Cursorを活用してデータエンジニアの負担を軽減、データ基盤と分析環境を高速で進化させました
dely株式会社 / Rahadian Presteniko Septi
メンバー / データエンジニア / 従業員規模: 101名〜300名 / エンジニア組織: 11名〜50名
利用プラン | ツールの利用規模 | ツールの利用開始時期 | 事業形態 |
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Enterprise | 11名〜50名 | 2025年5月 | B to B B to C |
利用プラン | Enterprise |
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ツールの利用規模 | 11名〜50名 |
ツールの利用開始時期 | 2025年5月 |
事業形態 | B to B B to C |
アーキテクチャ

アーキテクチャの意図・工夫
これは、私たちのデータ基盤におけるCursorの活用を示したシンプルなデータアーキテクチャ図です。主に、Cursorが基盤内のどこに位置し、どのように活用しているかを簡単に説明しています。 基本的に、Cursorは私たちのデータ基盤の開発や運用をよりスピーディーに進めるための「アドオン」として活用しています。インフラ自体を変更せずに導入できる点も、大きなメリットです。
より詳細なインフラ構成については、以下の記事をご参照ください: https://zenn.dev/dely_jp/articles/2c1d3c42f3bbf6
導入の背景・解決したかった問題
導入背景
ツール導入前の課題
データエンジニアリングの多くの作業、例えばインフラの構築などは、繰り返しのプロセスを含んでいます。特に、インフラを維持するために使用しているツールのアップグレード時には、生産性が大きく低下していました。特に、使用しているTerraformプロバイダーのバージョンをアップグレードする場合、各アップグレードが本番環境に悪影響を与えないことを慎重に確認する必要があり、数ヶ月かかることもありました。また、SQLを使ってデータ変換モデルを作成する際も、繰り返しの多い構造に何度も対応する必要があり、時間を要していました。
どのような状態を目指していたか
- LLMを活用してデータ基盤に関する開発スピードを向上させ、データエンジニアリングチームの生産性を高めることが目標でした。
- インフラ構築やモデル作成といった繰り返しの多い作業を自動化に目指しました。
- 将来的には自然言語によるデータ分析の実現に向けた基盤作りも進めることを目指しました。
比較検討したサービス
- Devin
比較した軸
- Devinはリモートファースト(クラウドで運用)、Cursorはローカルファースト(自分の端末で運用)
- Devinはサンドボックス環境内で動作するため、その挙動が分かりづらい
- Devinは購入したACUの容量に制約されるが、Cursorはリクエスト回数に基づく制限
- DevinのACUが枯渇すると完全に停止するが、Cursorは制限超過後も遅くなりつつ動作を継続可能
選定理由
- Devinは非常に自律的で、プロセスの途中で一時停止したり、調整や方向転換を行ったりする柔軟性が乏しく感じられました。
- ACUが枯渇すると完全に動作不能になる点も課題でした。一方、Cursorはプロセス途中でもインタラクティブに調整可能であり、我々の開発ワークフローに適していると判断しました。
導入の成果
改善したかった課題はどれくらい解決されたか
- Terraformを活用したインフラ準備作業の自動化
- dbtでの繰り返し構造モデル作成の自動化
- ユーザーによるセルフサービスでのデータ分析・モデル作成(理論的に可能と確認、導入方法は検討中) 繰り返しの仕事も簡単にこなせます。
どのような成果が得られたか
- Cursorを用いてTerraform Snowflakeプロバイダーのバージョンアップをスムーズに実施でき、生産性を維持したままアップグレードが可能になった。(詳細:https://zenn.dev/dely_jp/articles/7758009f6ef3d6 )
- dbtでの繰り返しモデル作成をCursorにより効率化し、従来は数日かかっていた作業を数時間に短縮
- 一般ユーザーによるCursorを活用したセルフサービス分析の可能性を確認(本格導入は継続検討中)
導入に向けた社内への説明
上長・チームへの説明
当社はAIツール活用を積極的に推進しており、大きな反対はありませんでした。Cursorについては試用期間を設け、フィードバックを提供。チーム内でも非常に有用なツールと評価され、経営陣もスムーズに承認しました。
活用方法
大きな変更(新しいデータベース、スキーマ、パイプラインなど)
新しいタスクやデータベースの追加など、大きな変更を行う際には、Cursor Agentを使って変更内容を生成し、その結果をレビューしています。
小さな変更(名前や変数の修正など)
コードベース内で名前や変数の修正など小さな変更を行う場合は、Cursor Tabsを使用して、正確な補完候補を得ながら効率よく修正を進めています。
よく使う機能
Cursor Agent
"Vibe"コーディングを実現し、対話的かつダイナミックなコーディング体験が可能になります。Cursor Rulesと組み合わせることで、定義したルールに基づく自動実行が可能となり、より精度の高い回答が得られます。
Cursor Tabs
IDEベースのため、タブ補完機能により開発効率が大幅に向上します。コード補完が素早く行え、開発中の文脈切り替えが減少します。
Cursor Rules
タスク実行の精度と正確性を高めるためのルールを事前に定義できます。
ツールの良い点
- エージェントプロセスとタブ補完の両方をサポート
- 他ツールと比べ高速(クォータが残っている限り)
- ローカルファースト設計によりプロジェクト文脈と高い整合性
ツールの課題点
- リクエスト上限超過後は大幅に速度低下
- プロジェクト文脈を大量に投入したい場合、トークンウィンドウ制限がボトルネックとなる(事前処理が必要
ツールを検討されている方へ
クォータ消費状況を常に確認してください。上限を超えるとパフォーマンスが大きく低下します。
今後の展望
コストを維持したままクォータを拡大することを目指しています。
dely株式会社 / Rahadian Presteniko Septi
メンバー / データエンジニア / 従業員規模: 101名〜300名 / エンジニア組織: 11名〜50名
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メンバー / データエンジニア / 従業員規模: 101名〜300名 / エンジニア組織: 11名〜50名
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目次
- アーキテクチャ
- 導入の背景・解決したかった問題
- 活用方法