Findy Tools
開発ツールのレビューサイト
検索結果がありません
目次
Xのツイートボタン
このエントリーをはてなブックマークに追加
Xのツイートボタン
このエントリーをはてなブックマークに追加
CI/CDツールカオスマップ 2025年上期版
公開日 更新日

CI/CDツールカオスマップ 2025年上期版

会員限定コンテンツです。無料登録すると制限なしでお読みいただけます。
無料登録してアーキテクチャを見る

ソフトウェア開発のスピードと品質の両立が求められるなか、CI/CD(継続的インテグレーション/継続的デリバリ)の仕組みは、今や開発体制そのものの基盤といえる存在になっています。一方で、CI/CDを実現するツール群は年々多様化し、ビルド・テスト・デプロイ・パイプライン設計など、複数の工程にまたがる選定が必要になります。

本カオスマップでは、2025年7月時点の情報をもとに、代表的なCI/CDツールを主な機能・用途ごとに分類・整理しました。「全体像を把握したうえで、自社に必要なパーツを見極める」ことを目的に、直感的に使いどころを掴める構成としています。

※本記事では、CI/CDツールを「主な特徴や用途」に応じてカテゴリに分類しています。
実際には複数の機能を兼ね備えたツールも多く、他のカテゴリでも活用可能な場合がありますが、ツールの使いどころを直感的に捉えていただくことを目的にカテゴリ分けを行いました。 ツールの全容把握のための参考情報としてご覧頂けましたら幸いです。

CI/CDツールカオスマップ全体像

会員限定コンテンツ無料登録してアーキテクチャを見る

本マップは2025年7月時点の公開情報をもとに作成しております。
掲載しているロゴ・商標等の取り扱いについて問題や懸念がございましたら、下記の窓口までご連絡くださいますようお願い申し上げます。
また、ロゴの掲載をご希望される場合も、お問い合わせいただけますと幸いです。

【お問い合わせ先】
ファインディ株式会社 CI/CDツールカオスマップ制作担当者
findy_tools@findy.co.jp

次のセクションからは各カテゴリの解説や導入時のポイントをご紹介していきます。


CI/CD一体型プラットフォーム

CIとCDの機能を統合し、一つの環境でパイプラインの設計から実行までを一貫して管理できるツール群です。コードのビルド、テスト、デプロイに加え、監視や通知、ロールバックなど運用に必要な機能も備えており、開発からリリースまでのワークフローを効率化します。

■ このカテゴリのツール例

GitHub ActionsGitHubリポジトリとシームレスに連携し、YAMLベースでパイプラインを定義可能。OSSプロジェクトや小規模開発から大規模組織まで幅広く利用されており、Marketplaceによる拡張性も高い。
GitHub Actionsページはこちら
Cloud Buildソースコードからコンテナイメージや非コンテナアーティファクトをビルドするためのフルマネージドなプラットフォーム。
Cloud Buildページはこちら

💡他にも下記のようなツールがあります
GitLab / Bitbucket Pipelines / Buddy / Codefresh / Semaphore CI

■ 特徴と役割

  • CIとCDの機能を統合し、一つの環境でパイプライン全体を一貫管理できる
  • ビルド、テスト、デプロイに加え、監視や通知、ロールバックなど運用機能も備える
  • マルチプロジェクトや複数環境への対応に優れ、スケーラブルな運用を支援する
  • クラウド型サービスが中心で、インフラ管理の負担を軽減できる

■ ツール選定時のポイント
CIとCDを別々のプラットフォームで導入する場合に比べ、一体型は運用の一元管理や設定の一貫性で優れる一方、個別最適化の柔軟性では分離型が有利となる場合もあります。導入環境や運用方針に応じて最適な形態を選ぶことが重要です。

  • CI/CD機能の統合度とパイプライン設計の柔軟性
  • 監視・通知・ロールバックなど運用機能の充実度
  • マルチプロジェクトや複数環境への対応力
  • クラウド型かオンプレミスかなど運用形態の選択肢
  • 他ツールや外部サービスとの連携性


CI(継続的インテグレーション)

