Dify OSSでスモールスタートする事業部AI活用
スターフェスティバル株式会社 / koonagi
シニアマネージャー / EM / 従業員規模: 101名〜300名 / エンジニア組織: 11名〜50名
ツールの利用規模 | ツールの利用開始時期 | 事業形態 |
---|---|---|
11名〜50名 | 2025年4月 | B to B B to C |
ツールの利用規模 | 11名〜50名 |
---|---|
ツールの利用開始時期 | 2025年4月 |
事業形態 | B to B B to C |
アーキテクチャ

アーキテクチャの意図・工夫
認証回りの工夫として、 OSS版にはSSO機能がなかったため、ALB+OIDC認証を前段に挟み、社内ユーザー限定のアクセス制御を実装しました。
データ連携の工夫として、 Snowflakeへの接続では既存の仕組みでトークン認証ができなかったため、独自のカスタムツールを構築しました。そして、Difyアプリから呼び出すことで、社内データとスムーズに連携できるようにしました。
導入の背景・解決したかった問題
導入背景
ツール導入前の課題
エンジニア部門では Claude・Gemini・ChatGPT など複数のLLMを日常的に活用し、プロダクト開発やデータ分析の効率化を進めていました。 一方で事業部側には、業務にフィットした形で気軽にAIを利用できる仕組みがなく、日常業務への導入はほとんど進んでいない状況でした。
どのような状態を目指していたか
スモールスタートで事業に貢献できるAIアプリの検証ができる環境を構築すること。
選定理由
最終的にDifyを選んだ決め手は、サーバーを用意すればOSS版をライセンス費用なしで利用できる点でした。 AI導入の効果を予測するのが難しいため、初期費用をかけずに実験的に導入できることが大きな魅力となりました。
導入の成果
改善したかった課題はどれくらい解決されたか
スモールスタートという位置づけで導入したDifyによって、事業部が自らAIアプリを作れる環境を整えることはできました。
導入時に想定していたいくつかの課題(CSメール返信の品質改善、レポート記事の停滞解消、法人情報検索など)は、Dify上にアプリを構築することで日常的に使われるレベルまで到達しています。
特に、FAQやプロンプトの整備を事業部メンバーと一緒に進めたことで、「AI活用を業務に組み込む」ための具体的なプロセスが確立できたのは大きな前進でした。
どのような成果が得られたか
現時点で得られた成果は以下の通りです。
■ 業務改善の道筋が見えた
- CSメール返信の品質が安定し、ラリーが減少。
- レポート記事の公開本数が増加(従来:年2〜3本 → 導入後9か月で10本)。
■ プロンプト設計・FAQ整備の文化が生まれた
- 単なるツール導入ではなく、業務フローを見直しながらAIを活かす取り組みへ発展。
ただし効果はまだ限定的で、現状は一部業務の効率化にとどまっています。今後は「大きな業務プロセスをAIアプリでまるごと巻き取る」ようなスケール感のある導入ができれば、さらに大きな成果につながると考えています。
また、GeminiをはじめLLMは日々進化しているため、その時々で最適なツールを選択しながら組み合わせて活用する柔軟性も重要になると感じています。
導入に向けた社内への説明
上長・チームへの説明
Difyの導入に際しては、大規模な社内プレゼンや全社的な承認プロセスは踏んでいません。既に「全社的にAIを活用していく」という方針が経営層で合意されていたため、その延長線上として比較的スムーズに進めることができました。
事業部へのAI導入に最初に協力してもらったのがオペレーション部門です。部門長と事前に協議し、「問い合わせ対応」や「法人チェック」といった現場課題を明確にした上で、Difyを活用して具体的に解決できるアプリを提案し、トライアルを開始しました。
活用方法
よく使う機能
- エージェント
- チャットワークフロー
- テキスト生成
要件に応じてこれらを使い分けています。
また、外部連携が必要な場合は可能な限りマーケットプレイスのプラグインを利用し、適切なプラグインが存在しない場合にはカスタムプラグインを作成して対応しています。
ツールの良い点
- OSS版があるため無料で導入可能で、スモールスタートで効果測定ができます。
- アプリ作成が容易で、事業部の業務課題を素早く形にできます。
- エージェント/チャットワークフロー/テキスト生成を組み合わせて柔軟に利用可能です。
- マーケットプレイスのプラグインを活用でき、足りない場合はカスタムプラグインを追加できる拡張性があります。
ツールの課題点
- OSS版では SSOが非対応で、ALB+OIDCで回避しているが、Chrome拡張など一部機能が利用できないです。
- OSS版では、セキュリティや継続的なメンテナンスには自社で配慮する必要があります。またプラグインは容易に導入できる一方、公式以外のものはセキュリティリスクを含む可能性があるため注意が必要です。
- 多機能である反面、最適な機能選択やチューニングには学習コストがかかります。
スターフェスティバル株式会社 / koonagi
シニアマネージャー / EM / 従業員規模: 101名〜300名 / エンジニア組織: 11名〜50名
2014年に新卒としてSESエンジニアとしてITのキャリアを開始し、その後、AWSクラウドベンダーや外資系コンサルタント企業などを経て、2022年7月にスターフェスティバルに入社。スターフェスティバルでは各アプリケーションのインフラ全体、データ基盤の構築、そして分析業務などを担当。入社後しばらくしてからエンジニアの採用活動にも関与し、スカウト、カジュアル面談、採用イベントの企画・運営なども担当。
よく見られているレビュー
スターフェスティバル株式会社 / koonagi
シニアマネージャー / EM / 従業員規模: 101名〜300名 / エンジニア組織: 11名〜50名
2014年に新卒としてSESエンジニアと...
レビューしているツール
目次
- アーキテクチャ
- 導入の背景・解決したかった問題
- 活用方法