『KAG における GitHub Copilot の導入:開発アジリティ強化と「楽しくやる」カルチャーの推進』
KDDIアジャイル開発センター株式会社 / はしもと(仮名)
メンバー / バックエンドエンジニア / 従業員規模: 101名〜300名 / エンジニア組織: 101名〜300名
利用プラン | ツールの利用規模 | ツールの利用開始時期 | 事業形態 |
---|---|---|---|
GitHub Copilot for Business | 51名〜100名 | 2023年5月 | B to B |
利用プラン | GitHub Copilot for Business |
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ツールの利用規模 | 51名〜100名 |
ツールの利用開始時期 | 2023年5月 |
事業形態 | B to B |
導入の背景・解決したかった問題
導入背景
組織の成長やサービス開発を通した顧客への提供価値の最大化、業界における競争力の獲得。これらを達成して継続していくためには、生成AIの活用は必須だと考えていました。
しかし、GitHub Copilot 導入以前は、業務全般においてAIが活用できているとは言えない状況でした。KAGは社員に占めるソフトウェアエンジニアの比率が多く、コーディング作業に毎日多くの時間を割いています。組織カルチャーに掲げている「楽しくやる」を推進するにあたって、AIツールを用いてコーディング作業の効率化・負担軽減を行うことが、組織、社内のエンジニア両方にとって大きな利益になると考えました。
比較検討したサービス
- ChatGPT Plus
- Amazon Q Developer(旧Amazon CodeWhisperer)
比較した軸
- 開発者がストレスを感じることなく、現在の業務にシームレスにツールを組み込めること
- ツールの利用により生産性を向上できること
- サービス利用におけるセキュリティリスクや品質を考慮した上で、組織としてのガバナンスを適切に設けられること
選定理由
- VSCodeなどのIDE上で直接提案を受け取れたりチャットができる点
- 2022年からサービス提供を開始しており、実績があった
- 個人利用の段階で高い性能が確認されており、組織としての導入効果が期待できると判断できた
- 日本語の入力に対しても高い精度で出力が得られていた
- 同時期にZOZO社やサイバーエージェント社など先進的な他社が社内導入を進めており、導入に向けた考慮事項や評価観点など参考にすることができた
- もともとGitHub Enterpriseを使用しており、必要な環境がある程度整っていた
導入の成果
GitHub Copilotをはじめとする生成AIサービスが業務に不可欠なものとなり、社員がAIツールを利用することに対するハードルが下がりました。現在では、ほぼすべての開発案件でGitHub Copilotが活用されており、直接的な価値にならない作業時間の削減やプロトタイピングなどのスピード向上に貢献しています。
実際、利用者へのアンケート結果から、エンジニア1人1日あたり約33分〜71分の作業時間の短縮に寄与しているという結果が得られました。
各利用者の1日のコーディング作業時間に占める削減された作業時間の比率を計算し全体の平均を取ったところ、削減割合の平均は約38%となった。(詳細はテックブログをご覧ください。)
また、開発者体験の面では、社内のエンジニアの心理的負担を低減する要素の1つになっています。
その他、生産性への効果や心理的影響に関する調査では、個人・チームの生産性向上や作業完了までの時間短縮への効果だけでなく、作業における集中力の維持や認知不可・ストレスの軽減などにおいても効果があることが示唆された。(詳しい内容はこちらのリリースをご覧ください。)
導入時の苦労・悩み
- トライアル希望者の募集、ライセンス配布、定期的なアンケート実施、集計や導入効果の試算など、データ収集と分析に時間を要した
- 利用ポリシーの整備が必要で、GitHub社へのヒアリング結果をもとに社内の利用ポリシーを策定し、周知活動を実施した
- AIを活用した開発が初めてであるため、情報資産に対する考え方や利用ルール、リスクなどの理解と背景情報の共有に注力した
導入に向けた社内への説明
上長・チームへの説明
トライアルの結果を踏まえて、以下の2点を説明しました。
- 導入によって短縮可能な作業時間から算出した金額が、発生する費用に対して十分に大きいこと
- 開発スピードの向上だけでなく、コーディング業務における認知負荷の低減やストレスの抑制など、開発者の体験面でも十分な効果が期待できる
また、セキュリティ規定やデータ取扱ルールが明確なKDDIグループの案件から導入を開始し、徐々に導入範囲を拡大していく計画を提示し、ツールの費用が高額であることを踏まえ、年内は定期的に導入効果を振り返り、適宜方針を見直す方針を示すことで懸念を払拭しました。
社内への展開・活用推進に向けて
利用開始後、利用者数が伸び悩んだ時期があり、アンケートから、GitHub Copilotの使い方や活用方法がわからないという声が多いことが判明しました。
そこで、社内でGitHub Copilotに対する知識の量に大きな差があることを痛感したため、社内でLT会を企し、その中で実際に業務でGitHub Copilotを活用しているエンジニア5名から使い方やメリットやtipsを共有してもらうなど、地道な布教活動を行いました。
活用方法
- 新規プロジェクトの初期実装や既存の実装を踏まえた追加実装
- 既存コードの解説やコメントの補完
- 一般的な技術的なQ&A
- テストコードやテストデータの作成
- コードをもとにしたドキュメント生成
- ブログ記事などの文書執筆
よく使う機能
- リアルタイムのコード補完
- チャット機能
ツールの良い点
- サービス名の通り、コパイロット(副操縦士)としていつでも質問やレビューの相手になってくれる
- 周辺のコードをコンテキストとして、今の実装に沿った提案をしてくれる
- 多くのケースにおいて、自分がこれから実装しようとしているコードを提案してくれる
ツールの課題点
- 提案の精度は高いものの完璧ではないため、それを見抜くためには利用者側にも十分なスキルレベルが求めらる
- 経験の浅いエンジニアにとっては、なぜそのような実装になっているかを深く理解しないまま良しとしてしまう可能性があるため、ツールとの付き合い方を十分に考え、継続して社員の認識を揃える必要がある
ツールを検討されている方へ
GitHub社の営業担当者さまと会話することで非常に多くの情報の獲得につながったため、関連する自社のセキュリティ規定を確認した上で問い合わせることを推奨します。
また、GitHub Copilotは従量課金制で1ユーザーから導入可能なので、最初から全社導入するのではなく、数名や特定のチームなど小さな単位で導入し、効果検証を行うことが有効だと思います。
KDDIアジャイル開発センター株式会社 / はしもと(仮名)
メンバー / バックエンドエンジニア / 従業員規模: 101名〜300名 / エンジニア組織: 101名〜300名
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