Jira × 生成AI 実践:Claude Code + MCPで一次対応と棚卸しを自動化

株式会社MIXI / shirochan
メンバー / EM / 従業員規模: 1,001〜5,000名
導入の背景・解決したかった問題
導入背景
はじめに
生成AIを業務に導入する際、多くの方がまず「とにかくAIツールを触ってみよう」と考えるのではないでしょうか。しかし実際には、この進め方ではなかなか期待した効果が得られないケースが多いのです。
私たちのチームでは、Jiraのチケット対応業務に生成AIを活用する検証を進めてきました。その過程で学んだ重要な教訓は、AIを導入する前に人間側がしっかり準備を行う必要があるということです。
AIよりも先に、業務そのものを見直す
生成AIで期待した効果が出ない最大の原因は、導入前の準備不足にあります。私たちが重視したのは、以下の2つのステップです。
1. 現状のワークフロー分析と可視化
既存の業務プロセスを詳細に分析し、可視化することから始めました。どこにボトルネックがあり、どの部分がAI化に適しているかを明確にする必要があります。業務の流れを整理せずにAIを導入しても、既存の非効率な部分をそのまま自動化してしまうだけで、真の効率化にはつながりません。
2. データの整備とAI-Ready化
AIが適切に機能するためには、データが整理され、アクセス可能な状態になっている必要があります。構造化され、アクセス可能なデータが不可欠です。単にAIツールを導入するだけでなく、AIが利用できる形でデータを準備することが重要です。
対象業務の現状分析
私たちが効率化の対象としたのは、Jiraで管理している社内のAIツール利用相談窓口です。起票されるチケットの内容を分析したところ、以下のことが明らかになりました。
- 約8割:各種AIツールやサービスの利用相談で法務確認チケットを起票する定型対応
- 約2割:報告者にヒアリングを行って個別に対応方針を決定する必要がある相談
定型対応フローの整理
定型対応のフローを図式化すると、以下のような流れになっていました。
- チケットの種別を判定
- 必要事項の記載有無を確認
- 未記載の場合 → 記載を依頼
- 記載済みの場合 → 法務確認チケットを起票
この定型処理が全体の8割を占めており、ここを自動化できれば大幅な効率化が期待できることがわかりました。
もう一つの課題:チケットの棚卸し
また、長期間更新されずに滞留するチケットの棚卸し作業も定期的に発生していました。最終更新日時を確認し、リンクされている他部門のチケットを確認し、報告者に状況を確認するという作業です。これも効率化の余地がある業務として特定しました。
検証プロセス:複数アプローチの評価
準備が整ったところで、いよいよAIツールの検証に入ります。私たちは3つの異なるアプローチを評価しました。
アプローチ1:Google Agentspaceの検証
最初に検証したのは、Google AgentspaceとJiraの連携でした。社内で「生成AI × Jira連携」といえば、まず想起されるのがAgentspaceです。
メリット
社内の各種データソースと既に連携済み
初期コストをかけずに検証を開始できる
ノーコードでカスタムエージェントを作成可能
検証結果
- 同期のタイムラグ:JiraからAgentspaceへのデータ同期に遅延が発生。
- 現時点での制約:検証時点ではコメント情報が正しく取得できない事象を確認。
- 双方向性の欠如:AgentspaceからJiraへのコメント投稿ができない。
リアルタイム性と双方向性を要する今回の用途には不適と判断しました。
アプローチ2:Claude WebアプリのAtlassianコネクタ
次に検証したのは、Claude Webアプリケーションにデフォルトで用意されているコネクタ連携です。
- メリット:視覚的にわかりやすく、プロジェクト機能でプロンプトを共有可能。
- 制約:プロジェクト共有には有料プラン(Team/Enterprise)が必要。検証期間内では見送りとなりましたが、非エンジニアチームには有力な選択肢です。
アプローチ3:Claude Code + MCPサーバー(採用)
開発部門での検証であり、利用ユーザーもエンジニアであったため、MCP(Model Context Protocol)サーバーを介したClaude Codeを採用しました。
