Kultureにおける、Webアプリ開発からテックブログ執筆までを促進する Cursor 活用
株式会社Kulture / yukia3e
テックリード / EM / 従業員規模: 11名〜50名 / エンジニア組織: 10名以下
利用プラン | 利用機能 | ツールの利用規模 | ツールの利用開始時期 | 事業形態 |
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Team Plan | コード補完、エージェント | 10名以下 | 2025年4月 | B to C |
利用プラン | Team Plan |
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利用機能 | コード補完、エージェント |
ツールの利用規模 | 10名以下 |
ツールの利用開始時期 | 2025年4月 |
事業形態 | B to C |
導入の背景・解決したかった問題
導入背景
ツール導入前の課題
「テクノロジーを、エンターテインメントのエンジンに」をミッションに掲げている Kulture は、新しい技術をサービス提供や開発プロセスの改善に活用できないか、常に検討・トライしています。
その中で、音楽LIVEを軸としたコミュニケーションプラットフォーム「KLEW」が好調に利用者を増やせた結果、多くの機能要望を頂けるようになった一方、まだまだ少数の開発者で開発を進めなければならず、「品質を保ったまま、どうすれば開発効率を上げることできるのか」が課題となっていました。
また、今後の開発人員増加を見据えた時、「知見をいかに蓄積し、チーム全体で共有・活用していくか」という点にも課題がありました。
どのような状態を目指していたか
現在も継続中ですが、AI開発支援ツールを使い、以下のような状態を目指してチャレンジしています。
- 目標1: 定型的なコードやテストを、プロジェクトの開発ルールをおさえながら自動生成できるようにすることで、開発効率向上を目指す
- 目標2:非定型的な新機能の設計や実装は、エンジニアとAIが協働することによって、より良いものを生み出せるようにしていく
- 目標3:ドキュメント生成をAIがサポートすることで、ナレッジの形式化・表出化・蓄積・活用を促進する
比較検討したサービス
- GitHub Copilot
比較した軸
コストが許容範囲であることは前提としつつも、実際に利用した「エンジニアの開発体験」が良いものを選ぶようにしていました。
選定理由
元々 Kulture では GitHub を活用していたことから、GitHub Copilot を先行して導入していました。それ自体、体験としては良かったです。 ただプロダクトのフェーズが変わったタイミングで Cursor を一部メンバーに試験導入してみたところ、インラインでのコーディング補完のスムーズさ、エージェント機能の自走力の高さから、Github Copilot と並行しての全メンバーへの導入を決意しました。
その後2ヶ月程度並行して使ってみた結果、ほぼ Cursor を使うようになったこと、またメンバーの定性評価としても良好だったことから、Cursor に一本化しました。
その後の発見ですが、GPT や Claude Sonnet、Gemini など、新しいモデルが登場する度に Cursor でも利用可能となるため、気軽にモデルを比較し使い分けできる点も大きなメリットだと感じています。
導入の成果
改善したかった課題はどれくらい解決されたか
目標1に対しては、明確に効果が出ていると感じています。「KLEW」では
- モノレポで、フロントエンド・バックエンド・IaC・ドキュメントを一貫してエージェントが読みやすい構成となっていること
- Go 言語を利用していること
- ソフトウェアアーキテクチャをしっかりと整備していること
といった状態で導入できたこともあり、自動生成されたコード・テストの品質も一定の品質を保っているように思います。 また、Claude Code などと併用して使っていますが、Cursor エージェントの方が自走力は劣る反面、着実に差分を確認しながら適用していくことができ、本番サービスにも安心して活用できていると感じています。
また、目標2に対しても、GitHub Issue にまとめた新機能や改修の要件をインプットにAIと共同で設計・実装を行うことで、単独で検討していた際には気づかなかった汎用化の工夫などを入れられたことで、変化に強いアプリケーションを構築できていると感じています。
