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オブザーバビリティツールカオスマップ 2025年上期版
公開日 更新日

オブザーバビリティツールカオスマップ 2025年上期版

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近年、ソフトウェアシステムの構造はますます複雑化しています。
マイクロサービスやコンテナ、Kubernetes、マルチクラウドといった技術の普及により、システム全体の挙動を把握する難易度が上がっています。
こうした状況の中、単なる「モニタリング」では不十分で、より深く・広くシステム内部の状態を可視化する「オブザーバビリティ(可観測性)」の重要性が高まっています。特にSREやインフラエンジニアの現場では、障害の迅速な検知や原因特定、パフォーマンス分析に欠かせない考え方となっています。

本記事では、オブザーバビリティに関連する主要なツールをカテゴリ別に整理した「カオスマップ」を紹介し、各カテゴリの解説や導入時のポイントをご紹介します。

なお、AWS・Google Cloud・Azureなど主要なパブリッククラウド各社では、自社サービス内でオブザーバビリティ機能を提供しています。
これらは各クラウド環境に合わせて設計されており、利用しているクラウドに応じて自然に選択・活用されるケースが一般的です。
そのため本記事では、クラウド横断で利用できるツールや、特定の観測領域に強みを持つツールにフォーカスを当ててご紹介しています。

オブザーバビリティカオスマップ全体像

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本マップは2025年4月時点の公開情報をもとに作成しております。
掲載しているロゴ・商標等の取り扱いについて問題や懸念がございましたら、下記の窓口までご連絡くださいますようお願い申し上げます。
また、ロゴの掲載をご希望される場合も、お問い合わせいただけますと幸いです。

ファインディ株式会社 オブザーバビリティカオスマップ制作担当者
findy_tools@findy.co.jp


続いて、次のセクションからは各カテゴリの解説や導入時のポイントをご紹介していきます。


統合監視プラットフォーム

システム全体のオブザーバビリティ体制を構築するうえで、まず検討されるのが「統合監視プラットフォーム」です。
これは、ログ・メトリクス・トレースといった観測データを一元的に収集・分析・可視化できるツール群を指します。

■ このカテゴリのツール例

DatadogSaaS型で手軽に始められ、可視化・トレース・アラートなど機能が豊富。多数のクラウド/ミドルウェアに対応。
DynatraceAIによる自動分析やトポロジーマップなど、深い可観測性を提供。大規模環境やエンタープライズ企業での採用例も多い。
New RelicオールインワンのSaaS型プラットフォーム。特にAPM領域に強み。

■ 特徴と役割

  • 複数の監視機能を一つの基盤で提供
  • ダッシュボードによるリアルタイム可視化
  • 障害時のアラート通知や根本原因分析(RCA)に対応
  • エンタープライズ向けの拡張性・セキュリティ機能を備える製品も多い

■ ツール選定時のポイント

  • 対応する観測データの種類(ログ/メトリクス/トレース)
  • 対応インフラとの親和性(Kubernetes、マルチクラウドなど)
  • ダッシュボード・アラート・分析機能の使いやすさ
  • 価格体系とスケーラビリティ(課金単位がホスト数か、データ量かなど)

特にクラウド移行中・マイクロサービス化中の企業では、既存システムとの統合性や将来の拡張性も重要な観点となります。



メトリクス監視

オブザーバビリティの中核を担うのが「メトリクス監視」です。
これは、CPU使用率やメモリ消費、リクエスト数、エラー率など、数値で可視化できる指標(メトリクス)を継続的に収集・分析する仕組みです。アラート設定やスケーリング判断、パフォーマンス改善の根拠にもなり、基本的かつ重要な監視手法の一つといえます。

■ このカテゴリのツール例

Prometheus時系列データベースを使用してメトリクスを収集・保存し、高度なクエリ機能と柔軟なアラート機能を備えている。
Thanos高可用性を持つPrometheusセットアップと長期ストレージ機能を提供するオープンソースプロジェクト。
M3Prometheus互換のオープンソースメトリクスエンジン。大規模環境での可視性を提供するために開発された。

