freee における Claude Code の導入と活用
フリー株式会社 / Yuhei Nakayama
チームリーダー / フルスタックエンジニア・プロダクトエンジニア
| ツールの利用規模 | ツールの利用開始時期 | 事業形態 |
|---|---|---|
| 501名〜1,000名 | 2025年7月 | B to B |
| ツールの利用規模 | 501名〜1,000名 |
|---|---|
| ツールの利用開始時期 | 2025年7月 |
| 事業形態 | B to B |
導入の背景・解決したかった問題
導入背景
freeeでは2025年よりAI駆動開発を本格始動させ、AIツールを活用した開発生産性の劇的な向上を模索していました。当初はClineやRoo Code、codexなど、多種多様なAI Coding Agentツールを社内で導入・検証していました。それぞれのツールに強みがありましたが、開発環境や知見の分散を防ぎ、組織全体で爆発的なシナジーを生み出すためには、ツールの集約が必要であると考えました。
そこで、現場のエンジニアから最も支持が高く、高いパフォーマンスを発揮していたClaude Codeへと一本化していく方針をとりました。その一本化にあたり、社内の機密情報や重要データを安全に扱えるセキュアな組織管理環境を整備し、全社的な正式導入へと舵を切りました。
比較検討したサービス
- Codex
- Gemini CLI
- Cursor
- Cline
- Roo Code
- GitHub Copilot
比較した軸
選定において最も重視したのは、現場の開発者が実際に最も高いパフォーマンスを発揮し、一本化するに足るツールはどれかというボトムアップの視点、そして投資対効果の2点でした。
選定理由
複数のAIコーディングツールを開放し、現場に自由に選択してもらう検証期間を設けたところ、社内のコーディングエージェントにおけるClaude Codeの利用率が80%超という圧倒的なシェアを獲得しました。ツールとしての実用性と現場の支持が群を抜いていたことが最大の決め手です。
さらに、コスト面においても非常に高い経済合理性がありました。freeeでは、2025年7月からClaude MaxプランやAmazon Bedrock経由での活用をスタートしていましたが、2026年3月からは従量課金モデルであるClaude Enterpriseの利用も開始しました。 ヘビーユーザー向けのClaude Max定額プランと、組織管理・セキュリティに優れたEnterpriseプランの従量課金をうまく組み合わせることで、コスト最適化とガバナンスを両立できる点が大きな魅力でした。
導入の成果
Claude Codeの全体導入後、全体のトークン消費量は当初比で7〜8倍に急増しました。現在ではエンジニアのほぼ全員が利用しており、活用が定着しています。 さらに、この波は開発組織内だけにとどまらず、現在ではエンジニア以外の職種(PdMやカスタマーサクセスなど)にも利用が広がっており、全社的な業務効率化・AI活用の基盤になりつつあります。 また、1人あたりの月間PR数が順調に右肩上がりのトレンドを描くようになり、特にコードの大部分をAIが生成したPRの割合は60%を超えました。 また、活用にあたっては現場のエンジニアがClaude Codeで開発生産性を最大化できるよう、独自の社内 Plugin Marketplace も構築しました。効率的な実装のためのスキルや社内基盤の使い方、またセキュリティレビューや脆弱性診断など、社内の標準的なプロセスに則ったプラグインを配布しています。
導入時の苦労・悩み
freeeでは以前から自社でLLM基盤と呼んでいる独自プロキシを構築しており、リクエストログをDatadogで収集し、メンバーごとのトークン消費量やコストをリアルタイムで詳細にモニタリングできる状態になっていました。 これらの資産がClaude Codeにも活用できたため、基本的な計測や統制には苦労しなかった一方で、Max Plan利用におけるガバナンスやセキュリティの整理や従量課金モデルにおけるコストの見通しと管理は大きな論点でした。 特にガバナンスやセキュリティについては、Legal、Security、労務、経理などの各専門部門と何度も協議を重ね、freee独自の利用・運用方針を策定していきました。
導入に向けた社内への説明
上長・チームへの説明
Claude Codeは高い生産性をもたらす反面、利用量の急増に伴って全体のコスト予測が難しくなるリスクを孕んでいました。 そのため、当時の社内利用増加ペースから逆算し、事前のコストシミュレーションを徹底。ヘビーユーザーはClaude Maxを併用するなども検討しながら、Claude Codeを全社展開できるプランを検討しました。
また、現場への展開にあたっては、AIツールの選択の自由は維持しながらも、ツールをチームで統一することの有用性について説明し、並行して社内向けのガイドラインやプレイブックの推進などを進めました。
活用方法
よく使う機能
コーディング&デバッグ 通常の対話による実装の他、Skillsによる定型作業の自動化やJiraチケットからの自動実装、Bugsnag MCPやDatadog MCPと連携したバグ修正など
設計作業やチケット作成 機能開発のための DesignDoc の作成や更新、Jiraチケットの自動作成
ツールの良い点
- 実装・検証のイテレーションが速くなり、エンジニアの生産性に大きく寄与している点
- 洗練されたCLIインターフェイスとWeb機能、エンジニアが日常的に使うプラットフォームと連携できる点
ツールの課題点
- ツールの習熟度にはメンバーごとの差があり、特に並列作業をさせるような働き方は、まだ全員が完全に適応しきれているわけではなく、継続的なスキルEnablingが必要
- コスト面においては、メンバーごとの上限設定やClaude Maxがあるものの、最適化は引き続き必要である点
ツールを検討されている方へ
freeeでは活用推進にあたって「トークンをこれだけ消費しろ」「PR数を無理やり増やせ」といった強制的なKPIは設定しませんでした。測定は徹底的に行いつつも、どう使うかの創意工夫はある程度、現場のエンジニアの自発性に委ね、ワイワイと楽しく使うお祭り感を演出しました。これが結果として、目標を大幅に超える爆発的な普及と生産性向上につながったと感じています。
今後の展望
これまでは「AIツールを全社に導入し、とにかく打席に立ってたくさん使う、PR数を増やす」という量のフェーズでしたが、これからはプロダクトとしてのアウトカムを最大化させるために、AIを前提としたプロダクト開発プロセス全体の再設計を本格化させます。上流の仕様定義の標準化や、仕様定義からの実装の自動化、そしてQAやレビューサイクルでのAI活用をより促進するなどを通じて、アウトカムの最大化を目指していきます。
フリー株式会社 / Yuhei Nakayama
チームリーダー / フルスタックエンジニア・プロダクトエンジニア
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