CI(継続的インテグレーション)は、ソースコードの変更を自動で検知し、ビルドやテストなどの工程を一貫して実行する仕組みです。迅速なフィードバックによって品質を保ちながら、開発サイクルを高速化します。近年はクラウド型サービスやYAMLベースのパイプライン定義が主流となり、OSSプロジェクトや大規模組織でも導入が進んでいます。

■ このカテゴリのツール例

CircleCIクラウド型CI/CDサービスの代表格。並列実行やワークフロー分岐が得意で、Dockerコンテナとの親和性が高い。設定ファイルの柔軟性や高速なビルド環境が特徴。
CircleCIページはこちら
JenkinsオープンソースのCI/CD自動化サーバー。豊富なプラグインによる拡張性と高いカスタマイズ性が特徴で、オンプレミス運用や複雑なパイプライン構築にも対応。大規模組織や独自要件への柔軟な適用が可能。
Jenkinsページはこちら

💡他にも下記のようなツールがあります
Buildkite / Travis CI / Atlassian Bamboo / TeamCity / DroneCI / CloudBees CI / AWS CodeBuild / GoCD / Screwdriver

■ 特徴と役割

  • コード変更を自動検知し、ビルド・テスト・(場合によってはデプロイ)までを一貫して実行可能
  • 複数のジョブやステップを分岐・並列化し、効率的なパイプライン設計が可能
  • 開発チームごとに独自のワークフローを柔軟に構築できる
  • クラウド型サービスでは、インフラ管理不要でスケーラブルな運用が可能

■ ツール選定時のポイント

  • 自社のリポジトリ管理サービスとの連携性
  • パイプライン定義の柔軟性(YAML/GUI/コードベースなど)
  • 並列実行や分岐処理の対応力
  • セキュリティ要件やオンプレミス運用の必要性
  • 外部サービスやサードパーティツールとの統合性


CD(継続的デリバリー)

CIの次のステップとして、変更をステージング環境や本番環境へ安全かつ自動的に届けるプロセスが「継続的デリバリー(CD)」です。CIで検証済みのアーティファクトを、承認や条件に応じて次の環境へ段階的にデプロイすることで、デリバリーの信頼性と頻度を高めます。
CDツールには、パイプラインの柔軟な構築、環境ごとのデプロイ戦略(カナリアリリース、ブルーグリーンなど)への対応、ロールバック機能の充実度などが求められます。自社のリリースフローに沿った運用設計が可能かどうかが、ツール選定の鍵となります。

■ このカテゴリのツール例

Spinnakerマルチクラウド・マルチサービス対応のデプロイオーケストレーションツール。高度なパイプライン設計やカナリアリリース、ロールバック機能が充実している。
Spinnakerページはこちら
AWS CodeDeployAWSサービスと連携したデプロイ自動化ツール。EC2、Lambda、ECSなど多様なターゲットへのデプロイに対応し、細かなデプロイ戦略を設定できる。
AWS CodeDeployページはこちら

💡他にも下記のようなツールがあります
Harness / Octopus Deploy / AWS CodeDeploy / Cloud Deploy / Tekton


■ 特徴と役割

  • 本番環境へのリリースを自動化し、人的ミスや作業負荷を軽減できる
  • カナリアリリースやブルーグリーンデプロイなど、段階的なリリース戦略を柔軟に実現できる
  • ロールバックやヘルスチェック機能により、障害発生時の迅速な復旧を支援する
  • マルチクラウド・マルチサービス環境でも統一的なデプロイ管理が可能

■ ツール選定時のポイント

  • 対象インフラ(Kubernetes、VM、サーバレス等)との親和性
  • ロールバックや段階的リリースなど高度なデプロイ戦略の実装力
  • 既存CI/CDパイプラインや監視ツールとの統合性
  • セキュリティ・権限管理の仕組み


GitOps(Kubernetes特化CD)

GitOpsは、アプリケーションやインフラの望ましい状態をGitリポジトリに宣言的に定義し、その状態を自動的に実環境に反映する運用モデルです。変更履歴がGitに集約されるため、監査性や変更管理が強化され、インフラとアプリケーションの一貫性を保ちながら安全かつ迅速なデプロイを実現します。
従来の手動やスクリプトベースのデプロイメントと比較して、変更の可視化・追跡性が高い点が特徴であり、複雑なマルチクラウド・マルチクラスター環境の運用にも適しています。

