Claude Codeが草の根から組織に波及して、開発が劇的に加速した事例
READYFOR株式会社 / kecy
メンバー / プロダクトマネージャー / 従業員規模: 101名〜300名 / エンジニア組織: 11名〜50名
利用プラン | ツールの利用規模 | ツールの利用開始時期 | 事業形態 |
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Maxプラン or API従量課金 | 11名〜50名 | 2025年6月 | B to B B to C |
利用プラン | Maxプラン or API従量課金 |
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ツールの利用規模 | 11名〜50名 |
ツールの利用開始時期 | 2025年6月 |
事業形態 | B to B B to C |
アーキテクチャ
アーキテクチャの意図・工夫
- 通常の開発
- ターミナル操作でClaude Codeに指示しながらローカルでの開発を行い、手間になりがちなPR作成までエージェントで完結
- CLIとして提供されているため、各自が慣れているエディタ(VS Code, vim, RubyMine, etc)を変えることなく、AIエージェントを日々の開発に導入できている
- 細かい不具合改修など
- GitHubワークフローとして提供されている「Claude Code Action」を各リポジトリに導入、細かい修正はGitHub Issueさえあればエージェントに依頼できる
- 別ツール(n8n)でSlackの会話をもとにしたGitHub Issueの起票も自動化しているため、起票→修正をシームレスに行えるように
また、エージェントによって自動で読み込まれる CLAUDE.md を各リポジトリで整備し、安定して同じルール・流れに則って実装されるようにしています。
導入の背景・解決したかった問題
導入背景
ツール導入前の課題
- 改善タスクが溜まりがち
- スクラムで取り組んでいる大きな開発タスクと、日々生じる細かい改善タスク(リファクタリング、不具合修正、UI改善など)を両立するのが難しく、改善タスクがバックログに溜まっていく
- 技術スタックの偏りや属人性
- 1つのユーザーストーリーの開発をFE/BEなどに分けて複数のエンジニアで分担することでコミュニケーションコストが生じてしまう
- 結合後の品質担保にも一手間かかる
どのような状態を目指していたか
- 新規開発タスクと既存改善タスクの両立
- 技術スタックの偏りや属人性があっても、AIの支援により1つのユーザーストーリーを1人のエンジニアが完遂できる開発体制にして、アジリティと品質を両立する
上記により、開発速度を向上する(デプロイ頻度の増加、リードタイムの削減)ことを目指していました。
比較検討したサービス
- GitHub Copilot(導入済み)
- Cline
- Cursor
- Windsurf
選定理由
- エージェントによって開発が加速することは間違いない
- 社内勉強会での広がりや世の中の流れもあり「自分もClaude Codeを利用したい」というエンジニアが増えてきた
ということから、本格導入につながりました。
導入の成果
改善したかった課題はどれくらい解決されたか
- ✅ 新規開発と改善の両立:かなり改善
- ずっとバックログに溜まっていた改善タスクが捌けた
- アイスボックスからIssueを取り出せるぐらいの状態になっている
- 🏃 技術スタックの偏りや属人性:今も奮闘中
- FE/BE問わず1人のエンジニアが1つのユーザーストーリーを引き受けるチャレンジに取り組めている
- 「AIの助けを借りてコードは出せても、レビューがなかなか通らない」といった課題に直面していて、試行錯誤中
どのような成果が得られたか
- 📈 開発速度の向上
- 2025年8月以降、マージされたPull Requestの数が 1.5倍以上 に急増
- Claude Code導入だけが要因だとは一概に言えないものの、確実に寄与している
- 🧑🏫 ともに学ぶ文化の活発化
- 社内で、Claude Codeを用いた開発Tips・おすすめMCPや設定の共有が進んでいる
- 月に2回以上は何かしらの発表や勉強会が行われている
導入時の苦労・悩み
料金体系の主な選択肢として、導入当時は「APIによる従量課金」と「サブスクリプション型のMaxプラン」の2つがありました [^1] が、下記の悩みがありました。
- コストコントロール観点ではサブスクリプションを採用したい一方で、一人一人の利用量が一定以上ないとサブスクリプションはむしろコストが無駄になってしまうリスクもある