■ 特徴と役割

  • リアルタイムかつ時系列で変化する指標を記録・可視化
  • しきい値や変化率によるアラートを設定可能
  • パフォーマンスや可用性のベースライン把握に最適

多くのツールは軽量で導入しやすく、オープンソースのエコシステムが非常に充実しています。
特にKubernetesやマイクロサービス環境では、Prometheus系ツールが事実上の標準になりつつあります。

■ ツール選定時のポイント

  • 収集方式(プル型 or プッシュ型)と運用負荷
  • メトリクス保存期間とデータ圧縮効率
  • アラートルールやダッシュボードとの連携
  • スケーラビリティとフェデレーション構成の柔軟性


ログ監視

システムやアプリケーションで何が起きたのか——
その「証拠」を記録・可視化するのがログ監視の役割です。
エラーの原因調査、セキュリティインシデントの検出、ユーザー行動の分析まで、すべてのトラブルシューティングの出発点といえるほど、ログの重要性は高まっています。

■ このカテゴリのツール例

Fluentdオープンソースのデータコレクター。データソースとバックエンドシステムの間に統一されたロギングレイヤーを提供し、データの収集と利用を統合する。
Vector軽量・超高速なオブザーバビリティパイプライン構築ツール。ログとメトリクスを収集・変換・ルーティングする。Rust製で高速かつメモリ効率が良い。
Rsyslog高性能なログ処理システム。主にUnix/Linuxシステムで使用される。豊富な機能と設定オプションを持ち、様々な環境でのログ転送・加工・保存に対応する。

■ 特徴と役割

  • アプリケーション・ミドルウェア・OSなどの出力ログを収集/転送/整形/保存
  • 構造化ログと非構造ログの両方に対応
  • 全文検索や相関分析、アラート設定にも活用可能

昨今は「メトリクス→異常検知 → ログ→原因調査」という流れが一般的。このため、ログ監視は“観測の最終的な根拠”として不可欠です。

■ ツール選定時のポイント

  • 対象環境(Linux / Windows / コンテナ / エッジ)への対応
  • ログ整形・ルーティング・バッファリングの柔軟性
  • 他ツールとの連携
  • パフォーマンスとリソース効率(特に軽量さやスループット)

近年はFluent BitやVectorといった高速・軽量なツールへのシフトが進んでいます。
また、ログ収集と分析の役割を分離し、収集基盤はあくまで「シンプルで堅牢」に保つ設計が増えています。



トレース監視

モノリスからマイクロサービスへ。
クラウドネイティブ時代のアプリケーションは複数のサービスが連携して動作する分散システムとなり、障害や性能問題の原因が見えにくくなりました。
この複雑さの中で、「1つのユーザーリクエストがシステム内でどう流れていったのか」を時系列で可視化するのがトレース監視(分散トレーシング)です。

■ このカテゴリのツール例

Jaegerオープンソースの分散トレーシングプラットフォーム。複雑な分散システムにおけるワークフローを監視し、トラブルシューティングを支援。
Zipkin分散トレーシングシステム。サービスアーキテクチャにおけるレイテンシ問題のトラブルシューティングに必要なタイミングデータを収集・検索する。

■ 特徴と役割

  • リクエスト単位での処理の流れ(トレース)を記録
  • 各サービス・プロセス・関数などの処理単位を「スパン(span)」として記録し、全体の構造を可視化
  • レスポンス遅延やエラー発生のボトルネックを正確に特定
  • 他のログ・メトリクスと連携して統合的な分析が可能

■ ツール選定時のポイント

  • OpenTelemetry対応(今後の標準化の観点から)
  • トレースデータの保存方式(自前 vs SaaS、コスト、保持期間)
  • 可視化UIの使いやすさ(検索、相関分析)
  • 既存のログ/メトリクス基盤との統合性
  • サービスメッシュ(Istioなど)やKubernetesとの親和性

