【ベクトル検索から生成 AI まで全て詰まった便利ツール】トレカサービス Clove における Vertex AI 導入事例
株式会社トラストハブ / 中村伸一郎
メンバー / 機械学習エンジニア
利用機能 | ツールの利用規模 | ツールの利用開始時期 | 事業形態 |
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ベクトル検索(Vector Search)、生成 AI(Gemini API) | 10名以下 | 2023年1月 | B to C |
利用機能 | ベクトル検索(Vector Search)、生成 AI(Gemini API) |
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ツールの利用規模 | 10名以下 |
ツールの利用開始時期 | 2023年1月 |
事業形態 | B to C |
導入の背景・解決したかった問題
導入背景
ベクトル検索で実現するレコメンド機能
ツール導入前の課題
Clove オリパは、新商品(オリパ)の追加や既存商品の売り切れなど、取り扱う商品の入れ替わりが非常に激しいサービスです。そのため、ユーザーエンゲージメントを高めるためにも、商品購入後にスピーディかつ的確な類似商品をいかにレコメンドできるかが課題でした。 また、購入リクエストが高頻度で飛んでくるため、レコメンドを行うバックエンドではそれに応じた高速なレスポンスが求められます。
どのような状態を目指していたか
- ユーザーが商品(オリパ)を購入した直後に、類似商品を表示して購買意欲を高めてもらうこと
- 新商品の追加や既存商品の売り切れによるラインナップの変化にも柔軟に対応して、常に精度の高いレコメンド結果を提示すること
- 高いリクエスト頻度にも素早い速度でレコメンドを返すこと
生成 AI を活用した品目マスターデータ登録の自動化
ツール導入前の課題
Clove オリパでは幅広いカテゴリーの商品を扱っています。これまではスタッフが販売サイトのテキスト情報を読み込み、弊社が定める品目マスターデータの形式に合わせて、手動で入力とデータベースへの登録を行っていました。この作業は時間がかかるうえに、ヒューマンエラーが発生するリスクもあり、オペレーションの効率化が大きな課題でした。
どのような状態を目指していたか
- 販売サイトの説明テキストから、自社で必要とするデータを自動抽出し、品目マスターデータのフォーマットに合わせて整形してデータベースに登録すること
比較検討したサービス
ベクトル検索について:
- AlloyDB
生成 AI について:
- OpenAI API
- Anthropic API
比較した軸
ベクトル検索について:
- レスポンス速度
- ベクトルのインデックスの登録・更新・削除が容易かどうか
- フィルター機能などの拡張性
生成 AI について:
- レスポンス速度
- 生成 AI が返すデータのフォーマットを自由に設定できるかどうか
選定理由
弊社では既に Google Cloud Run を中心としたクラウドインフラを構築していたので、GCP 上での一貫した運用管理が行える Vertex AI を導入することにしました。
導入の成果
どのような成果が得られたか
ベクトル検索については、まだ対応している商品カテゴリーは限定的ではあるものの、欲しかったレコメンド機能を無事に実装できました。レスポンス速度も期待通りで、変化の激しいラインナップにも対応してレコメンド結果を返すことができています。これにより、プロダクトのユーザーエンゲージメントを高めることができました。
生成 AI についても、これまでスタッフが手動で行っていた品目マスターデータ登録の工程を自動化することができ、ヒューマンエラーのリスク低減と作業時間の大幅削減を実現しました。これにより、手間のかかっていた登録業務に煩わされることなく、新商品(オリパ)の企画作成などの他の業務にリソースを振り分けられるようになりました。
導入に向けた社内への説明
上長・チームへの説明
ベクトル検索については、ステージング環境にてまずは実装をして、レコメンド機能がどのように動作するのか、チームに向けてデモを実施して説明しました。
生成 AI については、まずはローカル環境にて Streamlit アプリの形にして実装して、実際のスタッフに使ってもらい使用感を確かめてもらいました。
活用方法
よく使う機能
- Vertex AI Vector Search
- ベクトルのインデックスの登録・更新・削除
- ベクトル検索機能
- フィルタリング機能
- クラウディングタグ機能
- Vertex AI Gemini API
- 生成 AI (Text-to-Text)
- レスポンスタイプの指定 (Response Schema)
ツールの良い点
ベクトル検索について
- ベクトル値のストレージと検索機能を一体化しているため、データ管理がシンプル
- フィルタリング機能など拡張性のある機能がいくつもあって使いやすい
生成 AI について
- ローカル環境での開発が容易
- レスポンスのデータ形式をある程度自由に設定できる
- マルチモーダルに対応している
ツールの課題点
ベクトル検索について
- ローカル環境での開発がやりづらい
- ベクトルをインデックスで保持しているだけで料金が発生するので、不要になったベクトルを適切に削除・整理する運用が求められる
生成 AI について
- 特になし
今後の展望
現在、詳細についてはお伝えできませんが、Vertex AI のベクトル検索を活用したレコメンド機能は、今後さらに機能拡張を進める予定です。 また、今回は Gemini API のテキスト生成(Text-to-Text)機能を中心に導入しましたが、今後は Gemini API が備えるマルチモーダル性を活用し、テキスト以外の形式にも適用を広げてさらなるオペレーション効率化も狙っていきます。
株式会社トラストハブ / 中村伸一郎
メンバー / 機械学習エンジニア
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目次
- 導入の背景・解決したかった問題
- 活用方法