Sansan株式会社 Bill One 開発組織におけるDevin活用事例
Sansan株式会社 / Tatsuhiro Ichikawa
メンバー / フルスタックエンジニア / 従業員規模: 1,001〜5,000名
利用プラン | 利用機能 | ツールの利用規模 | ツールの利用開始時期 | 事業形態 |
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Team | Devin Session, Devin Wiki, Ask Devin | 51名〜100名 | 2025年1月 | B to B |
利用プラン | Team |
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利用機能 | Devin Session, Devin Wiki, Ask Devin |
ツールの利用規模 | 51名〜100名 |
ツールの利用開始時期 | 2025年1月 |
事業形態 | B to B |
導入の背景・解決したかった問題
導入背景
ツール導入前の背景
Bill Oneでは、生産性向上の新たなアプローチとして、AIエージェントツールの可能性を探っていました。 特に「Devin」という世界初の自律型AIソフトウェアエンジニアが、実際の開発現場でどれだけ活用できるのか検証したいという思いがありました。
どのような状態を目指していたか
いきなりプロダクトのメイン機能開発に組み込むのではなく、まずは日常的な運用タスクから始めてみようというアプローチでした。 顧客からの問い合わせ対応、不具合調査、バグ修正などをAIに任せることで、エンジニアがより創造的な業務に集中できる環境を目指しました。
そのほか、UIライブラリ移行に伴う定型的な作業の効率化を期待していました。
比較検討したサービス
- GitHub Copilot
- Cline
- Cursor
比較した軸
GitHub CopilotやCursorはIDE上でコーディングを補助する「個人の能力強化」ツールです。 一方、DevinはSlackから指示を受けて独立してタスクをこなす「チームの一員」として機能します。
この非同期で自律的な動作が、エンジニアの作業時間確保につながると考えました。
選定理由
当時、Devinのような非同期タスク実行が可能な自律型AIエージェントは他に存在しませんでした。 タスクの解釈から実装、PR作成までを一気通貫で実行できる点が最大の魅力でした。
また、社内の他部署でも導入検証が始まっており、ナレッジ共有や予算面での連携がとれそうだったことも大きな後押しでした。
導入の成果
改善したかった課題はどれくらい解決されたか
顧客問い合わせの調査、不具合調査、運用アラート等の一次調査をDevinに任せることで、 エンジニアの日常的な負担が確実に軽減されました。
特に大きな成果を得たのが、UIライブラリの移行作業です。 Devinによってプロダクト画面 50画面分の移行作業PRを作成できたため、 作業が大幅に加速し、期待以上のスピードで進められました。
どのような成果が得られたか
- 調査工数の削減: 顧客問い合わせの仕様確認、機能の影響範囲調査、過去実装の確認などの時間を短縮
- リファクタリングの加速: UIライブラリ移行作業を加速
- 塩漬けタスクの解消: 後回しになりがちだったバグ修正や改善作業が迅速にプロダクトに反映
導入時の苦労・悩み
導入自体はスムーズでしたが、全社利用を進める中で大規模組織ならではの課題が出てきました。
- Knowledgeの管理: 全社で1つのTeamプランを共有しているため、他チームのKnowledgeも混在し管理が煩雑
- 実行環境の競合: Devin Machineのセットアップは同時に1つのRepositoryしか実行できない。タイミングが重なると待ち時間が発生
導入に向けた社内への説明
上長・チームへの説明
予算面では「ジュニアエンジニア一人分の人件費」との比較で費用対効果をアピールしました。
調査系タスクや軽微な修正をDevinに任せることで、エンジニアがより事業貢献度の高い開発に集中できること、 その結果チーム全体のアウトプットが向上することを説明し、承認を得ました。
活用方法
SlackからDevinにメンションする形でタスクを依頼しています。
- 実装・修正: バグ修正、リファクタリング、テスト拡充、小規模な機能追加
- 調査対応: 顧客からの問い合わせや機能開発に伴うコードベース調査
- オンボーディング: 新メンバーがDevin Wikiで未知のコードを把握
よく使う機能
- Devin Session(コーディング機能)
- 実装から不具合調査、問い合わせ対応まで幅広く利用している
- 最近ではプロダクトの機能開発に使う事例も出始めている
- Devin Wiki
- コードベース全体を読み解き、ドキュメントを自動生成してくれる機能
- 新規参画メンバーのオンボーディングや、普段触らない領域のキャッチアップに大変役立っている
ツールの良い点
- 非同期・自律的なタスク実行: 一度依頼すれば完了まで自律的に作業する「手離れの良さ」が最大の魅力
- Slackとの親和性: 普段使っているツールからシームレスに依頼できる
- 調査能力の高さ: 大量のコードから目的の処理を特定する作業で威力を発揮
ツールの課題点
- モデルの性能: 指示の解釈ミスや期待と異なるアウトプットなど、改善の余地あり
- 大規模組織での利用: Knowledge管理の煩雑さ、実行環境(Devin Machine)の競合問題
- コスト: 従量課金(ACU)で複雑なタスクは高額になるリスクあり
- 競合ツールの出現: 今ではDevin以外にも選択肢が多数。優位性の維持に課題
ツールを検討されている方へ
調査系タスクやリファクタリングをDevinに任せることで、エンジニアはより重要な業務に集中できます。 「チームの一員に仕事を振る」感覚で使うのがポイントです。
ただし、大規模組織ではTeamプランの制約(Knowledge共有範囲、実行環境の競合)に注意が必要です。運用ルールをしっかり整備しましょう。
今後の展望
現状は具体的な指示が必要ですが、将来的には仕様書を渡すだけでコードが生成されるような「真のAI駆動開発」の実現を期待しています。
AIエージェントの進化は速く、開発のあり方を根本的に変える可能性を秘めています。 私たちも継続的に活用し、AIと共存する新しい開発スタイルを模索していきます。
Sansan株式会社 / Tatsuhiro Ichikawa
メンバー / フルスタックエンジニア / 従業員規模: 1,001〜5,000名
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