とくにOpenTelemetryの普及により、トレーシングデータの標準化が進行中です。これに対応できるかどうかは、今後の運用性に大きく影響します。



監視ダッシュボード

メトリクス、ログ、トレース──これらのデータを収集しても、視覚的にわかりやすく整理されていなければ、インサイトを得るのは困難です。
そこで重要になるのが、監視ダッシュボードの存在です。

■ このカテゴリのツール例

KialiIstioサービスメッシュのためのコンソール。メッシュの設定、視覚化、検証、トラブルシューティングを支援。
PixieKubernetesオブザーバビリティツール。eBPFを使用してコード変更なしでメトリクス、イベント、トレース、ログにアクセスでき、スクリプトによるデバッグが可能。

■ 特徴と役割

  • 可観測性データをリアルタイムで可視化
  • チャートやグラフによって、異常の兆候やトレンドをすばやく把握
  • チーム間で共通の状況認識を持つための“言語”になる
  • メトリクス/ログ/トレースの統合ビューを構成する中心的存在

■ ツール選定時のポイント

  • 対応対象(Kubernetes環境、サービスメッシュ、eBPFなど)
  • リアルタイム性とインタラクティブ性
  • 他のデータソース(Prometheus、OpenTelemetryなど)との統合
  • セキュリティやパフォーマンスに与える影響
  • 開発・運用チームの使いやすさ


インフラ & ネットワーク監視

アプリケーションが正しく動くためには、その土台となるインフラとネットワークの安定性が不可欠です。
CPUやメモリ、ディスク、ネットワーク帯域、ルーター/スイッチの状態、さらには外部サービスとの接続状況まで──
基盤全体の稼働状況を把握するための監視がこのカテゴリの目的です。

■ このカテゴリのツール例

Nagios / Icinga歴史あるインフラ監視の代表格。シンプルかつ拡張性が高く、広範なプラグインで柔軟な監視が可能。IcingaはNagiosをモダナイズしたフォーク。
Netdata超軽量・高性能なインフラモニタリングツール。リアルタイムなビジュアライゼーションに強く、個人からエンタープライズまで幅広く利用される。

■ 特徴と役割

  • ハードウェアリソース(CPU、メモリ、ストレージなど)の状態把握
  • ネットワーク機器の稼働状況・通信品質の監視
  • エージェント型・エージェントレス型の両方に対応するツールが多い
  • 可用性やレスポンスタイム、遅延・パケットロスの可視化に強み

■ ツール選定時のポイント

  • オンプレ/クラウド/ハイブリッドいずれに対応しているか
  • 監視対象の種類(物理サーバ、仮想基盤、ネットワーク機器、クラウドインスタンスなど)
  • リアルタイム性と可視化性能
  • スケーラビリティ
  • アラート・レポート機能の柔軟性
  • エージェント導入の容易さ・影響範囲


APM

現代のWebサービスやアプリケーションは、マイクロサービス化・サーバレス化・クラウドネイティブ化の進展により、構造が複雑化しています。
その中で、アプリケーション内部のパフォーマンスボトルネックやエラー発生箇所を可視化し、ユーザー体験に直結する問題を発見・解決するための仕組みがAPMです。

■ このカテゴリのツール例<

Lumigoクラウドネイティブ環境向けに設計されたAI駆動型オブザーバビリティプラットフォーム。マイクロサービスの問題を迅速に特定・解決し、ログ管理コストを削減。
AppSignalRuby, Elixir, Node.js等に対応。パフォーマンス問題の特定、エラー追跡、サーバー監視機能を提供。シンプルな設定とプライバシー重視が特徴。
Embraceモバイルアプリ向けに特化したOpenTelemetryベースのオブザーバビリティソリューション。

■ 特徴と役割

  • アプリケーションレベルでの処理時間・レイテンシ・エラー発生率などの可視化
  • トランザクション単位でのパフォーマンス分析(リクエストごとの詳細なトレース)
  • 特定のサービスやメソッド、SQLクエリなどの処理時間を可視化
  • ユーザー体験や体感速度に影響するボトルネックの特定
  • インフラより上位層(L7)の問題発見に最適

