GitHub Copilotで開発フローを自動化。ツールを『育てる』ことで手に入れた本当の価値
株式会社FLINTERS / 野崎絢右
メンバー / バックエンドエンジニア
導入の背景・解決したかった問題
導入背景
ツール導入前の課題
普段の業務において、チケットの確認、命名規則に沿ったブランチ作成、実装後のMerge Request(以下MR)説明文作成のような、開発に付随する細かな定型作業による認知コストが大きな課題でした。コードを書くこと以上に、これらの周辺作業に脳のリソースを割かれることが、開発スピードのボトルネックになっていました。
どのような状態を目指していたか
「AIをもっと賢く使って、面倒な定型作業から解放されたい」という思いから、チケット番号を渡すだけでMR作成直前まで作業が自動進行する仕組み、いわば「自分専用の開発パートナー」を構築することを目指しました。
導入の成果
改善したかった課題はどれくらい解決されたか
ブランチ名やMR説明文の構成のような「些細な判断」をすべてCopilotに委譲できました。体感として、開発周辺の事務作業にかかる時間は50%以上削減されています。
どのような成果が得られたか
最大の成果は「脳のメモリ」が解放されたことです。余ったリソースを「より良い設計」や「UXの向上」「技術的な負債の解消」のような、エンジニアが本来向き合うべき上流の課題に使えるようになりました。また、プロンプトを育てる過程そのものが、自分自身の開発プロセスの言語化・再定義に繋がりました。
導入に向けた社内への説明
上長・チームへの説明
会社側ですでに導入推進が進められていたため、いわゆる「説得」は不要でした。そのため、「いかにスムーズに使いこなすか」という技術的な検証に全力を注ぎました。
活用方法
copilot-instruction.md によるワークフローのオーケストレーション
単にチャットに指示を投げるのではなく、リポジトリ直下に配置した copilot-instruction.md を「司令塔」として運用しています。ここにカスタムプロンプトやサブエージェントの挙動を定義することで、AIが常に「私の開発スタイル」を理解した状態で動けるようにしています。
具体的には、以下の3ステップをスラッシュコマンドとして定義し、一連の開発フローを完全に自動化しています。
開発準備:/setup
JiraチケットのURLや内容を渡すと、Copilotが「仕様の要約」「命名規則に沿ったブランチ名の提案」「.github/TODOS.md へのタスク抽出」を自動で行います。この時点で、人間が考えるべき「次は何をするんだっけ?」をAIが先回りして整理してくれます。
自律実装:/implement
先ほど生成した TODOS.md から未完了タスクを1つずつ読み込み、実装とセルフチェックを繰り返します。ここで Subagents を活用するのがミソです。複雑なタスクは専門のエージェントに切り出すよう指示しているため、メインチャットのコンテキストを汚さず、長時間の実装でも精度が落ちません。
MR作成:/create_mr
実装が終わったら、git diff とJiraの情報を照らし合わせ、社内テンプレートに沿ったMR説明文を自動生成します。差分から「何を変えたか」だけでなく「なぜ変えたか」まで汲み取った文章が出てくるので、人間は微調整して投稿するだけです。
なぜ「オーケストレーション」が必要なのか
AIを「便利な辞書」として使うのをやめ、「開発プロセスの管理者」として定義し直しました。この指示ファイル(Instruction)を育てることで、プロジェクトのルールが変わっても、ファイルを1行書き換えるだけでチーム全員のCopilotが即座に新しいルールに適応できる。これこそが、ツールを『育てる』ことで得られる本当の価値だと感じています。
※最新機能(Subagents / Skills)のメリット
現在はこれらを「Subagents」や「Skills」として運用することで、さらに利便性が向上しています。
Subagents によるコンテキスト管理
- 巨大なリポジトリでも、タスクを専門のエージェントに切り出すことで、長時間のチャットでも回答精度を維持しています。
Skills (Extensions) による「俺流」の徹底
- プロジェクト固有のルールや社内ツールとの連携を「Skill」として定義。AIに自分のやり方を徹底させ、自分専用のアシスタントへと進化させています。
よく使う機能
copilot-instruction.md(AGENTS.md) 常に参照されるコンテキストファイルです。カスタムプロンプトやサブエージェントをオーケストレーションする指示を書いています。
カスタムプロンプト群 (/setup, /implement, /create_mr) よく使うプロンプトをスラッシュコマンドとして呼び出せます。Jiraチケットの要約、TODO生成、実装、MR説明文作成という一連の開発フローを自動化するために自作したプロンプトを登録しています。
Subagents 複雑なタスクを専門のエージェントに切り出して実行させる機能。メインチャットのコンテキストを圧迫せずに作業を進められるため、長時間の開発でも回答精度が落ちません。
Skills (GitHub Copilot Extensions) 独自の開発ルールや社内ツールとの連携を定義。AIに「自分やチームのやり方」を徹底させ、単なる汎用AIから自分専用のアシスタントへと進化させています。
ツールの良い点
「脳のメモリ」の解放 ブランチ命名や定型的な実装、MR作成のような些細な判断をすべてCopilotに委譲できるため、エンジニアが本来向き合うべき「設計」や「UX」のような本質的な課題に100%集中できます。
「育てる」楽しさと実用性 Skillsやプロンプトを磨くことで、使えば使うほど自分の思考に同期したパートナーへと成長します。
コンテキスト管理の優秀さ Subagents機能により、巨大なリポジトリや複雑な仕様変更でも、必要な情報だけを適切に扱いながら自律的に動いてくれる安定感があります。
ツールの課題点
「育てる」までの試行錯誤 自分好みの挙動をさせるためのプロンプトの磨き込みやSkillsの設定には、一定の学習コストと試行錯誤が必要です。
仕様定義(ディレクション)の重要性 エージェントが自律的に動ける分、人間側が与える「仕様」や「ゴール設定」が曖昧だと、意図しない方向に進んでしまうことがあります。「何を書くか」ではなく「何をさせるか」を定義するスキルが求められます。
カスタマイズ性 Claude Codeの方がカスタマイズの余地があるように感じる
今後の展望
「定型作業をプロンプトやエージェントに落とし込む」という考え方自体は、どのような開発現場でも応用が効くはずです。
今後は、Subagentsによる効率的なコンテキスト管理や、Skillsを通じた「自分なりの開発手法」のさらなる徹底を深め、GitHub Copilotを単なるツールではなく、より自律的に動く「自分の分身」へと育てていきたいと考えています。
この記事が、皆さんの日々の「ちょっとした面倒」を解消し、Copilotを"最強の相棒"に育てるヒントになればこれほど嬉しいことはありません。
株式会社FLINTERS / 野崎絢右
メンバー / バックエンドエンジニア
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