レバテック開発部の Devin 活用事例
レバテック株式会社 / 塚原渉
チームリーダー / フルスタックエンジニア
利用プラン | ツールの利用規模 | ツールの利用開始時期 | 事業形態 |
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Teamプラン | 51名〜100名 | 2025年4月 | B to B B to C |
利用プラン | Teamプラン |
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ツールの利用規模 | 51名〜100名 |
ツールの利用開始時期 | 2025年4月 |
事業形態 | B to B B to C |
導入の背景・解決したかった問題
導入背景
レバテックでは、長期間運用しているプロダクトの運用保守やリプレイス、新規プロダクト開発など異なるフェーズの開発がチームごとに進んでいます。このようにチームそれぞれで状況が異なるなかでも、「品質を保ちつつ開発速度を向上させたい」という点は共通していました。 そのため、主に開発速度の向上を期待して、発表当初から話題になっていた Devin を導入しました。
導入の成果
- 2025年8月中旬時点での Devin の利用状況
利用人数: 59人 (15チーム)
セッション数: 1001セッション
マージしたPR 数: 261件
消費 ACU: 2814 ACUs - 費用対効果
特に機能追加や機能改修のタスクにおいて、一つのセッションで数万円単位の費用対効果が出たケースが多くあり、総合的にある程度高い費用対効果を出せていると思います。また、新規実装以外の既存コードベースの調査やレビューにおいても費用対効果が出せています。しかし、「広範囲のリファクタリングを一つのセッションで実装しようとしたケース」や「小さすぎるタスクを Devin に依頼したケース」などでは、費用対効果がマイナスになるケースが一部見られました。
導入に向けた社内への説明
上長・チームへの説明
まずは小さく効果検証をおこなうため、一部の希望チームを対象に利用を開始しました。その利用メンバーには、マイナス面・プラス面の特徴があったセッションについて定性・定量の効果を蓄積してもらいました。その後、蓄積した効果のうち定量的なものを集め 消費した ACU の金額 - 削減時間分の時給
という計算式で費用対効果を集計したところ、一定の費用対効果が確認できたため、レバテック開発部全体への導入に至っています。
また、費用対効果を高めるために開発部内の LT 大会や定例 MTG などで Devin の活用 Tips や機能紹介なども実施していました。
活用方法
レバテックにおける Devin の活用事例の詳細は以下の記事でも紹介しています。
- Devin による一次レビュー
Devin レビュー用の Github Actions を用意して、PR にdevin-review
というラベルを付与すると、Devin によるレビューコメントが付くような仕組みを構築しています。一つのレビューあたりの消費 ACU が 1~2 程度と比較的小さく、既存のコードベースやレビュー観点ドキュメントにもとづく有効なコメントがあるため、多くのプルリクエストで活用しています。 - Ask Devin による既存コードの調査
既存仕様が把握できていないようなレガシーコードの改修やリプレイスの際、Ask Devin に仕様調査をしてもらっています。2025年8月現在では無料で利用可能で、対話しながら一定の精度の調査ができるため重宝しています。 - システムの定期メンテナンスのリスク評価
システムで利用しているライブラリやフレームワークのバージョンを定期的に更新していますが、バージョン更新時の影響を把握するのに時間がかかっていました。Devin に定期メンテナンス時のリスク評価をさせることで、バージョンが更新されたライブラリの変更履歴と既存のコードベースを参照し、ある程度の精度のリスク評価が低コストでできるようになりました。また、定期的にリスク評価のプロンプトを利用するため、専用の Playbook を用意して使っています。
よく使う機能
- Devin Session / Playbook
Devin にタスクの指示を与えるのに活用しています。 - Devin Wiki / Ask Devin
コードベースの調査に活用しています。 - Knowledge
ブランチのルールやリポジトリ特有のコーディング規約などのルールを Devin に覚えさせるのに活用しています。 - Session Insights / Knowledge Suggestion
Devin が期待通りにタスクを完了しなかったときの原因把握や改善に活用しています。
ツールの良い点
- Devin API によって活用の幅が広がる
Devin API でセッションを起動することも可能なため、「PR へのラベル付与をトリガーにレビューさせる」や「Github Issue にラベルを付与することで Issue の内容をもとにした実装をおこなう」など活用の幅が広がっています。 - Session Insights の活用による使い方の改善
Devin にタスクを依頼した結果、期待どおりの出力が得られなかった場合は、Session Insights という機能を利用することで、Devin 自身で「タスクを実行する上で非効率だった部分の分析」や「プロンプトの改良やさらなる Knowledge の蓄積などの改善提案」をおこなってくれます。これにより「Devin に依頼したがなぜか上手く行かなかった」ということが起きにくくなり、Devin の使い方を継続的に改善していけます。
ツールの課題点
Slack に紐づけられないケースがある
Common Issues に記載されている通り「一つの Slack Organization には、一つの Devin Organization しか紐づけられない」という仕様があります。 弊社では、他開発部がすでに共有の Slack Organization に別の Devin Organization を紐づけており、レバテック開発部の Devin Organization を紐づけることができませんでした。そのため、Devin のダッシュボードからセッションを起動する形で運用しています。チームごとの ACU が管理しづらい
複数チームで Devin を共同利用しているため、チームごとに利用可能な ACU を決めています。 しかし、チームごとに消費 ACU を制限する機能はなく、消費 ACU を取得する API もありません。
※Enterprise プランの場合、Consumption Endpoints によって、消費 ACU を取得できるようです。
ツールを検討されている方へ
現在は $20 の Core プランがあり比較的安価で利用開始できるため、まず小規模に Core プランでの検証をおすすめします。
また、もともと Devin 以外のツールも含めた AI 活用があまり進んでいない組織に導入する場合は、最初から上手く使いこなすことを考えるより、まずは手を動かして使ってみることを優先するのが良いと思います。
導入するにあたっては、「ツールの課題点」に上げたような問題が発生しそうか、発生しそうな場合どのような対応を取るかを事前に検討しておくと、スムーズに導入を進められるかもしれません。
今後の展望
現状でも Devin 導入により一定の実装や調査コストの削減ができていますが、Devin の活用が特定のチームやメンバーに偏っている傾向があります。メンバーの役割やチームごとのプロジェクトの状況に応じて活用可能性は変わってくるとは思いますが、まだ活用機会を逃しているケースがあると感じています。そのため、現状あまり活用できていないチームやメンバーの活用促進をしていきたいと考えています。
また、直近 Devin に MCP Marketplace が登場し、外部サービスとの連携がしやすくなったと思うので、こういった新機能も活かしていきたいです。
とはいえ、他の AI コーディングエージェントもざまざま出てきているので、Devin との活用シーンや性能の違いを見極めつつ、「組織としての AI 活用」が促進できれば良いと思っています。
レバテック株式会社 / 塚原渉
チームリーダー / フルスタックエンジニア
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目次
- 導入の背景・解決したかった問題
- 活用方法