■ ツール選定時のポイント

  • 対応言語やフレームワーク(Java、Ruby、Node.js、Pythonなど)
  • 自社アーキテクチャへのフィット感(サーバレス、モノリス、マイクロサービス)
  • UI/UXや導入のしやすさ
  • リアルユーザーの体験を重視するか、システム側のパフォーマンスを重視するか
  • モバイル/サーバレスなど特定のユースケースへの最適化
  • 自動計装やアラートの柔軟性

APMは“詳細な可視化”が売りですが、その分ノイズの多さや運用負荷に悩むケースもあります。導入目的と対象範囲を明確にすることが重要です。



ログ管理

ログは、システムやアプリケーションのふるまいを記録した最も基本的かつ信頼できる観測データです。
ただし、ログそのものは断片的かつ構造がバラバラなことが多く、収集しただけでは意味のある情報にはなりません。
このカテゴリでは、収集されたログを蓄積し、インデックス付け・検索・可視化・アラート・分析を可能にする「ログ管理プラットフォーム」を取り上げます。

■ このカテゴリのツール例

GraylogSIEM、APIセキュリティ、ログ管理機能を提供するプラットフォーム。脅威検知、インシデント対応、IT運用とDevOps向けのログ集約・分析機能などを、複雑さや高コストなしに提供することを目指す。
Logz.ioAIを活用したObservabilityプラットフォーム。ログ管理、メトリクス、トレースを統合し、AIによるインサイトを提供して問題解決を迅速化する。

■ 特徴と役割

  • 構造化・非構造化を問わず、あらゆるログデータの格納・インデックス付け
  • 高速かつ柔軟なクエリ機能(全文検索やフィルタ)
  • ダッシュボードやアラートとの連携
  • セキュリティログや監査ログとの統合利用
  • 長期的なログ保持とコスト最適化

このレイヤーは、ログパイプライン(例:Fluent BitやVector)と連携して動作することが多く、オブザーバビリティ基盤の中心的な役割を果たします。

■ ツール選定時のポイント

  • インジェスト量と価格モデル(従量課金 or ストレージ最適化型か)
  • 検索スピードと柔軟性(インデックス型 or ストリーミング型)
  • Kubernetesとの連携可否
  • アラートや他ツールとの統合(Slack、PagerDutyなど)
  • セキュリティ用途への対応(保存期間、監査証跡、マルチテナント)


Kubernetes監視

kubernetesは、現代のクラウドネイティブなアーキテクチャの中心的な存在です。
しかしその動作は分散・動的・階層的であり、従来型の監視ツールでは「なぜPodが落ちたのか」「どのコンテナがボトルネックか」といった根本原因の特定が困難です。
このカテゴリでは、Kubernetesに特化した観測ツール群を取り上げ、クラスタ全体の状態を把握し、トラブルの発見・原因分析・コストの最適化まで支援する手段を紹介します。

■ このカテゴリのツール例

LensGUIベースのKubernetes IDE。複数クラスタの状態を視覚的に確認・操作でき、初心者〜上級者まで幅広く支持される。
KubesharkKubernetes上のPod間通信をインターセプトし、アプリケーションレベルのトラフィックを観測できる。Service Mesh不要で導入が軽量。
KomodorKubernetesの変更履歴を時系列で可視化し、Podの再起動や設定変更などを素早く把握可能。トラブル原因の特定に強い。

■ 特徴と役割

  • Kubernetes APIやリソース(Pod, Node, Deploymentなど)に密着した監視
  • マニフェストやイベント、構成変更の履歴管理
  • クラスタ内トラフィックやシステムコールの可視化
  • オートスケーリングや再スケジューリングといった動的挙動の追跡
  • コスト可視化や異常検知、デバッグ支援など

単にメトリクスを表示するだけでなく、Kubernetesならではの文脈(コントローラー、スケジューラー、イベントなど)を把握できることが重要です。

■ ツール選定時のポイント

  • 観測対象の粒度(ノード/Pod/Namespace単位など)
  • GUI or CLIベースか、Dev/Opsいずれ向けか
  • アラート・通知・自動化との連携
  • 多クラスタ対応・RBACへの配慮
  • KubernetesバージョンやCRDのサポート状況


