Ubie株式会社のLightdashの導入事例
Ubie株式会社 / Motoyuki Oki
テックリード / データサイエンティスト
利用プラン | ツールの利用規模 | ツールの利用開始時期 | 事業形態 |
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Cloud Pro | 101名〜300名 | 2023年7月 | B to B B to C |
利用プラン | Cloud Pro |
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ツールの利用規模 | 101名〜300名 |
ツールの利用開始時期 | 2023年7月 |
事業形態 | B to B B to C |
アーキテクチャ
導入の背景・解決したかった問題
導入背景
ツール導入前の課題
[データ利活用までの速度毀損]
これまで利用していたBIツールはエンジニア以外にとって使いづらく、データ活用がなかなか進まなかった。結果アナリティクスエンジニアの工数がボトルネックになることが多かった[データ利活用までの信頼性・生産性毀損]
同じような指標でもダッシュボードによって数値が揃わないことによる信頼性毀損が起こることで、データ利活用の生産性に課題があった[データガバナンスの適正化が煩雑]
ユビーでは事業上センシティブなデータを扱うことが多いため、個人情報や各種ガイドラインに準拠したデータプライバシーやそれを会社として適正化していくためのデータガバナンスが求められる。一方、それを実現するために、これまで利用していたBIツールではエンジニアリングによる効率化や徹底化が困難だった
どのような状態を目指していたか
非エンジニアを含むデータ利用者がSQLを書かずデータ分析が容易になり、データドリブンな意思決定が活発化している状態
各ダッシュボードの数値がSSoT (Single Source of Truth)で更新され、定義や集計結果が異なるといったことを防ぎ、関係チーム間でデータを共通言語とした意思決定がスムーズに行える状態
IaC (Infrastructure as Code) でデータガバナンスの徹底と効率化が容易に行える状態
比較検討したサービス
- Looker
- Preset
- Redash
- Cube など
選定理由
誰でも簡単に使える操作性がある
非エンジニアでも探索的にデータ分析したいニーズが多く、LightdashはGUIベースで直感的に操作できるUIを備えていたため、SQLの知識がなくてもデータ分析が可能でした。
dbtとの連携によるSSoTの実現ができる
ユビーはすでにデータトランスフォーメーションツールとしてdbtを採用しており、それとのシームレスな連携が実現できた。また、Metrics Layerの役割をdbtで利用するファイルで実装できるため、SSoTをシームレスに実現でき、生産性および信頼性の向上ができました。
Validation機能によるダッシュボードの可用性を向上できる
データソースの変更に対してチャートやダッシュボードが壊れないかをチェックするValidation機能があります。具体的には Preview projectの機能を使って、Deployする段階で検証・検知できる仕組みを開発できました。
オープンソースのカルチャーとIaCでデータガバナンスを実現できる
自分たちで開発に参加できることで、細かな修正だけでなくFeature Request の透明性が高められ、自分たちが欲しい機能の追加を進めやすいです。また、様々なAPIを提供してくれていることで、柔軟にカスタマイズでき必要な機能は社内開発できました。ユビーではIaCでデータガバナンスを適正化するために、Lightdashのリソースを管理するためのTerraform Providerを開発し公開しています。 コードによる適切な権限管理の徹底さが実現できています。詳細は下記を見ていただければと思います。
https://github.com/ubie-oss/terraform-provider-lightdash
https://yu-ishikawa.medium.com/lightdash-at-ubie-part-2-governance-at-scale-b8d38251ab18
その他にも、Experimentalな取り組みではありますが、Lightdashに関するdbt exposureが自動で作成され、更新があればGithub PRが日々自動的に作成されるCI/CDを運用しています。また、Lightdashに必要なYAMLプロパティの半自動挿入やカスタムリンターをデータエンジニアが開発して社内で運用しています。このようなカスタマイズが可能な点が非常に強力です。
開発の活発さと将来性
開発チームのコミュニティや今後の開発ロードマップがUbieにとっても適していました。またサポート体制も強く、Slackで気軽に質問や要望依頼もできるので助かっています。