- Maxプランは個人アカウント向けでOrganizationによって管理できない
結果的には、
- エンジニア全員最初は従量課金のAPI利用からスタート
- 月々の利用量が一定以上超えたエンジニアには、個別にMaxプランを契約して費用精算してもらう
という形に落ち着きました。
[^1]: 2025年9月現在では組織向けのTeamプラン・EnterpriseプランでもClaude Codeを利用できるよう整備されているようなので、企業で採用する際はこちらをまず検討するのがよいかと思います。
https://support.claude.com/en/articles/11845131-using-claude-code-with-your-team-or-enterprise-plan
導入に向けた社内への説明
上長・チームへの説明
弊社では、以下のポイントを踏まえながら導入を進めました。
- Cline、Curosrなど他のツールも社内の勉強会などで試しながら比較検討すること
- まずはPoCとして月当たりの予算を決めて、コストモニタリングを行うこと
- 開発速度の向上(デプロイ頻度の増加、リードタイムの削減)を主な目的としながら、定性・定量両面で導入成果を示すこと
活用方法
よく使う機能
- MCP機能
- Serena:コードベースの検索・操作を効率化
- Figma MCP:デザインをもとにUIコンポーネントを作る
- スラッシュコマンド
- 作業のプランニングやPull Requestの作成指示を効率化
- Hooks
- エージェントの作業完了時に通知を飛ばして、見逃しを防止しし、並行作業の効率を上げる
- リンターやフォーマッターを自動適用してコード品質を維持する
ツールの良い点
- 開発のつまずきが少なくなり速度が上がっている
- 知見、知識のない領域でもある程度開発ができる
- PR作成など開発に付随する手間も省力化できる
- 作業をさせている間に保守運用の作業や改善タスクの整理を進めることができる
社内アンケートでは Claude Code利用者12名の58.3%から「1日あたり1〜2時間の時間を節約できた」との回答 が集まりました。
さらに少数ながら「2〜3時間を節約できた」という回答も。
ツールの課題点
- 生成されるコードの品質にバラツキがある(社内アンケートでは66.7%が回答)
- プロジェクト固有のルール・スタイルに対応させるために労力がかかる(同50%)
- 料金・使用量の管理が難しい(同33.3%)
ツールを検討されている方へ
弊社では、以下のような流れで組織的な導入をスムーズに行うことができました。
- ツールを問わず試用のハードルを下げて、社内のアーリーアダプターが新しいものを気軽に試せる環境を作る
- アーリーアダプターを中心にモブプロ会を開くなどして、皆で同じものを見ながら使用感や実用性についての認識を揃えていく
- 「自分も試しに使いたい」という人が増えてきたところで本格導入を行う
今後の展望
- 「今いるみんなが上手く使える状態」 を目指す
- 社内の勉強会やモブプロ会を通じて開発Tipsの横展開を進める
- 「新しく来た人もすぐ上手く使えるようになれる状態」 を目指す
- エージェントの開発を効率化するためにもドメイン知識・現行プロダクトの設計・コーディング規約などをドキュメントに整備する
- 今の時点でベストな選択 を続けられるようにする
- GPT-5-Codexの登場など、技術やサービスの移り変わりがとにかく激しい
- 現状維持に甘んじず、幅広く手段・機会を探索し続ける
もっと詳しく知りたい方に
READYFORのテックブログでは、Claude CodeをはじめとするAIエージェント時代の開発手法のトライ&エラーについて随時発信していきます。
READYFOR株式会社 / kecy
メンバー / プロダクトマネージャー / 従業員規模: 101名〜300名 / エンジニア組織: 11名〜50名
2017年 LINE株式会社に入社。2021年より現職。プロダクトマネージャーとしてロードマップ策定や開発プロジェクトを推進するかたわら、新規プロダクトのプロトタイプ開発に従事。
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READYFOR株式会社 / kecy
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2017年 LINE株式会社に入社。20...
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目次
- アーキテクチャ
- 導入の背景・解決したかった問題
- 活用方法