RUM & シンセティック監視

アプリケーションの成功は、単に「落ちていない」だけでは測れません。
ページ表示速度、ボタンの反応、フォーム入力時のエラーなど、ユーザーが感じる体験の質(UX)がビジネス成果に直結します。
このカテゴリでは、リアルユーザーの挙動や体感速度を可視化するRUM(Real User Monitoring)と、あらかじめ設定したシナリオを仮想ユーザーで検証するシンセティック監視の両方に対応するツール群を紹介します。

■ このカテゴリのツール例

LogRocketユーザー操作の録画・再生に加え、ReduxやConsoleログなどの内部状態も記録。セッションリプレイとデバッグ用途に強み。
FullStory高度なヒートマップ、セグメント分析、フィルタ機能に優れ、UX・マーケ・開発の連携にも対応。プライバシー制御も柔軟。
Mouseflowフォーム分析、ヒートマップ、ファネルなどUX改善に特化した機能が豊富。中小規模サイトにも導入しやすい。

■ 特徴と役割

  • RUM(リアルユーザーモニタリング): 実際のユーザーの行動や体感速度を記録。UX改善、実環境での問題検出、ユーザー行動分析
  • シンセティック監視: ロボットユーザーによる事前定義シナリオのテスト。稼働確認、パフォーマンストレンド、リリース前後の品質比較

両者を組み合わせることで、「再現できない不具合」の解決や「どのユーザーにどれだけ影響があったか」の定量化が可能になります。

■ ツール選定時のポイント

  • セッションリプレイの粒度や保存期間
  • プライバシー保護(マスキング、PII対応)
  • チーム(開発/UX/マーケなど)との連携機能
  • A/Bテストや改善施策の効果検証支援
  • ダッシュボードの柔軟性やアラート機能


エラー監視

サービスを運用している限り、例外やエラーは必ず発生します。
重要なのは、それらを「できるだけ早く」「誰に影響があるかを把握して」「効率的に直せる」ことです。
エラー監視は、開発中のコードの品質向上だけでなく、本番環境での障害対応やユーザー体験の維持にも欠かせないカテゴリです。

■ このカテゴリのツール例

Sentry最も広く使われているエラー監視プラットフォームの一つ。スタックトレースやリリースごとのエラー傾向、Issue化機能などが豊富。
Rookout本番環境でコードを止めずに変数の値を取得できる「Live Debugging」に特化。CI/CDやObservabilityとの統合も充実。

■ 特徴と役割

  • 発生したエラーを即時に検知し、通知やログとともに可視化
  • スタックトレースやリリースごとのエラー傾向の把握
  • ユーザーやセッション単位での影響範囲の分析
  • 類似エラーのグルーピングと、Issueへの自動変換
  • 本番環境での再現性やデバッグ性を高める支援機能

■ ツール選定時のポイント

  • サポートする言語・フレームワークの幅(例:フロント・バックエンド両対応か)
  • スタックトレースの見やすさ、Issue管理機能
  • 再現環境の記録(ユーザー、ブラウザ、リクエスト情報など)
  • トレースやログとの連携
  • オンプレミス運用の可否


AI/ML監視

AI/MLの活用が進む中で、モデルの振る舞いや品質を可視化し、安定したパフォーマンスを維持することが重要な課題となっています。
従来のインフラやアプリケーションの監視では見えなかった、モデル固有の問題(データドリフト、バイアス、応答品質の低下など)に対応するのが「AI/ML監視」です。
特にLLMを使ったアプリケーションでは、ユーザー入力によって予測不能な挙動が生まれやすく、監視の重要性はさらに高まっています。

■ このカテゴリのツール例

Arize AI機械学習モデルのパフォーマンスモニタリングとデバッグに特化。データドリフト検出や異常検知、特徴量レベルの追跡が可能。
LangSmithLLMアプリケーションに特化したトレース・評価・デバッグプラットフォーム。LangChain製。プロンプトのテストや評価指標の記録に強み。
LangfuseLLMアプリケーションのトレーシング・評価・コスト分析を統合的に支援。LangChainやOpenAIとの連携が容易。