■ このカテゴリのツール例

Argo CDKubernetes環境向けのGitOps型CDツール。宣言的な設定管理と自動同期が特徴で、複数クラスタやマルチテナント運用にも強い。
Argo CDページはこちら

💡他にも下記のようなツールがあります
Flux CD / Rancher Fleet


■ 特徴と役割

  • Gitリポジトリを単一のソースとして環境設定を宣言的に管理
  • 実環境と設定の差分を自動で検知し同期する
  • 変更履歴がGitに残り、監査やロールバックが容易
  • Kubernetesを中心にクラウドネイティブ環境に適合し、安全な運用を支援

■ ツール選定時のポイント

  • Git連携の強さだけでなく、運用中のリポジトリ管理ルールに適合しているか
  • 複数クラスタや多様な環境への対応力
  • 自動同期の信頼性に加え、誤同期を防ぐ承認機能が備わっているか
  • 監査ログや状態の可視化が使いやすいか


モバイルアプリCI/CD

モバイルアプリに特化したCI/CDパイプラインは、iOSやAndroidアプリのビルド・テスト・配布を自動化する基盤です。OSや端末の断片化、証明書管理、ストア配布といったモバイル固有の課題に対応する機能が充実しています。
近年では、クラウド型サービスの普及やストア申請・実機テストの自動化などにより、モバイル開発の効率化と品質向上を強力に支援するツールが増加しています。

■ このカテゴリのツール例

Bitriseモバイルアプリ開発に特化したクラウド型CI/CDサービス。証明書管理やストア連携、実機テストなど、モバイル固有のワークフローをGUIで簡単に構築できる。
Bitriseページはこちら
Codemagicモバイルアプリ開発向けのクラウド型CI/CDサービス。iOSやAndroidアプリのビルド・テスト・配布を自動化し、証明書管理やストア申請、Slack通知などの連携機能も充実。
Codemagicページはこちら

💡他にも下記のようなツールがあります
Appcircle / Expo Application Services


■ 特徴と役割

  • 証明書やプロビジョニング管理を自動化し、リリース工数を削減
  • App StoreやGoogle Playへの申請・配布を一元管理
  • 実機テストやクラッシュレポートなど品質管理機能が充実
  • OS・端末の断片化に対応したクラウド環境でビルド・テストを提供

■ ツール選定時のポイント

  • 対応プラットフォーム(iOS/Android/クロスプラットフォーム)の対応範囲
  • 証明書・ストア連携などモバイル固有機能の使いやすさ
  • 実機テストやベータ配布など品質管理機能の有無
  • 既存CI/CDパイプラインや他ツールとの統合性
  • コストや運用負荷(クラウド型かオンプレミスか)


終わりに

CI/CDツールの選定や運用は、単なる技術的な選択にとどまらず、組織の成長や開発文化の醸成、そして事業の競争力強化にも直結します。

特にEMやVPoE層の皆さまにとって、CI/CDの仕組みは開発現場の生産性や品質を左右するだけでなく、エンジニアの働き方や組織全体のイノベーションにも大きな影響を与えます。最適なツール選定は、現場の課題や目的を深く理解し、組織のビジョンと照らし合わせながら進めることが不可欠です。

本カオスマップを通じて、現状の選択肢や各ツールの特徴を俯瞰することで、今後の開発体制やプロセス設計に新たな視点や気づきが生まれることを願っています。

技術は日々進化し続けますが、ツール選定の本質は「自社の課題や目的にどう向き合うか」にあります。現場の声や組織のビジョンを丁寧にすくい上げ、単なる効率化だけでなく、開発者のエンゲージメントやイノベーションを促進する環境づくりが、これからの組織にとってますます重要なテーマとなるでしょう。

このレポートが、皆さまの現場での議論や意思決定の一助となり、より良い開発環境づくりへのヒントとなれば幸いです。

お読み頂き、ありがとうございました。

関連した特集記事

関連ツール