打ち合わせ中でも開発が進む。管理職のClaude Code並行開発術
株式会社コロプラ / 田中誠人
EM / EM / 従業員規模: 501名〜1,000名 / エンジニア組織: 101名〜300名
導入の背景・解決したかった問題
導入背景
社内では2023年から生成AIの利用申請フローと、機密情報レベルに応じた入力制限のガイドラインが整備されており、開発では GitHub Copilot や Cursor を早い時期から使ってきました。AIエージェントを開発にどう活かすかを検証する動きも活発に行われていました。
2025年2月に Anthropic が Claude Code を発表すると、社内のエンジニアがその日のうちに利用申請を行い、即日で承認され試用が開始されました。
私自身も触ってみて、ターミナル上で自然言語のやりとりだけで開発が進み、応答が他のAIモデルより自然で、最後まで自走してくれるところに感動しました。それからはメインの開発を Claude Code で行い、細かい確認は VSCode などの IDE で行うスタイルに落ち着きました。
比較検討したサービス
- GitHub Copilot
- Cursor
- Codex
選定理由
実際に試してみて、やりとりの自然さと自走力の強さが頭ひとつ抜けていると感じられたことです。ターミナルで完結するため管理がしやすく、複数プロジェクトを並行して進める使い方にも向いていました。業務で使ううえで気にしていた、入力した情報が学習に使われないか、オプトアウトできるかという点をクリアしていたことも重要でした。
導入の成果
一番変わったのは、自分の時間の使い方です。以前なら1週間かかっていたような開発作業も1日もかからず終わるような速度で開発できるようになり、さらにそれを複数のプロジェクトで並行して進められます。私は開発チームのマネジメントをしながら、自分でも設計や実装を担う管理職です。打ち合わせが多くまとまった開発時間を取りづらいため、以前は自身で開発タスクを持つこと自体がチームのボトルネックになるのが悩みでした。プランモードで方針を固めて承認しておけば、会議に出ている間も Claude Code が実装を進めてくれるので、細切れの時間でも開発が前に進むようになりました。
最近の例では、社内向けツールのレポート画面の実装で、5つのデザイン案をサブエージェントに並列で作らせ、候補の比較から調整、仕上げまでを半日で終えられました。別の社内システムでは、入力補完が突然効かなくなったという不具合の報告を受け、再現から原因の特定、修正、画面での動作確認までを任せたところ、報告からわずか23分で直してくれました。
導入時の苦労・悩み
導入そのもので苦労した記憶はほとんどありません。強いて挙げるなら新しい概念のキャッチアップですが、他の一般的なツールとは違い、使い方がわからなければ Claude Code 自身に聞くことができるため、学習コストはかなり低いと感じます。
導入に向けた社内への説明
上長・チームへの説明
会社としてAIを積極的に活用していく方針があったため、導入のための特別な説明や資料は必要ありませんでした。上長の理解はすでにあり、既存の申請フローを通すことでスムーズに導入できています。
以前からAIの利用に関するガイドラインが用意されていたことも大きく、どこまで使ってよいかが明確で迷うことがありませんでした。
チームのメンバーにも普段からAIを積極的に使っていこうと話していたので、Claude Code に対しても懸念なく受け入れられました。
活用方法
多くのタスクは、まずプランモードでやりたいことを伝えるところから始めます。提示された計画を確認して、修正点や不明点がなければ実装に移ってもらいます。Claude Code が実装を進めている間に、別のプロジェクトで同じように計画を作ってレビューする、という流れで2〜3プロジェクトを並行しています。それ以上増やすと自分の頭の切り替えが追いつかなくなるため、この数に抑えています。打ち合わせが入っているときは、打ち合わせ前にプランを承認して走らせておき、終わってから出力を確認します。最近は Auto mode も加わり、承認後に細かな許可待ちで止まらなくなりました。危険な操作はバックグラウンドの安全チェックがブロックしてくれるため、会議中も安心して任せられ、自走する力が一段と強まったと感じています。
開発以外でも、海外の記事を翻訳させて不明点をその場で確認したり記事の深掘りをしたり、使ったことのない技術を導入するか迷う場面で、一次情報を集めて論点を整理するところから相談したりしています。社内向けの告知文やレビューへの返信の下書き、その日やったことの振り返りといった細かな作業まで、気づけば一日中そばで動いている感覚です。
よく使う機能
- プランモード
- 多くのタスクの起点にしています。実装前に計画を擦り合わせることで手戻りが減り、安心して作業を任せられます。
- スキル
- 繰り返し使う手順をスキルとして切り出し、毎朝の振り返り・改善提案のような定型ワークフローを自動化しています。
- CLAUDE.md と memory
- 振り返りで得た学びや自分の好みを蓄積し、毎回同じ指示を出す手間を減らしています。
- MCP連携
- MCP サーバーを通じて Slack などの社内情報とつなぎ、調査に活用しています。
- Agents
- 監視やエラー調査、コードレビューなどを行う Agent を作って自動化しています。
ツールの良い点
- やりとりが自然で、曖昧な依頼でも意図を汲んで自走してくれる
- ターミナルで完結するため、複数プロジェクトの並行作業を管理しやすい
- プランモードで実装前に方針を擦り合わせられるので、手戻りが少ない
- スキルや CLAUDE.md を使って、自分の使い方に合わせて育てていける
ツールの課題点
正直なところ、ツールそのものへの不満はほとんどありません。強いて課題を挙げるなら、出てきた結果をどう見極めるかという点です。これは Claude Code に限らず、AI を使う以上ずっと付きまとうものですが、モデルが賢くなるほど、その見極めがかえって難しくなってきていると感じます。
出力が自然になるほど「もっともらしい誤り」には気づきにくくなります。任せられる範囲が広がり、複数のプロジェクトを並行で進めるほど、ひとつひとつの結果を確かめる負荷は上がっていきます。速さに慣れて確認を緩めれば、誤った判断をそのまま通してしまいかねません。だからこそ、最終的に良し悪しを決めるのは人間だという前提は崩さず、一次情報にあたって裏を取る習慣を欠かさないようにしています。
ツールを検討されている方へ
まずはプランモードで計画を確認してから実装してもらう流れを身につけるのがおすすめです。予期せぬ変更を事前に防ぐことができます。プランモードで分からないものは、そのまま Claude Code に聞きましょう。並行するプロジェクトの数はツール側ではなく自分の頭の切り替えの限界で決まるので、少しずつ増やして自分に合う数を見つけるとよいと思います。会議が多く自分の作業時間を取りにくい人ほど、自走できる単位にタスクを切ってプランモードで預けておくと、離席している間も時間を活かせます。振り返りの習慣をつけて学びを CLAUDE.md や memory に蓄積していくと、使うほど手に馴染むツールになっていきます。私はこの振り返り自体も Claude Code に任せて仕組み化しているので、やり方が気になる方はこちらの弊社テックブログものぞいてみてください。
今後の展望
Agents を活用して、より自動化を進めたいと考えています。打ち合わせで決まったことが、人手を介さずそのまま開発につながっていく。議事録や Slack のやりとりからタスクを起票し、実装のための調査や確認、コーディング、テストやレビューまで行わせて、最後に人間が良し悪しを確認するだけにしていく。そんな方法を模索しています。
株式会社コロプラ / 田中誠人
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