そして、目標3に対してが一番効果が感じられている点のように思っています。Cursor エージェントのインプットとなるように初期の分析から体系的なドキュメントを生成させたことにより、新規参画者の読むドキュメントが合わせてできていることに加えて、実装を進める中で「これまでの取り組みの中で、汎用的な知識としてドキュメント化すべきものがあれば、Cursor Rules として保存してもらえる?」というようなプロンプトにより、暗黙的な知識を積極的に形式知にするような取り組みの始められています。
どのような成果が得られたか
前述の通り、目標1〜3に対して明確に効果が出ていると感じています。
また、予想外に効果的だと感じているのは、テックブログの記事作成への活用です。 Kulture Tech Blog の記事は全て GitHub のリポジトリにて管理しており、合わせてブログのターゲットとする読者像や守るべきトンマナ、文章の温度感などを適宜 Cursor Rule として保存し共有しています。
これにより、記事を作成した後のチェックや構成をエージェントに依頼することで、メディアとしての統一感が担保できると感じています。今後、より多くのメンバーにも記事を書いてもらおうと思っており、より効果が出てくるのではと期待しています。
導入時の苦労・悩み
Cursor の良い点の裏返しになるかもしれませんが、新しい機能が頻繁に追加されるので、それをキャッチしてチームにどう展開・活用できているか、十全に使いこなせているかというと、まだまだのように感じてしまうのが悩みです。
また、価格体系が月額料金に加えて従量課金の部分もあるため、チームの規模に合わせて適切なプランを選択し見積もる必要があると思います。また導入後は、利用上限設定などは適切に行なっていく必要があると思います。
導入に向けた社内への説明
上長・チームへの説明
Cursor に限らないのですが、まず限られたメンバーにて試験的に運用し効果検証を行うことを前提に導入を提案しています。前述の通りコストが実際にどの程度かかるかを測るためにも、またチームにフィットしなかった時の負担をなるべく減らすためにも、まずは小規模での導入ができないかを検討するようにしています。
また、試験運用中の取り組み内容やそこで得られた知見は、ミーティングで定期的に報告することで導入価値を理解してもらえるようにも努めています。加えてそれらをテックブログのコンテンツにすることで、もし正式導入ができなくても、開発チームの社外プレゼンス向上に資する投資にできる/してみせる、という姿勢を意識してコミュニケーションしています。
活用方法
開発メンバー全員に導入しており、開発時には常に利用しています。また、テックブログの執筆支援など、開発外での活用も模索しています。
よく使う機能
- インラインでのコーディング補完
- エージェント機能による自律的タスク実行(まとまったボリュームでの実装、俯瞰した分析の補助 など)
- Cursor Rulesによるナレッジの形式化・表出化・蓄積
ツールの良い点
- エージェントの自走力が、確実な実装を求められる本番アプリケーション開発には心地よいと感じています
- VS Code を利用したことがあれば、多少のレイアウトの違いはありますが問題なく活用できると思っています
- 様々なモデルを選択して利用できるため、モデルごとに気軽に試すことができ、モデルの特性を理解して使い分けするようなことも可能です
ツールの課題点
- ツールというよりは利用する側の課題かもしれませんが、よりエージェントに自走させても品質が担保できるようなルールやドキュメントの整備ができるかどうかが課題だと思っています
- VS Code拡張機能マーケットプレイスが利用できなくなったため、C/C++の拡張機能などが使えないなど注意が必要です。事前に必要な拡張機能が使えるかの確認が必要です。
ツールを検討されている方へ
本番運用しているサービスの開発において、エンジニアと伴走しながら着実にサポートしてくれるAI開発支援ツールを探している方には、間違いなく Cursor はお勧めできると思っています。
積極的に更新もされており新しい機能も追加されているため、まずは小規模でも良いので導入し、ナレッジを人・AI双方で活用できる形で蓄積していくと、効果が見えやすいのではないでしょうか。
今後の展望
Kulture では、他にも Claude Code や Codex CLI、Devin AI などと組み合わせての利用にトライしています。エンジニアの力を最大限、ユーザーにより良い価値の実現に繋げられるよう、新しいツールの登場やアップデートにも積極的にトライしていきたいと思っています。
株式会社Kulture / yukia3e
テックリード / EM / 従業員規模: 11名〜50名 / エンジニア組織: 10名以下
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