マルチプラットフォーム開発を加速するClaude Code導入事例
クラスター株式会社 / TAAT
メンバー / モバイルエンジニア / 従業員規模: 101名〜300名 / エンジニア組織: 11名〜50名
| 利用プラン | 利用機能 | ツールの利用規模 | ツールの利用開始時期 | 事業形態 |
|---|---|---|---|---|
Claude Max | Claude Code, Claude Desktop | 11名〜50名 | 2025年7月 | B to B B to C C to C |
| 利用プラン | Claude Max |
|---|---|
| 利用機能 | Claude Code, Claude Desktop |
| ツールの利用規模 | 11名〜50名 |
| ツールの利用開始時期 | 2025年7月 |
| 事業形態 | B to B B to C C to C |
アーキテクチャ
アーキテクチャの意図・工夫
- 通常タスク
- Jiraでタスクを管理していますが、Claude Codeで作業計画を立てさせるときに、jiraコマンドでチケット情報を取得させるようにしています
- 実装完了時にサブエージェントを使って、コーディングガイドラインに準拠しているかをレビューさせたり、自動で接続中のデバイスを判定してビルド実行を行うようにしています
- コミットはその内容や粒度を管理したかったので、作業ごとではなく、手動でカスタムスラッシュコマンドでコミットを作成させています
- PR作成では、ベースブランチとの差分を分析させ、PRテンプレートに沿ってDraft PRをカスタムスラッシュコマンドで作成させています
- ライブラリアップデート
- RenovateやDependabotで作成されたライブラリアップデートのPRで、手動でバージョン間の変更内容やコードベースへの影響範囲を調査して時間がかかっていましたが、Claude Code ActionでPR作成時に自動で調査してコメントさせるようにしたことで、作業の時間短縮につながりました
導入の背景・解決したかった問題
導入背景
ツール導入前の課題
クラスターではiOS、Android、Mac、Windows、Quest、PC VR、Webと幅広いプラットフォーム向けのアプリケーションを提供しており、エンジニアが複数のプラットフォームに跨って開発を行っています。そのため、自分の最も得意な領域以外を担当することも珍しくありません。その際、ドメイン知識や設計、実装方法についてその領域の有識者に相談やレビューを依頼することが多く、領域によってはタスクや相談が集中し、開発効率が低下することがありました。
また、メインの開発タスクの合間にも、細かい改善や不具合修正、ライブラリアップデートなどの割り込みタスクがあり、それらに対応するためにタスク間の切り替えを頻繁に行い、少なくない時間を割く必要がありました。
開発効率向上のために、GitHub Copilotを導入していましたが、充分に活用できておらず、CursorやClaude Code, Codexなども興味のあるメンバーが個人でトライしていて、AI活用についてエンジニア間でも温度差がありました。
どのような状態を目指していたか
- AIによるサポートを受けることで、エンジニアがメイン領域のタスクをより効率的にこなしつつ、サブ領域のタスクもある程度自律的にこなせること
- 単純なタスクに時間を取られすぎないように、積極的にAIを活用して負担を減らし、より優先度の高いタスクに取り組めること
- 開発チームとして、同じAIツールのClaude Codeを利用することで、AI活用のナレッジを共有しつつ、全員で一定の水準以上でAIを活用して開発効率を向上させること
比較検討したサービス
- GitHub Copilot(導入済み)
- Cursor
比較した軸
- API経由の従量課金ではなく定額プランで充分に使えるかどうか
- チームでナレッジを共有しながら活用できるかどうか
選定理由
- Claude Maxの定額プランでも充分にチームで活用できそうな実感を持てたため
- 導入当時はClaude Codeが大きな話題になり、既に個人で試しているメンバーもいたため
導入の成果
改善したかった課題はどれくらい解決されたか
複数のプラットフォームに跨る開発
- Claude Codeのおかげで、詳しくないプラットフォームのコードを調査して、全体像や設計パターン、処理フローを把握しやすくなりました
- メイン領域以外の開発でも、いきなりつまずくことなく、スムーズに開発を進められるようになりました。もちろん生成されたコードが全て正しいわけではありませんが、ドメイン知識をキャッチアップしつつ、議論の土台を素早く作ることができるようになったと実感しています
細かい割り込みタスク
- やるべきことが明確な細かい改善や不具合修正タスクがある場合、AIに明確な指示を出して、メインタスクと並行して進められるようになり、メインタスクを中断・再開することなく、効率的に並行対応できるようになりました
- RenovateやDependabotによるライブラリアップデートは、変更内容や影響範囲の調査をClaude Codeに任せて、必要に応じて人間が追加調査や動作確認をすればよくなり、作業の時間短縮に繋がっています。なお、ライブラリ更新の妥当性チェックで使っているカスタムスラッシュコマンドについてはClaude Codeのカスタムスラッシュコマンドをマスターして開発効率を上げようを参照
どのような成果が得られたか
- Claude Code導入による生産性の変化は、業務内容やタスクの粒度によるため、プルリクエスト数での計測はしていませんが、Claude Code利用者の利用アンケートの回答結果から、定性的に導入当初よりも活用度が上がり、コード生成やコード調査、技術調査、レビューなどでしっかりと活用が進んでいることがわかりました
- AIコーディング委員会主導で、AI活用についてのLT会や勉強会が毎週開催されていて、AIを活用して得られた知見やTipsを発表したり、AI活用の具体的な課題を持ち寄って相談・解決する取り組みをしています
- 社内SlackにAI関連のチャンネルを用意して、AI活用について気軽に質問したり、うまくいったことやうまくいかなかったこと、AI関連のニュースを展開したりと活発に議論しながら、AI活用への知見を深めています
導入時の苦労・悩み
