freee での Cline の利活用
フリー株式会社 / Yuhei Nakayama
チームリーダー / フルスタックエンジニア
ツールの利用規模 | ツールの利用開始時期 | 事業形態 |
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301名〜500名 | 2025年4月 | B to B B to C |
ツールの利用規模 | 301名〜500名 |
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ツールの利用開始時期 | 2025年4月 |
事業形態 | B to B B to C |
アーキテクチャ

アーキテクチャの意図・工夫
- セキュリティ確保を最優先とし、全通信が社内プロキシを経由する構成を採用。
- プロキシサーバにて、入力情報のマスキングと出力コマンドのチェックを一元的に実施。
導入の背景・解決したかった問題
導入背景
当時、既存のAIツール(GitHub Copilot等)の利用は進んでいましたが、開発プロセス全体の抜本的な効率化には限界があり、より自律性の高い全社で使えるAIコーディングエージェントツールへの期待が高まっていました。そこで、Clineを始めとしたAIコーディングエージェントを、開発プロセスへ標準的に組み込むことを念頭に、導入を進めることになりました。
比較検討したサービス
- GitHub Copilot
- Cursor
- Windsurf
比較した軸
- ソースコードや機密情報の保護、不正なコマンド実行の防止ができること
- 従量課金コストの可視化と統制ができること
選定理由
- Amazon Bedrock などを利用している社内LLM基盤がバックエンドとして利用できたこと
- 性能面で社内開発者の評価が良かったこと
導入の成果
多くの開発者が生産性アップを実感し、Cline 以外のAIコーディングエージェントも含めると利用率は86%まで達しました。特に利用量の多い開発者に関してはPull Request数の増加などが見られました。 また、コーディング以外の作業でもシステム設計やドキュメンテーション、コードリーディングなどにも利用され、幅広い業務での作業効率化に繋がりました。
導入時の苦労・悩み
主にセキュリティ、コスト、利用者リテラシーの3つの課題がありました。
セキュリティ面では、ソースコードの学習利用、機密情報の外部送信、危険なコマンド実行といったリスクが課題でした。対策として、入力データが学習に利用されないAmazon Bedrockを採用し、さらに独自プロキシによる入力情報のマスキングと出力コマンドのガードレールを実装しました。
コスト面では、従量課身制によるコスト高騰のリスクや、費用対効果の把握が課題となりました。これには、Bedrockへのタグ付けやプロキシ経由のログ分析を通じて、利用状況をリアルタイムで監視・可視化する仕組みを構築して対応しました。
利用者リテラシーの面では、使い方による効果のばらつきや、設定不備がセキュリティリスクに繋がる点が課題でした。対策として、共通の利用ルールを策定するとともに、リスクのある機能(MCP)の利用を制限し、代替となる安全なカスタムMCPを開発・提供しました。
導入に向けた社内への説明
上長・チームへの説明
上記のセキュリティ面やコスト面は各部署から指摘があったため、専用のシステムを構築したりガイドラインを整備するかたちで対応しました。 特に費用対効果面は読めない部分があったのですが、事前に検証していたチームで出ていた開発者の声やコストのモニタリングを徹底することで対応していくことにしました。
活用方法
- コーディング業務(新規実装、リファクタリング、テストコード生成など)で日常的に利用。
- コーディング以外の開発業務(システム設計、ドキュメンテーション、コードリーディングなど)でも利用。
よく使う機能
AIコーディングエージェントとしての機能
ツールの良い点
- 一般的なコーディングエージェントとしての機能を満たしている
- 積極的な機能追加、アップデート
- VSCode との統合
ツールの課題点
- 機能面、性能面で、Roo Code・Claude Code などの後発ツールに劣後する部分がある
- VSCode が必要で単体での実行が難しい
- 多くの場合従量課金となるため、コストが読みにくい
フリー株式会社 / Yuhei Nakayama
チームリーダー / フルスタックエンジニア
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目次
- アーキテクチャ
- 導入の背景・解決したかった問題
- 活用方法