Claude Codeを全員配布するまでの経緯
株式会社リンクアンドモチベーション / nokki-y
テックリード / フルスタックエンジニア / 従業員規模: 1,001〜5,000名 / エンジニア組織: 101名〜300名
利用プラン | ツールの利用規模 | ツールの利用開始時期 | 事業形態 |
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Teamプラン(利用を開始した7月はMaxプラン) | 51名〜100名 | 2025年7月 | B to B |
利用プラン | Teamプラン(利用を開始した7月はMaxプラン) |
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ツールの利用規模 | 51名〜100名 |
ツールの利用開始時期 | 2025年7月 |
事業形態 | B to B |
アーキテクチャ

導入の背景・解決したかった問題
導入背景
昨今、AIを活用したソフトウェア開発手法が急速に進化しています。
当社(リンクアンドモチベーション)の開発組織においても、従来の開発手法を継続することはリスクと捉え、AIを前提とした開発体制への転換を推進しています。
2025年10月現在、すべての開発者がコード生成AIエージェントを活用しており、
新規プロダクト開発では100%、既存プロダクト開発では60%以上のコード生成比率を実現しています。
Claude Codeの導入は、以下の2段階を経て進められました。
- 2025年7月:Claude Code Maxプラン導入
- 2025年10月:Claude Code Teamプラン導入
🚀 2025年7月:Claude Code Maxプラン導入
当時、全エンジニアに対してCursorのTeamsプランを契約・配布していました。
CursorのAIエージェントにより開発速度は大幅に向上しましたが、より高い速度が求められた新規プロダクト開発PJTで、先行的にClaude Codeを導入しました。
解決したかった課題
Tool呼び出し上限によりAIエージェントの処理が途切れ、人間の介入が増加した結果、並行作業が阻害されていました。
当時のCursor AIエージェントには25回のTool呼び出し制限があり(現在は制限なし)、この制限がボトルネックとなっていました。
一方、当時の新規プロダクト開発PJTでは、既にAIエージェントに入力するコンテキスト設計が十分に行われており、25回の制限を超えても高精度なコード生成が可能な状況でした。
実現したこと
Claude Codeの導入により、Tool呼び出し制限に依存しない連続処理が可能となり、AIエージェントが人間の指示を待たずに一連の処理を自律的に完了できるようになりました。
これにより、エンジニアは途中経過の確認や再指示といった短周期のタスク切り替えが不要となり、他作業に集中できるようになりました。
その結果、介入頻度の低下が認知負荷の軽減につながり、複数タスクの並行作業が容易になり、チーム全体の開発スループット向上を実現しました。
🤝 2025年10月:Claude Code Teamプラン導入
背景
当時、当社ではCursorのTeamsプランを利用していました。
しかし2025年中盤の料金・上限制度の見直しにより、月額に含まれる使用量を超えた分は従量課金で精算される前提が明確になり、AIエージェントを多用する弊社の開発組織では月次コストの変動が無視できなくなっていました。
判断理由
Claude の Teamプランでは、管理者がユーザーに Premium seat を割り当てることで Claude Code を利用できます。
Premium seat にはあらかじめ使用枠が含まれており、先行導入していた Maxプランでの使用量と費用感から見ても、業務に必要な範囲で十分に利用できると判断しました。
また、Maxプランは個人単位の契約であったため、ライセンスや請求の管理において組織的な運用が難しく、チーム単位で管理可能な Teamプランへの移行を決定しました。
効果
支出上限の設定により費用の予見性を確保し、リソース需要が大きいプロジェクトでもコストを適切に制御しながら利用を拡大できる体制を構築しました。
導入の成果
Claude Codeの導入により、開発現場では複数の場面で生産性向上の効果が確認されました。
中でも代表的な事例が新規プロダクト開発PJTです。
この新規プロダクト開発PJTでは、AIエージェントを利用しない時代に行った新規プロダクト開発と比較して、約10倍の開発生産性を実現しました。
また、AIエージェントを活用して開発した新規プロダクトのコード規模は10万行以上に達しており、この規模の開発においてもAIエージェントを実用レベルで運用できることを証明しました。
導入に向けた社内への説明
上長・チームへの説明
2025年7月:Claude Code Maxプラン導入
先行導入した新規プロダクト開発PJTは、高速な開発サイクルを重視した先行研究的な役割も担っており、スピードを最優先に意思決定が行われていました。
この方針に基づき、導入コストと期待効果について大まかな試算を共有したうえで、先行研究として導入を実施しました。
当時は世の中的にもClaude Codeを本格的に活用した事例が少なかったため、実運用を通じて効果を検証し、今後の全体展開に向けた判断材料とすることをチーム内で確認しました。
当初は全員$100プランを契約していましたが、並行開発をする機会が多かったこともあり、大半のメンバーが$200プランへのアップグレードを余儀なくされました。
2025年10月:Claude Code Teamプラン導入
7月に先行導入したMaxプランの運用結果から、Claude Codeの有用性は十分に確認されていました。
その時点でAIエージェントを活用した開発は現場に広く浸透しており、多くのエンジニアが日常的に大量のTokenを使用して開発を行っていました。
一方で、前述したCursorの料金改定がこの時期に実施され、これまでと同等の開発を行う場合に必要なToken量を試算した結果、コスト面での課題が明確になりました。
この試算をもとに、組織としてPremium seatsを契約し、Claude Code Teamプランへ移行する方が、安定したコストで継続的な開発を行えると判断しました。
活用方法
よく使う機能
Sub agents
主たる作業のコンテキストを汚染したくない作業を、よくSub agent化しています。
一度の指示で多くのコードを生成するとコンテキストが増えます。
コンテキストが増えると生成精度が落ちます。サマライズされるとその傾向が強くなります。
極力無駄なコンテキストを増やさないために、Sub agentsを使用しています。
MCP
ここはチーム内で使うものが別れる部分ですが、個人的にはコードの実行結果とした現れる情報を取得するために使用することが多いです。
具体例を一つ上げると、Playwright MCPをよく使います。
コード生成と動作確認を繰り返したり、ブラウザ表示されたUIからテスト設計書の草案を作成させたりしています。
ツールの良い点
- 定額のライセンス費用で十分に開発ができる(見込み)
- 組織単位でのライセンス・請求管理が可能
ツールの課題点
(AIエージェント全てに言えそうなことですが)
- Sub agentsやMCPの利用がFlakyな場面がある
ツールを検討されている方へ
現在はコスト面や管理面を踏まえ、Claude Codeを中心に活用を進めています。
しかし、AIエージェントによる生産性向上を最大化するためには、ツールやモデルの性能だけでなく、AIエージェントに渡すコンテキストの設計が重要であると弊社では考えています。
ここでいう「コンテキスト設計」とは、要件定義・設計書などの仕様をリポジトリに永続化し、それらのspecを起点に実装・検証を進めるspec駆動の運用を指します。
コンテキストの設計が十分に行われていれば、ツールを変更しても生産性が大きく低下することはなく、むしろ組織としての再現性や知的資産の蓄積につながります。
そのため弊社では、今後もコンテキスト設計の最適化を重視し、ツール選定に依存しないAI活用体制の構築を進めていく方針です。
株式会社リンクアンドモチベーション / nokki-y
テックリード / フルスタックエンジニア / 従業員規模: 1,001〜5,000名 / エンジニア組織: 101名〜300名
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目次
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- 活用方法