題があり、この状況を改善するため、ツールの統一とチームへの展開に取り組みました。
ツール導入前の課題
GitHub Copilot・Cursor・Claude Code がチーム内で混在しており、ツールの選択は各エンジニアの裁量に委ねられていました。この状況により、以下のような課題が生じていました。
- 個々の生産性は向上しつつある一方で、設定方法や活用ノウハウが属人化し、チームとしての恩恵を最大化できていなかった
- AIの最新情報をキャッチアップして社内展開する活動も行っていたが、複数ツールが混在していたことで情報の整理に時間がかかり、受け取る側にとっても情報過多で読む負荷が高い状態だった
- 管理者がツールごとにライセンスやアカウントを管理する工数がかかっていた
- ツールごとにナレッジが分散し、組織全体での知見共有が難しかった
- あるツールで発見された便利な設定やアップデートが、他のツールユーザーには届かなかった
どのような状態を目指していたか
上記の課題を解消するにあたり、以下の状態の実現を目標として掲げました。
- 開発環境を最適化し、業務効率化とトイル削減を実現する
- 最新技術のキャッチアップを習慣化し、組織全体の理解度を底上げする
- 個人単位の取り組みから、チームで知見を共有し続ける体制への転換
比較検討したサービス
- GitHub Copilot
- Cursor
- Codex
比較した軸
チーム全体での設定統一
設定をGit管理し、チームメンバー全員が同じ状態でスタートできるか。個人の環境差異をなくし、オンボーディングコストを下げられるかカスタマイズ性
チームの開発ルール・コーディング規約・ワークフローをツール側に組み込めるか。AIの振る舞いをチームの文脈に合わせて制御できるかエディタ非依存
特定のエディタに縛られず、開発者が使い慣れた環境のままツールを活用できるか。ツール導入がエディタ移行コストを生まないか進化のスピード
ツール自体が継続的に改善されチームのニーズに応える機能が追加されていくか。生成AI領域の変化が速い中で、ツールがその進化に追随できるかセキュリティ統制
コマンド実行の許可・禁止を細かく設定できるか。チームとして安全にAIエージェントを運用するための統制手段を持てるかコミュニティの活発さ
利用者が多く、活用事例やノウハウを発信しているエンジニアが多いか。情報が集まりやすい環境であることで、チームのキャッチアップコストを下げられるか
選定理由
主な選定理由は以下です。
カスタマイズ性の高さ
CLAUDE.md / settings.json / Hooks 等を活用してプロジェクト・チーム固有の設定を全体に適用できたり、サブエージェント、Agent Teamsによる複数エージェントの協調まで、幅広いカスタマイズに対応している。(検討当時は他ツールで未対応の機能も多かった)モデル精度の優位性
検討当時、コード生成・理解の精度において他ツールと比較して優位にあり、実際の開発業務での質が高かったエディタ非依存のCLI設計
VS Codeからでもターミナルアプリからでも利用でき、開発者の好みを制限しないアップデートスピードの速さ
他ツールに先んじて新機能が継続的に追加されており、今後の進化への期待も高かった活発なコミュニティ
活用事例やノウハウが集まりやすく、チームへの展開・学習コストを抑えやすい
導入時の苦労・悩み
他ツールからの移行支援
各エンジニアがそれぞれ異なるツールを使っていたため、Claude Codeへの移行にあたってはノウハウの共有を重点的に行いました。また「前使っていたツールでは〇〇ができた」という声に対して、Claude Codeで同等の操作や代替手段を実現できるかの検討・対応も都度行いました。移行初期は開発優先で使い慣れたツールを使いがちになるので、慣れてもらうために工夫をする必要がありました。
料金プランの見直し
当初はAPIで利用していましたが、利用量に比例してコストが嵩むことが課題になりました。Claude Codeのチーム向けプランや、複数エージェントを並列実行できるCoworkなどの機能が登場したタイミングで、Teamプランへの移行を行いました。
セキュリティガイドラインの整備
Claude CodeはファイルやCLIへのアクセスをAIに委ねるため、破壊的なコマンドの実行リスクがあります。settings.json の permissions で allow / deny を細かく定義する必要がありました。また、Hooks を活用することで、特定のコマンド実行前後に独自の検証処理を挟み込み、意図しない操作を未然に防ぐ仕組みも整備しました。こうした設定をまとめた社内向けセキュリティガイドラインを作成し、チーム全員が同じ基準で運用できる体制を整えました。
信頼できないスキルのリスク周知
Claude Codeのスキルやプラグインといった機能は便利ですが、信頼できないスキルやプラグインに悪意あるコードが仕込まれるリスクがあります。便利な機能だけを周知するのではなく、セキュリティ上の注意事項を週次で継続的に共有する運用を行いました。
導入に向けた社内への説明
上長・チームへの説明
まず少人数でツール選定を行い、チーム全体への展開を見据えてどのツールに統一するかを検討しました。前述したカスタマイズ性の高さ・Anthropicのアップデートスピードの速さ・モデルの精度などを比較軸として評価した結果、Claude Codeを選定した旨をチームに説明しました。あわせて、ツールを統一することでナレッジが一元化され、活用事例や設定ノウハウを効率よく共有できるメリットも伝えています。一方でAIの進化は非常にスピードが速いため、定期的に選定の見直しを行う運用も設けることとしました。
費用対効果・コスト最適化