■ 特徴と役割

  • 学習済みモデルの推論精度やレスポンスの継続的なモニタリング
  • データドリフトや特徴量の変化、異常な予測挙動の検出
  • モデルごとのバージョン管理やデプロイ後の評価指標の可視化
  • モデルに起因するバイアスや公平性(Fairness)の監視
  • LLMアプリケーションにおけるトレーシング、プロンプト評価、コスト分析などの支援

モデルの品質劣化を早期に検知し、再学習や改善につなげるための仕組みとして、AI/ML監視は不可欠です。特に生成AIや本番環境で稼働するモデルでは、観測性の確保がプロダクト品質を左右します。

■ ツール選定時のポイント

  • 監視対象:MLモデル or LLMアプリ or 両方に対応しているか
  • どの段階を対象にしているか(学習、デプロイ、本番推論)
  • 精度・ドリフト・バイアス・応答評価など、対応している指標の範囲
  • オープンソース/SaaSの選択肢、エンタープライズ対応の有無
  • 他のMLOpsスタック(モデル管理、CI/CDなど)との連携性


クラウド監視

マルチクラウドやクラウドネイティブの普及により、インフラの抽象度が高まる一方で、クラウド固有の課題(リソース管理・サービス間連携・コスト最適化など)も増加しています。 クラウド監視は、従来のホスト単位・プロセス単位の監視とは異なり、クラウドサービスの利用状況や構成の変化、APIレベルでの挙動を可視化・最適化することに焦点を当てています。

■ このカテゴリのツール例

Last9信頼性・SLO管理に強みを持つクラウドネイティブ監視プラットフォーム。マイクロサービスごとの可用性追跡、異常検知などに特化。
Virtasantグローバルで数千のクラウドアカウントを効率管理するための可視化・最適化ソリューション。ガバナンスとコストの視点で強力。

■ 特徴と役割

  • AWSやGCPなど主要クラウドサービスのリソース利用状況や構成変更の可視化
  • 異常なリソース使用や非効率な構成によるコスト増大の検出
  • ネイティブ監視(CloudWatch等)ではカバーしきれない横断的な異常検知や予兆分析
  • マルチクラウド/ハイブリッドクラウド環境における一元的な監視と統制
  • ガバナンスやセキュリティの観点からのリスク可視化にも対応

■ ツール選定時のポイント

  • 対応クラウド(AWS/GCP/Azureなど)の広さと深さ
  • マルチアカウント対応/大規模環境での拡張性
  • コスト可視化・最適化のサポート有無
  • SLOベースの監視/SLI設計支援などの信頼性管理機能
  • 既存の監視スタック(例:Datadog、New Relic)との補完関係

まとめ

現代のソフトウェア開発において、オブザーバビリティは単なる運用の話ではなく、開発・運用・ビジネスをつなぐ基盤となりつつあります。 エラーや遅延の“なぜ”をすばやく突き止めることで、障害対応のスピードを高めるだけでなく、開発生産性やユーザー体験の向上にも貢献します。

一方で、現場では以下のような課題も浮き彫りになっています。

  • ツールが増え、情報が分散しやすい
  • 高機能な反面、導入・運用の学習コストが高い
  • ログ、メトリクス、トレースが揃っても、意味のある分析・可視化が難しい
  • プロダクトチームやビジネス部門との連携が不十分なケースも

こうした課題を乗り越えるには、「可観測性=全体最適を志向するカルチャー」として捉える姿勢が欠かせません。


この記事では、現在利用されている代表的なオブザーバビリティツールをカテゴリごとに整理し、それぞれの特徴や選定の視点をまとめました。 特定のツールを推奨する意図ではなく、自社のフェーズ・体制・文化に応じた“現実的な選択”の参考になることを目的としています。

オブザーバビリティは「導入すればすぐに効果が出る」ものではありません。
しかし、正しく仕組みを整え、チーム全体で活用される状態に育てることができれば、SREやインフラチームだけでなく、すべての開発者にとっての武器となります。

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