- メリット
- Jiraとの双方向連携(読み/書き)が可能
- プロンプトやテンプレートをGitで管理・共有できる
- CLIベースでエンジニアのワークフローに馴染む
アプローチ比較(要約)
| 観点 | Google Agentspace | Claude Webアプリ | Claude Code+MCP(採用) |
|---|---|---|---|
| 導入コスト | 低(既存連携活用) | 中(共有は有料プラン) | 低〜中(CLIで迅速開始) |
| リアルタイム性 | △(同期ラグあり) | ○(都度呼び出し) | ○(都度呼び出し) |
| 双方向性 | ×〜△(制約あり) | ○(読み書き可能) | ○(読み書き可能) |
| 共有・運用 | △(共有に制約) | ○(プロジェクト共有) | ○(Gitで一括管理) |
| 想定読者 | ノーコード中心 | 非エンジニア含む | エンジニア中心 |
実装:Claude Code + MCPサーバー
セットアップ
MCPサーバーの追加は非常にシンプルで、以下のコマンド一つで完了します。
# Atlassian MCPサーバーの追加
claude mcp add --transport sse atlassian https://mcp.atlassian.com/v1/sse
実装した機能
1. チケットの一次対応自動化
起票されたチケットを分析し、必要な情報が揃っているかを判定。不足があればコメントで追記を依頼し、揃っていれば法務確認チケットを自動起票します。
# 一次対応の出力例
⏺ 一次対応:ステータスが「未着手」のチケット 2件
---
📋 定型対応 (1件)
1. Claude Code利用相談(報告者:田中一郎)
- 内容:プロダクト開発での活用
- 分類理由:ツール利用相談のため定型フローを適用
🔍 個別対応 (1件)
1. 生成AI活用による業務効率化相談(報告者:鈴木三郎)
- 内容:バックオフィス業務の技術検討
- 分類理由:要件ヒアリングが必要な個別案件
2. チケット棚卸しの自動化
2ヶ月以上更新のないチケットを自動検出し、報告者に状況確認コメントを一括投稿します。
# 棚卸し対象チケットのリスト表示例
| No | チケット | 要約 | ステータス | 最終更新 | 報告者 |
|:---|:---|:---|:---|:---|:---|
| 1 | TKT-001 | テスト案件A | 作業中 | 2024-08-29 | 山田 太郎 |
| 2 | TKT-002 | テスト案件B | 確認中 | 2024-09-27 | 鈴木 次郎 |
成果と効果
- 業務効率の向上:手作業に頼っていた初動や棚卸しが効率化され、高付加価値な業務に注力可能に。
- 対応品質の安定:テンプレート活用により、対応漏れや品質のバラつきを抑制。
- ナレッジの資産化:プロンプトをGitで管理することで、「IaC(Infrastructure as Code)」的なアプローチをAI運用にも適用。
まとめ:成功のポイント
生成AI導入を成功させるための秘訣は以下の3点に集約されます。
- 「AIツールありき」を捨てる:まず業務フローを可視化し、どこを自動化すべきか特定する。
- 要件に合わせた比較検証:リアルタイム性や双方向性など、譲れない条件を明確にする。
- 管理の仕組みを作る:プロンプトを「野良」にせず、Gitなどでチーム共有・履歴管理を行う。
これから導入を検討する方へ
生成AIの活用は、単なるツールの導入ではなく、業務プロセス全体を見直す絶好の機会です。
まずは立ち止まって現在の業務を分析し、小さな定型業務から「AI-Ready」な状態に変えていきましょう。その一歩が、組織全体の大きな生産性向上に繋がります。
導入の成果
導入に向けた社内への説明
上長・チームへの説明
既に導入済みでした
活用方法
よく使う機能
claude.mdへの記述 プロジェクトの目的と作業手順の明確化 各種テンプレートの説明
ツールの良い点
- エンジニアなら簡単に導入が可能
ツールの課題点
特になし

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