コーディングエージェントClineのWebアプリ開発への導入と課題
株式会社Works Human Intelligence / 寺尾拓
テックリード / テックリード
利用プラン | 利用機能 | ツールの利用規模 | ツールの利用開始時期 | 事業形態 |
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フリープラン | コーディングエージェント機能 | 11名〜50名 | 2025年5月 | B to B |
利用プラン | フリープラン |
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利用機能 | コーディングエージェント機能 |
ツールの利用規模 | 11名〜50名 |
ツールの利用開始時期 | 2025年5月 |
事業形態 | B to B |
導入の背景・解決したかった問題
導入背景
ツール導入前の課題
生成AIによるコーディングエージェントの性能が急速に高まっており、 実開発業務においてどの程度実用性があるのかの検証が課題となっていました。
GitHub Copilotは利用していましたが、(当時は)コンテキストに必要なファイルを手動で追加する必要があるため、開発者が常に指示する必要がありました。
どのような状態を目指していたか
コーディングエージェントを導入することで開発業務の一部をAI化し、AIが作業をしている間に開発者が別のタスクに取り組める状態を目指しました。
比較検討したサービス
- GitHub Copilot Agent
- Devin
比較した軸
重視していた点は二点ありました。
- エージェントとしての自律性があり、製品のソースコードでもタスクを完遂できること、
- 機密情報である製品ソースコードを取り扱うため、情報流出のリスクがないことでした。
選定理由
- オープンソースソフトウェアとして実装が公開されていること、
- 危険なコマンドは承認を求める機能があり、エージェントが暴走するリスクを使用者が管理できることと、
- 幅広いAIモデルが利用可能で、Amazon Bedrock, Azure OpenAI, Google Vertex AIのようなエンタープライズ向けのAIサービスを自在に組み合わせられること
導入の成果
改善したかった課題はどれくらい解決されたか
当初期待していた通り、AIが自律的にコードを実装し、発生したエラーを解決してくれるので、実装スピードが向上しました。
また想定を上回った点としてはMCP連携機能でした。GitHubやFigmaのMCPサーバと連携することで、Figmaからフロントエンドのソースコードを作成したり、GitHubのチケットを起票する業務を効率化することができました。
ただし、AIが意図しないファイルを修正することがあるため、開発者がこまめに監督する必要があり、当初目標としてたAIの作業中に開発者が別のタスクをできるようにすることは達成できませんでした。
どのような成果が得られたか
Claudeのモデルと連携することでフロントエンドの実装が劇的に早くなりました。これまでは1週間以上かかっていたフロントエンドの実装タスクが一日で画面が動くようになりました。
ただし、実装されたコードを開発者が理解できる状態までコードレビューを行うためには以前よりも時間がかかるようになり、開発業務全体で見ると1.5-2倍程度の時間短縮になりました。
開発業務をAI化することのメリットの一つとして、作業ログがテキストとして残るということがわかりました。発生したトラブルやその対応を追跡できるようになり、コードベースの課題を分析して改善できる可能性を感じています。
導入時の苦労・悩み
リポジトリのコーディング規約を理解してもらうために.clinerulesファイルを整備する必要がありました。同時期にGitHub CopilotやDevin向けの指示も整備する必要があり、AI向けの指示書が乱立するという課題がありました。
また、自律性が高いがゆえに意図しないところまで修正することがあり、開発者が適宜監督する必要があったり、コードレビューで確認する工数が増えました。
導入に向けた社内への説明
上長・チームへの説明
AIの導入自体には可能性を感じており、是非ともすすめてほしいといった指示がありました。 ただし、機密情報を取り扱うため、セキュリティ面の懸念をクリアにするように説明を行いました。
活用方法
よく使う機能
- Plan機能
- MCP連携(GitHub, Figma)
- モデルの切り替え機能
ツールの良い点
- さまざまなAIモデルを組み合わせられるので用途に応じて適切なモデルを使い分けられる。
- シンプルな設計でありエージェントの挙動を理解しやすい。
- AIが読むべきでないファイルを.clineignoreファイルに書くことで除外できる。
ツールの課題点
AIモデルの利用料が従量課金であるため、多人数で使う場合、予算の管理が課題です。小規模なチームであれば管理しやすいですが、開発部門全体に広める際にはLiteLLMのプロキシを立てるなど工夫が必要。
ツールを検討されている方へ
AIコーディングエージェントはさまざま出てきており、どれを使うべきなのか悩むことが多いと思います。 それぞれのツールに短所、長所があり、いくつかのツールを使い分けることが必要だと思います。 またコーディングエージェントはまだ万能ではありません。実アプリケーションでAIのスキルを超えるタスクを依頼するとコードベースが破壊されます。使う側もAIの技量を見極めた上でタスクを割り当てるスキルを身につけなければなりません。
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