一部メンバーが個人でClaude Codeを試していたのを受けて、会社としてエンジニアにClaude Codeを制限なく活用してほしいとのことで、Claude Maxプランを導入しましたが、個人で先行してAIを試していた人とそうでない人とでは、AIへの理解や活用度が違っていました。
そこで、社内でAIコーディング委員会を立ち上げて、AIコーディングのための環境整備やナレッジの共有、AIコーディングを活用できる人を増やすための施策を考えて活動しています。
また、導入検討当時(2025年6月)は組織向けのTeamプランやEnterpriseプランを検討していましたが、Claude Codeへのアクセスがなかったため、Claude Codeを利用するメンバーごとにMaxプランを契約し、月次で経費計算する運用になりました。なお、2025年10月現在はTeamプランやEnterpriseプランでもプレミアムシートであればClaude Codeが利用できます(公式サイトを参照)。
導入に向けた社内への説明
上長・チームへの説明
Claude Maxプランの導入は、会社としてエンジニアにClaude Codeを制限なく活用してほしいとのことで導入が決まりましたが、ただ導入するだけでは活用度にバラつきが生じ、うまくAIを活用しきれない問題が懸念されました。
そこで、先述の通りAIコーディング委員会でAIコーディングのための環境整備やナレッジ共有の施策を検討して進めています。具体的には、AIを活用して得られた知見やTipsを活用事例としてドキュメントに書いたり、デイリーミーティングでLT発表したりして、成功事例を横展開しつつ、失敗事例や課題点、注意点も共有するようにしています。
活用方法
よく使う機能
- カスタムスラッシュコマンド
- 個人やプロジェクトで使える独自コマンドを作成でき、プルリクエスト作成や調査レポート、ビルド実行などで活用しています
- 具体的な活用方法についてはClaude Codeのカスタムスラッシュコマンドをマスターして開発効率を上げようを参照
- サブエージェント
- サブエージェントはメインセッションから独立したコンテキストで動作するので、コーディングガイドラインに基づくレビューやビルド実行などの独立したサブタスクでサブエージェントを活用しています
- Hooks
- Claude Codeの様々なライフサイクルでシェルコマンドを実行でき、作業完了時にリンターやフォーマッターをかけたり、ツール使用の確認や作業内容を通知させることですぐに気づけるようにしています
- 通知での活用についてはClaude Codeの作業完了時に作業内容を通知させるを参照
- MCP
- プラットフォームによっても利用するMCPは異なり、セキュリティ観点から導入に慎重になっていますが、最近はUnity向けのuLoopMCPを導入して、MCP経由でビルドしたりシーンを操作させたりすることができて、UnityのAIコーディング環境が改善されました
- 社内の方が作成したslack-explorer-mcpというMCPも社内で利用されており、Slackで会話履歴を追って経緯を探すときに便利です。詳しくはAIでSlackから歴史的経緯を追いかけやすくしよう - slack-explorer-mcpを作ったを参照
ツールの良い点
- Pro/Maxの定額プランでも充分に開発でき、企業向けには管理機能のあるTeam/Enterpriseプランもあり、導入ステップに応じたプラン選択ができます
- メモリファイルやカスタムスラッシュコマンド、サブエージェントなどの設定を、チームで共有しやすく、ナレッジを蓄積しながら改善を回すことができます
- Claude SkillsやClaude Code on Webなど、便利な機能がどんどん追加されていて、活用の幅を広げることができます
ツールの課題点
- プロジェクト固有のガイドラインや運用に対応させるには、しっかりドキュメントを整備したりツールを設定する必要がありますが、ここはどのAIツールにも活かせるものなので、コストをかけて対応する価値はあります
- ドメインによっては学習データが少なかったり、最新の知識が学習されていなかったりするので、その領域でのコード生成の精度が低いように感じます
- チームでナレッジを共有しやすいが、まだ個人が手元で活用している状況で、開発のワークフローに組み込むために、さまざまな方法を模索していく必要があります
- MCPは便利な反面、セキュリティ面の懸念があるので、導入するときは慎重に調査して検討する必要があります
ツールを検討されている方へ
AIツールの進化は日進月歩で、どんどん新機能が追加されたり、新しいアプローチが出たり、逆に今までのやり方が非推奨になることもありえます。 AIツールを導入した後でも、最新情報をキャッチアップしながら、日々試行錯誤していく必要があります。
また、AIツールを導入した後は、チームや社内で定期的にナレッジを共有する場を設けることが重要です。便利な使い方があれば横展開し、活用できていないメンバーがいればサポートすることで、チーム全体の活用度を底上げできます。
どのAIツールでも根本にある考え方(AIが得意なことや苦手なことを知る、コンテキスト管理、セキュリティ意識など)は似ているので、まずは1つに絞ってじっくり試行錯誤することが大事です。
今後の展望
現在エンジニアを中心にClaude Codeの活用が進んでいますが、今後はテクニカルアーティストやデザイナー、PdMなど他の職種にもAIツールを横展開し、各職種に応じた最適なAI活用法を模索していきたいです。
また、個人の手元での活用だけでなく、開発のワークフローにAIツールを組み込んで、開発体験そのものを改善していくことも考えています。
現在はClaude Codeを導入していますが、AIツールの移り変わりが激しく、常に最新の動向をキャッチしながら、新しい機能やアプローチを導入したり、複数のAIツールを導入して連携させたり、幅広く活用方法を模索し続けていきたいと思います。
クラスター株式会社 / TAAT
メンバー / モバイルエンジニア / 従業員規模: 101名〜300名 / エンジニア組織: 11名〜50名
よく見られているレビュー
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目次
- アーキテクチャ
- 導入の背景・解決したかった問題
- 活用方法