導入の成果
非エンジニアでも探索的にデータ分析できるようになり、データ利活用の増加・アナリティクスエンジニアがボトムアップになるケースが減りました。
dbtと連携することで、SSoTが実現できてるケースが増えました。とくに数値ズレなどが起こりにくくなり、だれもが同じ数値を見れる環境が整ってスムーズに意思決定できるシーンが増えました。
データ利活用の生産性だけでなく、データガバナンスの適正化もIaCで管理できたことで、スケーラビリティの高い状態で厳格さを維持できています。
導入時の苦労・悩み
導入時はアナリティクスエンジニアやデータアナリスト以外のメンバがdbtによるテーブルを作成する頻度は多くはなかったので、いきなり各チームに導入するのは難しかった。
一方、dbtの開発が浸透すると同時にLightdash成功のモデルケースが複数でてきたことで、浸透が進んでいきました。時間はかかるとは思いますが、着実にやっていくことが必要でした。
導入に向けた社内への説明
上長・チームへの説明
検証期間として事前にいくつかのBIツールの導入検証し、他のBIツールと比べても費用対効果は高いことがわかりそれをもとに説明しました。導入以前からBIツールの課題が大きかったので、そこまで説明に時間がかかったりということはありませんでした。
その他の有償のBIツールよりは費用が抑えられ、他OSSのBIツールだと機能が不足しているものが多かったので、両立できるツールだと評価しました。
活用方法
よく使う機能
ダッシュボード機能
- 各チームが管理するKPI等のモニタリングに利用しています。
- 顧客向けレポーティングに必要な数値の取得・確認に利用しています。
探索機能(アドホックにテーブルから可視化する機能)
- Lightdashにdeployされているdbtのモデル(テーブル)を使って、探索的な分析を行っています。
- ある軸で分けた場合にどうなるか・ある値を持つレコードに絞ったときにどうなるかなど非エンジニアでも探索的に分析できます。
ダッシュボード上からの元データの確認やドリルダウン機能
- ダッシュボード上からクリックひとつで元データを確認できたり、特定の値に絞った数値をみることができます。
- 特定のKPIの数値が落下しているときに、どういうユーザの数値が減っているのかの原因分析をする際に特に利用しています。
参考:https://docs.lightdash.com/guides/interactive-dashboards/
Lightdash CLIを活用したCI/CD機能
- Lightdash CLIを利用して、Lightdashに必要なファイル定義のvalidationやLightdash Projectへのdbtのモデル(テーブル)のdeployを行っています。これらをGithub CI/CDの開発プロセスで行えるので、信頼性高くLightdashリソースを利用できるようにしています。
ツールの良い点
決め手になったポイントのとおり以下になります。
- 誰でも簡単に使える操作性
- dbtとの連携によるSSoTの実現
- Validation機能によるダッシュボードの可用性向上
- IaCでデータガバナンスを実現
加えていうなら、Lightdash GUIの完成度が高く、Project / Space / Dashboard / Chart といったリソース構成が直感的に使いやすいです。またタイムインターバル(日次・週次・月次)を簡単に変更できる機能など、かゆい所に手が届く機能が充実しています。
ツールの課題点
- クリティカルではないですが、他BIツールと比べると可視化のために使えるチャートや細かい設定などが不足している点がありますので、見せ方に工夫が必要になる点です。
- 動的なディメンション作成やARRAYカラムなどの取り扱いは難しいので、事前にdbt modelの設計を工夫したりする必要があります
ツールを検討されている方へ
dbtが前提とはなりますが、まずは気軽にOSS版を試してみるのがよいと思います。 https://github.com/lightdash/lightdash
今後の展望
導入後1年以上経過しましたが、以前使ってたBIツールを使う頻度は大きく減少し、各チームLightdashをベースとしたダッシュボードが増加しており、期待していた効果が出ていることを感じています。また、APIによる拡張性も強力で、ユビーにとって欲しい機能が独自開発できた点も開発生産性の向上に寄与しています。
さらなるLightdashの機能拡張とともに、他企業さまでも利用者が増えていってほしいと思います!
Ubie株式会社 / Motoyuki Oki
テックリード / データサイエンティスト
よく見られているレビュー
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目次
- アーキテクチャ
- 導入の背景・解決したかった問題
- 活用方法