導入に際して、コスト面については懸念点として挙がりました。対応としては、利用頻度や用途に応じてTeamプランのPremiumシートとStandardシートを使い分けることでコストの最適化を図りました。ヘビーユーザーにはPremiumシート、利用頻度が低いメンバーにはStandardシートを割り当てることで、チーム全体のライセンスコストを抑えながら必要な性能を確保するようにしています。 また、個人単位のトークン消費を抑えるための対策として、不要なコンテキストの読み込みを減らす使い方や、コンパクションの活用など、効率的な利用方法をチーム内で周知しました。
活用方法
よく使う機能
settings.jsonによる設定の統一管理
settings.json をリポジトリで管理することで、チーム全員が同じ権限設定・環境変数・ツール設定でClaude Codeを起動できます。新メンバーのオンボーディング時にも設定の差異が生じず、即戦力として動ける環境を整えています。
Skillsの活用
チームの開発フローに合わせた独自のスキルを定義し、繰り返し使う操作をワンコマンドで実行できるようにしています。コードレビュー・テスト実行・アラートのトリアージなど、チーム固有のワークフローをClaude Codeに組み込んでいます。
Hooksによるガードレール
コマンド実行の前後にカスタム処理を挟める Hooks を活用し、危険な操作の実行前に確認を求めたり、特定のコマンドを自動ブロックする仕組みを整備しています。AIの自律的な動作に対する安全網として機能しています。
Sandbox機能
ファイルシステムやネットワークへのアクセスをコントロールすることで、意図しない操作が本番環境や重要なファイルに影響を与えるリスクを軽減しています。
GitHub ActionsとClaude Code Reviewの連携
PRが作成されると自動でClaude Codeによるコードレビューが走るよう、GitHub Actionsと連携しています。人間のレビュアーがビジネスロジックや設計判断に集中できるよう、機械的なチェックをAIに委譲しています。
ツールの良い点
アップデートスピードが速い
Anthropicのアップデート頻度は非常に高く、新機能や改善が継続的にリリースされています。生成AI領域の進化に合わせてツール自体も素早く進化するため、常に最新の恩恵を受け続けられる点は大きな安心感につながっています。
情報が集まりやすい
利用者が多く、活用事例やノウハウをアウトプットしているエンジニアが多いため、困ったときに参考になる情報が見つかりやすい環境です。コミュニティの活発さがチームのキャッチアップコストを下げることにも貢献しています。
ツールの課題点
障害時における業務停止リスク
Claude Codeはクラウドサービスであるため、Anthropic側の障害やAPIの一時停止が発生した場合、Claude Codeに依存した開発フローが停止するリスクがあります。また、バージョンアップや仕様変更によって既存のスキル・設定が意図せず動作しなくなる可能性も考慮が必要です。重要な開発プロセスにおいては、Claude Codeなしでも業務を継続できるフォールバック手順を整備しておくと良いと思います。
セキュリティリスクの継続的な監視
AIの普及後、セキュリティインシデントは明らかに増えていると思います。アーティファクトのセキュリティにも注意しつつ、利用環境においても注意が必要です。また、ガイドラインを整備して終わりではなく、最新の脅威情報をキャッチアップし続ける必要があります。
ツールを検討されている方へ
まず少数のメンバーで検証してから全体導入する
AIツールの進化は非常に速く、流行り廃りも激しいため、いきなり全体導入するのはリスクがあります。まずは少人数で検証し、チームに合うかどうかを見極めてから展開するのがおすすめです。同様の理由で、年払いプランは柔軟性が下がるため慎重に検討することをお勧めします。
機能を一つずつ試して段階的に最適化する
Claude Codeは機能が非常に多く、一度にすべてを使いこなそうとするとパンクします。まずはコーディングや調査を気軽に頼むところから始め、AIの間違いや不足をCLAUDE.mdや設定ファイルで補いながら徐々に最適化していくのが現実的です。定型的なタスクが見えてきたらSkill化するなど、使いながら育てるイメージで進めると無理なく定着します。
継続的な情報のキャッチアップと展開を行う
アップデートが頻繁なため、少し前のベストプラクティスがアンチパターンになっていることもあります。チーム内で最新情報を定期的に共有・展開する仕組みを作っておくことが、長期的な活用水準の維持につながります。弊社では有志のメンバーで毎週AIの収集・キャッチアップして全体へ展開したり、Anthropicが公開しているClaude Codeのベストプラクティスのドキュメントの読み合わせをやって全体理解の向上を図る取り組み等を行っています。
今後の展望
Claude Codeは機能が多くアップデートも速いので、全体的にエンジニアチーム全体に浸透しているとはいえないと思っています。今後はチーム全体での活用度をさらに高め、開発生産性の向上を図れると思います。 また、Claude Codeの他にもCoworkやClaude Designといった機能も追加されてきており、開発業務以外の領域でも活用できる部分は多くあると思います。ドキュメント作成やデータ分析をはじめ、マーケティング・市場調査といった領域への展開も視野に入れて活用していけると思います。
ツクリンク株式会社 / ida.
チームリーダー / テックリード / 従業員規模: 101名〜300名 / エンジニア組織: 11名〜50名
よく見られているレビュー
ツクリンク株式会社 / ida.
チームリーダー / テックリード / 従業員規模: 101名〜300名 / エンジニア組織: 11名〜50名


